AIの「脱クラウド・オンプレミス回帰」が66%、「AI案件の中止」も多数――その原因は?:企業に迫るインフラ見直し、Clouderaが調査
AI活用の本格化に伴い、企業のITインフラに変化が起きている。AIプロジェクトの延期や中止、クラウドから別の環境への移行も相次ぐ。何が企業のAI活用の障壁となっているのか。Clouderaが調査した。
生成AIやAIエージェントの活用がPoC(概念実証)から本格展開へと広がりつつある一方、その足元ではITインフラの在り方を揺さぶる変化が起き始めている。
AI活用を進める企業では、インフラの何が問題になっているのか。データ管理プラットフォームを提供するClouderaが2026年8月17日に発表した調査レポート「AIアーキテクチャの大転換(The Great AI Re-Architecture)」から、その実態が見えてきた。世界1500人のIT担当者を対象に実施した調査だ。
「AIの脱クラウド」「AI案件の中止」も相次ぐ――何が原因?
AIプロジェクトの延期や中止を余儀なくされたり、インフラではクラウドから別の環境へ移したりする動きが目立っている。調査結果からは、AI活用の本格化に伴って既存のインフラが直面する課題が浮かび上がっている。
調査対象企業の77%がAIを積極的に活用している一方、95%は過去1年間に、データガバナンス、コンプライアンス(法令順守)、規制対応上の課題を理由としてAIプロジェクトの延期または中止を経験していた。
72%は、今後のAI活用に対応するには、データをどこに保存し、どう管理するかといったデータアーキテクチャ(データ基盤の仕組み)を大幅に見直す必要があると回答した。日本ではこの割合が69%だった。AI活用の拡大に伴い、既存のデータ基盤では対応が難しくなっている企業が多いことを示す結果だ。
84%がAIワークロードでインフラコストが上昇
一方でAIは限定的なPoC(概念実証)の段階を超え、企業の業務に本格的に組み込まれ始めている。ただし、企業の既存インフラはこうしたAI活用の拡大を前提として設計されておらず、データの保存や処理にかかる負荷が高まっている。
調査対象者の75%は、AIの導入によって自社のデータストレージやアーキテクチャの運用方法が変化したと回答した。日本でも同様の傾向が顕著で、73%が運用方法が大きく、またはある程度変化したと回答し、そのうち38%は大きく変化したと回答した。
AIワークロードの増加に伴い、インフラコストが上昇したと回答した割合は84%に上った。日本でも86%がインフラコストが増加したと回答した。
Clouderaは、企業がデータの保存場所だけでなく、データをどのように管理・ガバナンスし、AIシステムへ提供するかというデータ基盤そのものを見直していると分析する。
66%がプライベートクラウドやオンプレミスへ移行
こうした課題を背景に、AIを実行する環境にも変化がみられる。66%の企業は、過去1年間にAIワークロードをパブリッククラウドからプライベートクラウドまたはオンプレミス環境へ移行したと回答した。クラウドだけに集約するのではなく、パフォーマンスやガバナンス、コストなどに応じて複数の環境を使い分ける動きが広がっている。
日本企業の今後のインフラ投資先では、「オンプレミスへの投資拡大」が最多で、それぞれ以下のような結果となった。
- オンプレミスへの投資拡大:35%
- クラウドへの投資拡大:31%
- ハイブリッドファースト:22%
- エッジへの投資拡大:12%
25%の企業は、今後2年間で「ハイブリッドファースト」のアーキテクチャを最優先すると回答した。クラウドだけ、オンプレミスだけといった単一の環境に集約するのではなく、AIワークロードの特性に応じて複数の環境を使い分けることが、今後のインフラ戦略の一つになるとみられる。
73%が「AIでデータガバナンスが複雑になった」
73%の企業は、AIの導入によってデータガバナンスがより複雑になったと回答した。55%は、過去12カ月間にガバナンス、コンプライアンス、規制対応上の課題を理由として、6件以上のAIプロジェクトを延期または中止していた。日本企業でも、AIをどのようなインフラで運用するかを判断する際、データセキュリティやガバナンス、コンプライアンスが重視されている。
データが複数の環境に分散していることも、ガバナンスを難しくする要因だ。97%の企業が、少なくとも月1回はクラウドやオンプレミスなど異なる環境の間でデータを移動していると回答した。AI活用が広がる中では、データがどこにあっても同じルールで管理できる仕組みが重要になる。
同調査は米州、EMEA(欧州、中東、アフリカ)、APAC(アジア太平洋地域)の3地域9市場のエンタープライズアーキテクト、クラウドインフラ責任者、データアーキテクト計1500人を対象に、2026年6月5日から22日にかけてオンラインで実施したもの。
対象企業は従業員1000人以上。スペイン、シンガポール、南アフリカの3カ国のみ250人以上。内訳は米国600人、カナダ100人、ブラジル100人、南アフリカ100人、スペイン100人、英国200人、シンガポール100人、インド100人、日本100人となっている。
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