SSD高騰時代の救世主? Windows 11「NTFS圧縮」でファイルを消さずに容量を稼ぐ裏ワザ:Tech TIPS
半導体市場のAIシフトにより、SSDやメモリの価格上昇が深刻化している。安易にストレージを増設できない今、Windows 11に標準搭載されている「NTFS圧縮」が空き容量確保の有力な選択肢となる。本Tech TIPSでは、ファイルを削除せずに容量を節約できるこの機能の仕組みから、パフォーマンスへの影響、利用時の注意点までを解説する。
対象:Windows 11
Windows 11「NTFS圧縮」でファイルを消さずに容量を稼ぐ裏ワザ
半導体市場のAIシフトにより、SSDやメモリの価格上昇が深刻化している。安易にストレージを増設できない今、Windows 11に標準搭載されている「NTFS圧縮」が空き容量確保の有力な選択肢となる。本Tech TIPSでは、ファイルを削除せずに容量を節約できるこの機能の仕組みから、パフォーマンスへの影響、利用時の注意点までを解説する。
Tech News「『安価なメモリ』の時代は終焉へ。AI需要が招く世界的なメモリ、ストレージ不足、PCとスマホ価格への深刻な打撃」で取り上げたように、半導体業界がAI(人工知能)需要にシフトしたことで、クライアント向けのメモリやストレージの価格が上昇し、一部では入手が困難になる事態が生じている。一部のクライアントPCでは、大容量SSDを搭載したモデルの価格が大幅に引き上げられている。この傾向は、今後もしばらく続き、長期契約により比較的安定した価格を維持していた大手PCベンダーにも波及していくものと思われる。
これは、ストレージ容量が足りなくなった際に気楽に増設したり、大容量モデルへ買い替えたりするということが難しくなることを意味する。新規にPCを購入する際も、予算の都合からストレージ容量が少なめのモデルを選ばざるを得ないケースが増えるだろう。
Tech TIPS「『C:ドライブがいっぱい』を回避、Windows 11の『隠れごみ』を根こそぎ削除する究極テク」で紹介している方法で不要なファイルを削除し、ストレージの空き容量を増やすことでやりくりしなければならないことが増えると思われる。
実はWindows 11には、ストレージの空き容量が心もとなくなってきた場合の「奥の手」ともいえる機能が隠されている。Windows 11のエクスプローラーでドライブのプロパティを開くと見つかる「このドライブを圧縮してディスク領域を空ける」という項目だ。これは「NTFS圧縮」と呼ばれるWindows 11標準の機能だが、近年のストレージの低価格化・大容量化に伴い、話題に上る機会が減っていた。
本Tech TIPSでは、この機能がどのような理屈で働くのか、メリットやデメリット、有効化する際の注意点などについてまとめた。
NTFS圧縮の仕組みとメリット・デメリット
NTFS圧縮は、NTFSファイルシステムが備える「透過的な圧縮」という技術にある。通常、ファイルはそのままの形でストレージに保存されるが、この機能を有効にすると、Windows 11はデータを書き込む際にリアルタイムで圧縮し、読み出す際には自動的にメモリ上に展開(圧縮解除)する。ユーザーから見れば、ファイルは以前と変わらず普通に開けるため、背後で圧縮されていることを意識する必要はない。
最大の利点は、物理的なストレージ容量を節約できる点である。特にテキストファイル(HTMLファイルを含む)や実行プログラム、一部の未圧縮データなどは、この機能によって数十パーセントもの容量削減が見込める。前述の通り、ストレージ価格が上昇傾向にある中、手軽に数GB、時には数十GBの空きを捻出できるのは、非常に魅力的な選択肢となる。
ただしNTFS圧縮が万能かというと、幾つかのデメリットもある。1つ目は、CPUへの負荷増加である。ファイルを読み書きするたびに「圧縮」と「展開」のプロセスが割り込むため、本来のデータ処理に加えて計算資源が消費される。最近のマルチコアCPUであれば、日常的な事務作業でその遅延を感じることは少ないが、動画編集や最新の3Dゲームといった高負荷な作業を行う際には、わずかなオーバーヘッドがパフォーマンスの低下やカクつきを招く要因となり得る。
2つ目は、圧縮されているファイルに対しては、この機能は無力に近いことだ。例えば、JPEG形式の画像やMP4形式の動画、あるいはZIP形式で固められたアーカイブなどは、ファイルそのものが効率よく圧縮されているため、Windows 11がさらに圧縮を試みても容量はほとんど減らないか、場合によってはわずかながら増えてしまうこともある。
見落とされがちだが、現代のビジネスで標準的なWord(.docx)やExcel(.xlsx)といったOfficeファイルも、実態は複数のデータをZIP形式で圧縮して1つにまとめたものであるため、ドライブ圧縮による恩恵は極めて限定的である。それどころか、無意味な圧縮・展開のプロセスだけが走り、無駄にCPUを使うだけになってしまう。
3つ目が、万が一ドライブが故障した際のリスクである。非圧縮のデータであれば、市販の復旧ソフトや専門業者によるデータの断片的な救出が比較的容易な場合も多いが、圧縮されたデータはファイルシステム上の複雑な構造に依存している。そのため、ディスクに物理的な破損や論理的な不整合が生じた場合、展開(圧縮解除、解凍)プロセスが正常に機能せず、復旧の難易度が劇的に跳ね上がってしまう。利便性の裏側に、こうしたデータの堅牢(けんろう)性を損なう可能性が潜んでいることは、常に念頭に置いておくべきだろう。
設定方法と効果的な活用シーン
このような特性はあるものの、環境によってはストレージの空き容量を大きく増やせる可能性がある。計算能力には余裕があるが、ストレージの拡張が困難なノートPCなどで、「主に扱うのがテキストファイルなどの圧縮効率が良いデータである」というケースの場合、NTFS圧縮は最適だ。
例えば、過去のプロジェクト資料やログファイル、膨大なテキストデータなどを保存しているフォルダがあるなら、このフォルダに対してNTFS圧縮を実行し、効果を確かめてみるとよい。
NTFS圧縮を有効化するのは簡単だ。エクスプローラーで圧縮したいフォルダを右クリックし、[プロパティ]を選択して[プロパティ]ダイアログを開く。[全般]タブの[詳細設定]ボタンをクリックすると[属性の詳細]ダイアログが開くので、ここの「圧縮属性または暗号化属性」欄にある「内容を圧縮してディスク領域を節約する」にチェックを入れて、[OK]ボタンをクリックすればよい。フォルダ内のファイル数が多いと圧縮に時間がかかることがあるが、これでフォルダが圧縮され、その分、ストレージの空き容量が増えるはずだ。
フォルダにNTFS圧縮を適用する(4)
[属性変更の確認]ダイアログが開くので、サブフォルダも対象にする場合は「変更をこのフォルダー、サブフォルダーおよびファイルに適用する」の方を選択して、[OK]ボタンをクリックする。サブフォルダを含めたくない場合は、「このフォルダーのみに変更を適用する」を選択すればよい。
フォルダにNTFS圧縮を適用する(6)
圧縮が完了したら、再びフォルダのプロパティダイアログを開いて、「ディスク上のサイズ」の方を確認する。テキストファイル中心のフォルダであったこともあり、ディスクの空き容量を2.71MB増やすことができた。
データのみを保存しているD:ドライブなどは、ドライブ単位でNTFS圧縮を有効にすることも選択肢になる。この場合は、エクスプローラーで該当ドライブを右クリックし、[プロパティ]を選択、[プロパティ]ダイアログの[全般]タブにある「このドライブを圧縮してディスク領域を空ける」にチェックを入れて、[OK]ボタンを押す。これにより、ドライブ全体が圧縮対象となる。
ドライブにNTFS圧縮を適用する(2)
ドライブのプロパティダイアログが表示されたら、「このドライブを圧縮してディスク領域を空ける」にチェックを入れて、[OK]ボタンをクリックする。ファイルの場合と同様、[属性変更の確認]ダイアログが表示されるので、サブフォルダを対象にするかどうかを選択すると、圧縮が開始される。
ただし、OSがインストールされているシステムドライブ(Cドライブ)全体に適用するのは慎重にしたい。システムドライブには、ログファイルやINIファイルなど、圧縮に向いたファイルが多く存在するため、NTFS圧縮は効果的だ。しかし、システムの起動速度や更新プログラムの適用時間などに悪影響を及ぼす可能性が高いからだ。
NTFS圧縮を解除する方法
一度圧縮したドライブやフォルダを元の状態に戻したい場合は、設定時と同じ手順を踏めばよい。[属性の詳細]ダイアログの「圧縮属性または暗号化属性」欄にある「内容を圧縮してディスク領域を節約する」もしくはドライブの[プロパティ]ダイアログの[全般]タブにある「このドライブを圧縮してディスク領域を空ける」のチェックを外し、[OK]ボタンをクリックすれば解凍プロセスが開始される。
この際、解凍後のデータサイズが元のストレージ容量を超えてしまわないか事前に確認することが重要だ。また、解凍には圧縮時と同様に膨大な時間がかかり、その間ディスクの読み書き性能が低下するので、重要な作業の直前などに安易に開始するのは避けた方がよい。
圧縮されたファイルやフォルダの表示色を変更する
NTFS圧縮がどのファイルやフォルダに適用されているのか分からないと困ることもあるだろう。そのような場合は、エクスプローラーの[…]メニューで[オプション]を選択、[フォルダーオプション]ダイアログを開く。[表示]タブを開いたら、「詳細設定」欄にある「暗号化や圧縮されたNTFSファイルをカラーで表示する」にチェックを入れればよい。これを有効にすると、圧縮されたファイルやフォルダの名前が青色の文字で表示されるようになり、一目でその状態を把握できるようになる。
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