「ChatGPT」「GitHub Copilot」が上位 バックエンドやDevOpsでは導入に遅れ SlashData調査:開発者1万2000人に聞いた「AIコーディング」利用実態
SlashDataは、2025年後半のAIコーディングツールの利用状況や、エージェンティックAIの導入状況を明らかにする調査結果を発表した。
調査会社のSlashDataは2025年11月3日(現地時間)、開発者のAIコーディングツールやAIエージェント利用状況に関する調査結果を公表した。調査は2025年第3四半期(7〜9月)に、開発者1万2000人を対象に実施したものだ。
AIコーディングツールでは「ChatGPT」「GitHub Copilot」が採用上位
AIコーディングツールを使用する開発者の間では、以下の通り「ChatGPT」(64%)が最も使われているツールだった。「GitHub Copilot」(49%)がそれに続き、やや引き離されて「Google Gemini Code Assist」が3番目にランクインした。
採用率は10%で比較的低いものの、「JetBrains AI」が満足度では76で3番目にランクインし、今後成長する可能性があるとSlashDataは分析している。ChatGPTとGitHub Copilotも満足度は78で比較的高かった。
一方で経験豊富な開発者の間では、ChatGPTへの満足度が著しく低下している状況も浮上した。「彼らは新人層に比べ、その精度やスケーラビリティ、使いやすさに不満を持っているようだ」と、SlashDataのブレオナ・ビチャイ氏(シニアマーケットリサーチアナリスト)は指摘している。
利用コストや技術サポート、対応プログラミング言語、導入のしやすさなどの各属性で満足を見た場合のランキングは以下の通り。他システムとの連携や利用コストでは「Visual Studio IntelliCode」が1位となっている他、導入のしやすさや利用のしやすさではChatGPT、コードのリファクタリング・最適化ではGitHub Copilotが1位となっている。
信頼やガバナンスがエージェンティックAI導入の障壁
エージェンティックAIの導入状況では、AI機能を採用している開発者のうち半数(50%)が、既にエージェンティックAIを本番環境に導入済みだった。エージェンティックAIの試用段階から実際の運用段階へと進みつつあることが分かる。
エージェンティックAIの導入状況をプロジェクトの分野別に見た結果は以下の通り。
AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、産業用のIoT(モノのインターネット)などは60%を超えて導入が進んでいる。これらの分野についてSlashDataは、非常にインタラクティブで適応性の高いシステムが求められ、エージェンティックAIはその体験を強化するのに特に適していると分析している。
その一方、バックエンドサービス(38%)やWebアプリケーション(42%)、DevOps(49%)などは比較的導入が遅れている。SlashDataによれば、これらの分野はプロセス主導型で決定論的、かつルールベースになっている。AIはワークフローの最適化には役立つが、予測可能性や安全性、信頼性が最優先される環境では、エージェンティックAIが自律的に行動する必要性は低く、むしろ不要なリスクを招く可能性があると同社は分析。
この分析は、エージェンティックAI普及に立ちはだかる障壁が、技術的な実現可能性よりも、むしろ信頼やガバナンスの問題になる可能性があることを浮き彫りにしている。
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