シニアエンジニア向けフリーランス求人サイト「レガシーフォース」を運営するモロは2025年11月11日、40〜60歳代のITエンジニア600人を対象とした「AIスキル学習に関する実態調査」の第2弾を発表した。調査結果からは、シニア層の高い学習意欲と、企業側の支援不足との間に大きな隔たりがあることが明らかになった。
9割が「AIを学びたい」一方で、所属企業での研修や教育制度がない
AI関連スキルを学びたいと思うかどうかを聞いたところ、「積極的に学びたい」(31.3%)、「いつかは学びたい」(25.5%)、「業務で必要になれば学ぶ」(31.8%)と、全体の約9割が学習意欲を示した。一方で、「必要性を感じつつも先延ばし」とする層が4人に1人を占め、きっかけづくりが課題として浮かぶ。
所属企業でのAI関連研修や教育制度について聞いたところ、「ない」と回答した割合は56.0%に達し、過半数を占めた。研修制度がある企業でも「充実しており満足」と答えたのはわずか8.0%。「若手限定でシニア層は対象外」との回答は9.3%に上り、年齢層による教育機会の格差が浮き彫りとなった。
直近1年間でAI関連の研修や講座を受講したのは全体の約3割。「無料の社内研修・勉強会」(24.7%)、「有料:外部講座・オンライン講座・セミナーなど」(9.0%)にとどまった。
AI学習の障壁は「時間がない」「お金がない」「実践の場がない」
AI学習の障壁としては、「学習時間がない」(31.0%)が最多で、「費用が負担になっている」(21.8%)、「実践の場がない」(20.5%)、「技術の変化が速過ぎる」(20.0%)が続いた。
直近1年間でAI学習を無料で済ましたのは600人中465人の約8割で、自己投資経験者の内訳は「1万〜2万円」が31人で最多、次いで「1〜5000円」で28人、「2万〜5万円」と「5000〜1万円」(24人)が続いた。50万円以上を投資した人は4人にとどまった。
費用をかけた人の割合を年代別で見ると、40代(32.0%)が最も積極的だった。50代(19.5%)、60代(16.0%)と年代が上がるにつれて減少傾向にある。
モロの前田洋平代表は、「シニアエンジニアの9割がAIを学びたいと回答する一方で、企業の研修制度が整っていない現状は深刻。個人の努力に任せるだけでは限界がある」と指摘。「豊富な経験を持つシニア層の意欲を生かすには、企業が継続的な学びを支える環境整備を急ぐ必要がある」とコメントした。
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