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IBM、Confluentを約110億ドルで買収へ AI向けのスマートデータ基盤を構想生成AIやエージェント型AIのニーズに焦点

IBMはデータストリーミングプラットフォームを提供するConfluentを買収することで最終合意に達したと発表した。

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 IBMは2025年12月8日(米国時間)、データストリーミングプラットフォームを提供するConfluentを買収する最終契約を締結したと発表した。IBMはConfluentの発行済み普通株を1株当たり31ドルの現金で全て取得し、企業価値ベースで110億ドルの取引となる。買収の完了は2026年半ばまでを見込む。

 Confluentは、オープンソースの「Apache Kafka」を基盤としたエンタープライズ向けデータストリーミングプラットフォームを提供するベンダー。リアルタイムでデータとイベントの接続、処理をする他、ガバナンスを確保する機能を持ち、AIおよびアプリケーションに対して再利用可能で信頼性の高いデータを提供できるという。

「オープンソース関連企業への投資を重視」 Confluent買収の狙いは?

 IBMはConfluentの買収により、ハイブリッドクラウド環境でアプリケーション、分析基盤、データシステム、AIエージェントをエンドツーエンドで統合する「スマートデータプラットフォーム」を企業向けに提供するとしている。

 調査会社IDCの試算によれば、2028年までに10億以上の新たな論理アプリケーションが登場し、世界のデータ量も2倍以上になるという。IBMのアービンド・クリシュナCEO(最高経営責任者)は、今回の買収によって「両社が一体となることで、企業は環境やアプリケーション、API間で信頼性の高い通信とデータフローを実現し、生成AIやエージェント型AIをより迅速かつ効果的に展開できるようになる」とその価値を強調する。

Confluentの製品ポートフォリオとパートナーエコシステム

 Confluentはカリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、現在6500社以上の顧客を抱えている。Fortune誌が毎年発表する上位500社の企業ランキング「Fortune 500」に入る企業の40%以上が同社の顧客であり、Anthropic、Amazon Web Services(AWS)、Google、Microsoft、Snowflakeといったベンダーとの連携も進めている。

 同社のプラットフォームは、フルマネージドのクラウドサービス「Confluent Cloud」、セルフマネージド版の「Confluent Platform」、クラウドとセルフサービスをハイブリッドにしたBYOC(Bring Your Own Cloud)モデルの「WarpStream」、プライベート環境向けの「Confluent Private Cloud」など多様な展開オプションを提供する。同社のジェイ・クレプスCEO兼共同創業者は、今回の買収について「IBMのグローバルな事業規模と豊富なポートフォリオにより、弊社の戦略を加速できることを期待している」とコメントしている。

IBMのハイブリッドクラウド/AI戦略との位置付けと今後の展開

 IBMはハイブリッドクラウドとAI戦略において、オープンソース技術とパートナーエコシステムを中核に据えており、今回の買収はRed HatやHashiCorpに続くオープンソース関連企業への重要な投資と位置付けている。これにより同社は、データおよびアプリケーションの急速な増加とAI活用の拡大で企業のIT部門への負荷が高まる中、システムの統合・自動化・簡素化を求めるニーズに対応していくという。

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