なぜベテランエンジニアの転職希望が急増しているのか レバテック調査で見えた転職市場の変化:転職希望者の年代は上昇傾向
レバテックは、2025年6月版のIT人材の正社員転職市場動向を発表した。転職希望者数と生成AI(人工知能)関連求人は増加する一方、世代を問わず転職への関心が高まっていることが分かった。
レバテックは2025年7月29日、「IT人材の正社員転職市場動向 2025年6月」を発表した。それによると、IT人材の採用競争は激しさを増しているだけでなく、さまざまな年代で転職に向けた動きが活発になっていることが分かった。
転職希望者の年齢上昇 その背景は?
IT人材の転職希望者数は増加傾向にある。2025年6月の転職希望者数は2024年同月と比べて127%増加した。レバテックによると、中でも50代の転職者数の拡大が目立っており、50代の転職希望者数は2022〜2025年までの3年間で約190%増となった。レバテックはその背景について「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(いわゆる高年齢者雇用安定法)の改正を挙げる。「2025年4月から、65歳までの雇用確保が義務化されたことが、シニア層の転職増加を後押ししている」と同社は説明している。
企業側の採用意欲も高まっている。2025年6月時点のIT人材の求人倍率は11.2倍と依然として高い水準にあり、正社員の求人数は2024年6月と比べて152%にまで増加した。一方、厚生労働省が発表した全業種の有効求人倍率は1.24倍にとどまっており、IT分野の人材不足の深刻さが際立っている。
生成AI関連の求人数も増加傾向だ。「ChatGPT」が一般公開された2022年11月から2年半で、生成AI関連の求人数は29.7倍に増加した。特に、プロンプト設計、LLM(大規模言語モデル)の活用、評価、改善や、社内でのデータ統合といったスキルを求める案件が目立つ。業務効率化や新規プロダクト開発での生成AI活用が広がる中で、高度な自然言語処理スキルを持つ人材への需要はさらに拡大することが見込まれる。
一方、働き方の条件には変化が見られる。コロナ禍を契機に増加したフルリモート求人は、2023年6月をピークとして29.5%減少した。原則出社求人は2023年6月から240%増加している。顔を突き合わせての対話や実務の中で指導する「OJT」(On the Job Training)、チーム間の迅速な意思決定を重視する企業は増加傾向にあり、出社勤務を再導入する動きは加速する可能性があるとレバテックは分析している。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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