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障害調査にかかる時間を20分の1に airClosetは「客に言われるまで問題に気付けない」をどうなくした?「オブザーバビリティーツールを入れても使われない」を解消

システムの問題は、原因が分からなければ解決が難しくなる。社外からの指摘で異変に気付くこともあったというエアークローゼットは、問題の原因を突き止めるための仕組みをどう変え、調査を迅速化したのか。

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 約150万人(2026年3月末時点)の会員を抱える「airCloset」は、プロのスタイリストが選んだ衣服をレンタルできる、女性向けの月額制ファッションサービスだ。airClosetを運営するエアークローゼットは、サービスや物流を支える基幹システムを内製しており、約70件の開発プロジェクトを常時並行で進めている。

 エアークローゼットはサービス運営と物流を支えるために、スタイリストによる洋服選定用のスタイリングシステムや倉庫管理システムなど、連携する複数のシステムを構築・運用してきた。規模と複雑性が増すにつれて、システム全体の状態を把握することが難しくなり、障害が発生しても原因をすぐに特定できないことが課題になっていた。

 課題の解決に向けて、エアークローゼットはシステムの状態や性能を可視化し、問題の検知や原因特定を支援する「オブザーバビリティー」製品を導入した。だが現場での活用が進まず、airClosetのエラーやレスポンス低下に利用者が先に気付き、カスタマーサポートを通じてエンジニアに伝わることもあったという。

「調査時間を20分の1」にした仕組みとは?

 そこでエアークローゼットは実効性を高めた新たな仕組みを構築し、問題調査にかかる時間を従来比20分の1に短縮するなどの成果につなげた。その仕組みとは、どのようなものなのか。

 エアークローゼットが構築したのは、New Relicの同名オブザーバビリティー製品を活用した、AIOps(AIによる自律運用)の仕組みだ。「New Relic Analyzer」と名付けたこの仕組みは、New RelicのMCP(Model Context Protocol)サーバ「New Relic MCP Server」と、複数のAIエージェントを連携させることで、障害などの問題の検出から原因調査まで自動化した。

 New Relic Analyzerは、毎朝9時に処理を自動起動するサービス「Cloud Scheduler」と、AIエージェント「Gemini Agent」、New Relic MCP Serverなどで構成する。Cloud Schedulerが起動すると、Gemini AgentはNew Relic MCP Serverの機能を使い、New RelicのAPM(アプリケーション性能監視)機能で監視しているアプリケーションの状態を分析して、問題を自動検出する(図)。

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図 New Relic Analyzerが検出できる問題と、それぞれの検知条件(出典:New Relicのプレスリリース)《クリックで拡大》

 問題を検出した後は、原因調査もAIエージェントが進める。エアークローゼットが内製したソースコード調査用のMCPサーバ「Git Server MCP」を通じて、アプリケーションのソースコードを調査し、問題の原因となった箇所を特定する。その上で修正案を作成し、プロジェクト管理ツール「Backlog」に改善内容を記したチケットを、日本語と英語の併記で自動起票する。

 AIエージェントによる問題調査では、監視データの取得やソースコードの調査などに外部のツールを利用する。ツールの呼び出し回数や利用時間に上限がある場合、AIエージェントが調査を続けるうちに制限に達し、調査が完了しないことがある。New Relic Analyzerは、ツールの呼び出し回数や調査時間をあらかじめ設定し、残りの呼び出し可能回数もAIエージェントに伝えることで、調査を完了しやすくした。

原因究明の早期化でエンジニアのアサインにも好影響

 New Relic Analyzerにより、問題調査にかかる時間は従来比20分の1になり、性能監視から改善計画立案までの工数はゼロになったという。問題を招いた原因のソースコードを特定できるようになったことで、問題の内容に応じて必要なスキルや経験を持つエンジニアをアサインしやすくなった。さらにNew Relicを活用した性能問題の調査や分析、改善を進めることで、スタイリストが顧客に合った洋服を選ぶまでにかかる時間は年間2520時間分削減したという。

 エアークローゼットがNew Relicを選定する上で特に評価したのは、導入後の活用支援の充実度だ。以前のオブザーバビリティー製品では得られなかった、監視体制の立ち上げ支援の手厚さを評価したという。オブザーバビリティーに必要なデータを網羅的に収集、分析、可視化できる点も評価した。

 今後は問題調査だけではなく、修正ソースコードの生成やレビュー、テスト、デプロイまでAIによる自動化の範囲を広げる。2026年内には一部の性能問題について、検出から修正ソースコードのリリースまでAIで完結させる自律運用を実現する計画だ。New Relicは2026年7月8日、本事例を発表した。

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