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個人データ保護でセキュリティとビジネスのギャップを埋めるために問うべき5つの質問Gartner Insights Pickup(456)

多くのCISOは、ビジネス部門の意図を十分に理解する機会がないまま、個人データの管理を任されている。これでは危険であるとともに、ビジネスを阻害することになりかねない。データに関する意思決定権をビジネス側に持たせる必要がある。このために問うべき5つの質問を紹介する。

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Insights」などのグローバルコンテンツから、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 CISO(最高情報セキュリティ責任者)は現在、ビジネスリーダーがデータをどのように利用しているか、またそれらの保持要件が何であるかを十分に把握していない、あるいは完全に管理できていないデータの保護を任されている。

 このギャップを放置すれば、顧客からの信頼の低下やコンプライアンス負担の増大、評判の毀損(きそん)、データの無秩序な増大といったさまざまなリスクを招きかねない。個人データの悪用や誤用が発生しやすくなるからだ。AIを活用したユースケースが拡大しているだけになおさらだ。

 データライフサイクルを明確にきめ細かく監視しなければ、組織はこうした脆弱(ぜいじゃく)さを抱えることになる。

 これに対し、データの取り扱いに関して一貫した明確な管理を確立すれば、運用の精度を高め、プロジェクトの成果を向上させ、プライバシー意識が高まる環境の中でブランドの信頼性を強化できる。

 CISOは、絶え間ない技術革新や変化するビジネスの優先事項、AIへの注目の高まりに対応しながら、高度な脅威に対する防御を続けている。管理がしやすく、効果的なデータ保護を実現するには、責任をデータの発生源に近づけ、ビジネスプロセスのオーナーが、データに関する意思決定を担えるようにする必要がある。

 幾つかの重要な問いを起点にしたシンプルで一貫したフレームワークを用意すれば、データ保護をコンプライアンス上の負担から、ビジネスの推進力へと変えられる。このアプローチによりリスクやストレージコスト、データスプロール(無秩序な増加)を軽減するだけでなく、コンプライアンスを強化し、顧客からの信頼を高め、よりレジリエントな(回復力の高い)、ライフサイクル主導型のデータ保護を組織全体で整備することが可能になる。

5つの本質的な質問に焦点を当て、プライバシーに関する意思決定の強化につなげる

 複雑で無視されがちなプライバシープロセスから組織が脱却するには、よりシンプルで実践的な出発点が必要になる。先進的なサイバーセキュリティチームは、新しい個人データ処理活動ごとに5つの本質的な質問に焦点を当てる、構造的でありながら軽量なアプローチを優先している。この一連のプロセスが明確な指針を導き出し、ビジネスプロセスオーナーに説明責任を課し、データ管理の一貫した基盤を確立する。

1.目的は何か

 個人データのあらゆる利用は、目的を明確に定義することから始める必要がある。これにより、その後の全ての意思決定の方向性が定まり、説明責任を負うビジネスオーナーが特定され、透明性義務が明らかになる。目的の明確化は、極めて重要だ。曖昧(あいまい)な、あるいは過度に広範な目的は、非効率やプロセス改善の機会損失を招くことがあるからだ。

2.その目的を達成するためにどのようなデータが必要か

 目的が確立されたら、次のステップは、その達成に必要な具体的な個人データを特定することだ。その過程では、ステークホルダーをリスク最小化に導くように積極的に働きかける。

 どのデータを使用すべきかを決めるのは、CISOの役割ではない。だが、CISOはビジネスチームに「より少ないデータや機密性の低いデータでも同じ成果が得られるか」といった重要な問いを投げかけられる。こうした検討に早期に取り組めば、データ最小化とリスク低減の両方をプロセスに組み込むのに役立つ。

 可能な限り、個人を特定できないデータや匿名化されたデータを使用することで、ビジネス成果に影響を与えることなく、リスクを大幅に低減できる。プライバシー強化技術はこのアプローチをさらに後押しし、組織が機密情報のエクスポージャ(リスクにさらされる度合い)を抑えながら、データから価値を引き出すことを可能にする。

3.誰がどのくらいの期間、アクセスを必要とするか

 データのアクセス権は目的と厳密に整合させ、適切な人物のみが定められた期間だけ、データを利用できるようにすべきだ。そこで出番となるのが、目的ベースのアクセスコントロール(PBAC:Purpose-Based Access Control)だ。PBACにより、IT部門が個人データの適切な利用を運用化することを可能にし、逸脱があればCISOが調査するきっかけとなる。

 アクセスと保持は、いずれも目的と直接結びついている。特定の目的にひも付いた保持期間が満了した時点で、アクセス権は自動的に取り消されなければならない。これにより、不正アクセスの可能性が低減し、データ利用に対する管理が強化される。

4.データはどこで処理されるか

 この問いは、サードパーティーの関与、データレジデンシー要件、国境を越えるリスクを可視化する。組織は、外部での処理が内部と同じ基準を満たすことを保証しなければならない。サードパーティー管理とデータレジデンシーに関するサイバーセキュリティポリシーがより一貫して適用されるほど、新しい活動がどのようなものになるかが、全てのビジネスステークホルダーにとって、より予測可能になる。

5.データはどのように保護されるか

 セキュリティは、一貫した基準から始めなければならない。この基準は、コントロールの適用方法やプロジェクト固有の要件に関する明確なガイダンスによって支えられている。CISOは「適切な」保護とはどのようなものかを定義する上で極めて重要な役割を担う、さらに重要な点として、その実現に必要な投資水準を決定する役割も担っている。

 これにより、ビジネスステークホルダーに対する透明性がもたらされ、必要な防護策を受け入れて資金を投じるか、あるいは関連リスクを意識的に引き受けるかを、十分な情報に基づいて判断できるようになる。そして、説明責任はビジネス側に残ることが保証される。

 同時に、保護の適切さは静的なものではない。セキュリティを一度限りの最低基準として扱うのではなく、変化する脅威、技術、規制上の変化に合わせて進化させなければならない。組織は、最低限の実行可能なアプローチを既定とするのではなく、セキュリティに関する意思決定をビジネス価値やリソース投入、リスク選好と整合させる必要がある。

出典:Simplifying Privacy Baselines for Modern Enterprises(Gartner)

※この記事は、2026年6月に執筆されたものです。

筆者 Bart Willemsen

VP Analyst


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