AIを理由に「新卒採用を停止」した企業が22% Gartnerが警鐘、若手を切る企業の“将来のツケ”:AI時代に求められる若手の採用、育成の在り方とは?
企業の最高人事責任者110人に対するGartnerの調査によると、回答者の所属企業の22%では、ビジネス部門リーダーの少なくとも1人がAIによる自動化を理由に、新規学卒者レベルの人材採用を停止している。
Gartnerは2026年7月27日(米国時間)、企業の最高人事責任者(CHRO)110人を対象に2025年第4四半期に実施した調査により、回答者が所属する企業の22%では、ビジネス部門リーダーの少なくとも1人がAIによる自動化を理由に、新卒・若手レベルの人材採用を停止したことが分かったと発表した。
この調査では、これらの企業の95%は過去1年間に、何らかの形でAIを導入しているが、大きな価値や変革的な価値を得たのは5社に1社にとどまることも明らかになった。
AI時代に求められる若手の採用、育成の在り方とは?
現在、多くの企業ではAIの導入において、複雑度の低いタスクの多くを補完、自動化することに重点が置かれている。これらは従来、新卒・若手レベルの従業員が担当してきたタスクだ。その結果、こうしたキャリア初期の人材が持つ従来型スキルと、AI導入企業で人間が担当する業務として残っている中で最も複雑度の低い業務の間に、ミスマッチが生じている。
「これを受けてキャリア初期の人材のパイプラインを断ち切る対応を取った企業は将来、人材面で深刻な課題を抱えるリスクがある」と、GartnerのHR(人事)プラクティス部門ディレクターアナリスト、ケイリン・ローマスター氏は指摘する。
「企業はキャリア初期の人材の役割をなくしてしまうのではなく、より高付加価値の業務に、より早期に貢献できるようにそれらを再定義し、将来必要となる人材を育成すべきだ」(ローマスター氏)
新卒・若手レベルの人材が担う役割をなくすと、企業は経験豊富な人材を外部から採用し、割高な報酬を支払わざるを得なくなることが多い。時間をかけてスキルや人的ネットワーク、自社固有の知見を築ける低リスクの実務機会も減少する。そのため、企業はキャリア初期の人材が複雑なタスクや、より高いレベルの不確実性に対応できるように、育成方針を転換しなければならない。
Gartnerは、キャリア初期の人材の能力と、AIが活用される環境における業務の複雑さの間で広がるギャップに対処するために、CHROが優先すべきアプローチとして以下の3つを挙げている。
【1】若手に安全に任せられるタスクの特定
「AIが仕事をどのように変えているかを理解することは、企業が役割の異なる従業員間でタスクを移行させる機会を特定するのに役立つ」と、GartnerのHRプラクティス部門ディレクターアナリスト、アニカ・ジェッセン氏は説明する。
「AIによってどのタスクの時間が削減されるかを把握することで、リーダーは新たな監督業務を設け、キャリア初期の人材に安全に移行できるタスクを特定できる」(ジェッセン氏)
GartnerはCHROに、この再編を支援するために以下に取り組むことを推奨している。
- 自社の最重要バリューストリームを支える人材の能力を詳細に分析する
- AI投資がそれらのスキルや能力に与える影響をマッピングし、役割が異なる従業員間での業務の移行が最大の影響をもたらす可能性が高い、変化が大きく価値の高い職種群を特定する
- この分析は戦略レベルから開始し、重要なビジネス能力を支えるバリューストリーム、そのために必要な人材の能力、「それらの能力を、AIによる支援や補完、自動化、自律運用がどのように変えているか」を検討する
【2】チームの支援体制の構築
「AIが活用される環境では、従来の人材育成手法はもはや十分ではない」と、GartnerのHRプラクティス部門ディレクターアナリスト、ミーガン・ケリー氏は指摘する。
「企業は、日常業務を通じた段階的なスキル形成には頼れなくなっている。従業員がキャリアの早い段階から、より複雑で判断力を要する役割をこなせるように、支援する体制を用意しなければならない」(ケリー氏)
CHROは、ビジネス部門リーダーと連携して具体的なリスクを洗い出し、実務を通じた学習のより幅広い選択肢を共同で設計する必要がある。人事部門は、従業員による役割の習得を支援することから、従業員の多能化を推進することへと、自社が人材育成のアプローチを転換するように導かなければならない。
【3】育成のセーフティネットの整備
今日の企業では、キャリア初期の従業員が日常業務を通じて判断力や経験を養う機会が減っている。
Gartnerは、企業がこの問題に対処するために、従業員が不確実な状況を乗り切りつつ、ミスとその影響を最小限に抑えるのに役立つツールやガイダンス、同僚とのつながりといったセーフティネットを提供することを勧めている。研修についても「ビジネス感覚や、従業員の具体的な行動がどのようにビジネス価値を生み出すか」に焦点を当てて、見直すべきだとしている。
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