「COBOLアプリ」「PL/Iアプリ」開発/実行環境、どうモダナイズできるのか:アプリ解析ツールもAIで
モダナイズされていないCOBOLを使い続けると、技術革新の停滞や脆弱性につながる。
AMCソフトウェアジャパンは2025年10月28日、COBOLの開発/実行環境「Rocket Visual COBOL」(以下、COBOL製品)とIBMメインフレーム向け開発/実行環境「Rocket エンタープライズ製品」(以下、エンタープライズ製品)の最新版「11.0J」の国内販売を開始した。
同社は「COBOLは依然としてビジネス運営の基盤であり、金融や製造、旅行、小売、政府などの分野において、世界のビジネス取引の約70%を支えている」としつつ、課題を指摘する。「モダナイズされていないCOBOLを旧式の開発ツールや手法と組み合わせて使い続けることは、技術革新の停滞、運用リスクの増大、セキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性につながる」
今回の最新版では、こうした課題に対応し、企業が迅速かつ安全に基幹アプリケーションやシステムをモダナイズできるよう支援するという。
COBOL製品の機能
COBOL製品としては開発環境の「Visual COBOL」、実行環境の「COBOL Server」を提供する。.NETやJavaとの連携、DevOpsの作業手順への組み込み、コンテナ化などにより、COBOLのビジネスロジックを開発、運用できる。
エンタープライズ製品の機能
エンタープライズ製品としては開発環境の「Enterprise Developer」、実行環境の「Enterprise Server」、アプリケーション分析ツールの「Enterprise Analyzer」を提供する。
Enterprise Developer/Serverには、前述のCOBOL製品の全機能に加え、PL/I(IBMメインフレーム向け開発言語)への対応、IBMメインフレームのJCL(ジョブ制御言語)、CICS(オンライン取引処理システム)、IMS(階層型データベース管理システム)互換機能が含まれる。テスト用の実行環境を利用したJCLやCICSによってテストを効率化できる。
Enterprise Analyzerは、複雑に絡み合ったCOBOLおよびPL/Iプログラムの構造や依存関係を視覚化し、アプリケーションの理解と分析を支援するツールだ。静的解析機能により、モダナイゼーションの計画立案やリスク評価を迅速化するという。
11.0Jでどう変わったか
11.0Jでは、開発支援機能や実行機能の強化に加え、新たな動作基盤およびデータベースのサポートが追加された。同社によると「特にArmプロセッサへの対応により、COBOLおよびPL/Iのアプリケーションをクラウドやクライアント端末を含む広範な基盤で柔軟に運用できる。利用者は業務を中断することなくアプリケーションを更新できる」という。
セキュリティ面では、共通Web管理画面(ESCWA)において、複雑になりがちな権限設定を視覚化し、利用者にひも付く役割などを関連図として表示できる。
Enterprise Analyzerでは、AI(人工知能)と連携し、チャットアシスタントに「Please search where item G is used」などのように自然言語で指示を出したり、ビジネスルールを生成したりできるようになった。
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