テレワーク廃止で人が辞める――それでも企業が“出社させたがる”のはなぜ?:管理職かどうかでテレワークへの意識が異なる
テレワークから出社へ――。企業の間で出社回帰の動きが広がる一方、テレワークの制限や廃止を受けて、退職や転職を検討する人もいる。それでも企業が出社回帰を進めるのはなぜなのか。
学研ホールディングスのグループ会社であるベンドが運営する、社会人のリスキリング・学び直しを扱うWebメディア「スキルアップ研究所」は2026年7月31日、「出社回帰の代償に関する試算レポート」を公開した。出社回帰が、ITエンジニアを含む働く人にどのような影響を及ぼすのかについて、複数の調査結果を基に分析・考察したものだ。
国内企業の間では、出社回帰が着実に進んでいる。パーソルキャリアの調査機関であるJob総研が社会人327人を対象に実施した「2026年 出社に関する実態調査」(調査期間:2026年3月25〜30日)では、75.5%が2025年と比べて出社頻度が「増える」と回答した。その回答者に出社頻度が増える理由を聞くと、「会社の方針が変わった」が39.7%で最も多かった。
出社回帰によって、働く人にはどのような影響が生じるのか。日本生産性本部の「テレワークに関する意識調査」(調査期間:2023年5月29日〜6月6日)では、勤め先のテレワーク制度が制限・廃止された場合について、管理職ではない雇用者(以下、非管理職)1000人の16.4%が「退職・転職を検討する」、24.9%が「今の勤め先で継続して働くが、時短勤務など働き方の変更を検討する」と回答した。
企業が求めているのは「出社」そのものではない?
そもそも企業は、なぜ出社を増やそうとしているのか。調査結果からは、オフィスに人を集めること自体が目的ではないことが分かる。
レバレジーズが2025年7月15〜18日に実施した「リモートワークに関する実態調査」では、ITエンジニアを採用する企業の担当者・経営者534人に、出社を増やすことを検討している理由を尋ねた。その結果、「マネジメントをしやすくするため」が52.6%で最も多く、「生産性を向上させるため」が47.4%で続いた。
スキルアップ研究所は、出社には対面での円滑なコミュニケーションや人材育成のしやすさといった利点があると指摘する。その上で、企業が求めているのは出社そのものではなく、出社によって得られていた「メンバーの状況が見える」「すぐに声を掛けられる」といった状態だと分析する。
ただし管理職と比べて、非管理職はテレワークの制限・廃止による働き方の変化を受け入れにくい可能性がある。前述した日本生産性本部のテレワークに関する意識調査では、「退職・転職を検討する」と回答した割合は管理職の9.6%に対して、非管理職では16.4%と約1.7倍だった。マネジメント実務の有無が、テレワークへの意識に影響を及ぼしているとみられる。
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