もう頑張らない「静かな退職」じわり広がる――なのに企業の対策が“的外れ”なのはなぜ?:500人の調査で分かった“残念な現実”
職場への熱意が低下し、必要最低限の仕事にとどめるようになる「静かな退職」。なぜ「そこまで頑張らなくていい」と考えるようになるのか。企業が講じている対策の実態とは。500人を対象にした調査から探る。
マーケティング支援を手掛けるクレオは、20〜50代の会社員500人を対象に実施した「静かな退職」に関する調査の結果を、2026年9月4日に公開した。静かな退職とは、職場への熱量が低下し、必要最低限の仕事にとどめるようになることだ。ITエンジニアや情報システム担当者にとっても無縁ではない、静かな退職。その実態と背景を明らかにするのが、この調査の目的だ。
回答者に静かな退職の経験を聞いたところ、「過去に経験したことがある」(9.2%)や「今ちょうど経験している」(18.2%)を合わせて27.4%と、約3割が経験ありと答えた。「経験したことはないが、共感はする」との回答も37.2%あり、合わせて64.6%が静かな退職について経験または共感していた。
だから「静かな退職」は止められない
そもそも静かな退職が起こる理由は何なのか。企業はどのような対策を講じているのか。その対策は効果を発揮しているのか。調査結果をもう少し詳しく見ていこう。
静かな退職を過去に経験した、もしくは経験中だと答えた回答者に、静かな退職を始めたきっかけを尋ねたところ「仕事の成果に対して、適切に評価されていないと感じた」が29.2%で最も多かった(図1)。「心や体が疲れてしまった」が28.5%、「『仕事はそこそこにして、プライベートや家庭を最優先したい』と考えるようになった」が27.0%、「どれだけ頑張っても、昇進の見込みが薄いと感じた」が24.1%と続いた。
クレオによると、静かな退職は単なる不満ではなく、勤務先への熱量低下の前兆だ。こうした状態に陥りそうな従業員の兆候をいち早く把握する方法として、従業員の企業への共感度や信頼度、貢献意欲などを把握するための「従業員エンゲージメント調査」がある。
「勤務先が従業員エンゲージメント調査を実施している」と答えた回答者に、こうした調査が「やりがい」の向上や働く環境の改善に役立っているかどうかを問うと、「役に立っていると思う」が20.0%、「まあ役に立っていると思う」が33.6%だった。一方で否定的な見解を示した回答者も46.4%に上った。内訳としては「役に立っていないと思う」が16.8%、「あまり役に立っていないと思う」が29.6%だった。
従業員エンゲージメント調査に否定的な見解を示した回答者に、その理由を尋ねたところ、最多は「『調査を実施すること』自体が目的になっているように感じる」で29.3%だった。「会社から、結果に対する具体的な改善策が示されない」「回答しても、どうせ会社や組織は変わらないと諦めている」が同率の27.6%で続いた。
企業が従業員に対して適切に働き掛ければ、従業員は静かな退職の状態から回復できる可能性がある。実際、過去に静かな退職を経験した回答者の71.7%、現在経験している回答者の57.1%が、「静かな退職の原因に対し、会社が適切に対処すれば、職場に対する熱意や信頼を取り戻すと思う」と回答した(図2)。
調査は2026年7月10〜13日にインターネットで実施した。派遣・契約社員や公務員、自営業、パート・アルバイトは調査対象から除外したという。
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