初回正答率の向上で「対話の往復」削減 Meta「Muse Spark 1.3」の推論強化と活用ポイント:100万トークン対応と選べる料金体系
Metaが新たに公開したモデル「Muse Spark 1.3」は、推論能力の強化により開発時の「会話の往復」を削減するという。100万トークンのコンテキストやマルチモーダル処理を継承しつつ、選べる2種類の料金体系を提示している。
Metaは2026年9月2日(米国時間)、エージェントワークフローとコーディング性能を強化したAIモデル「Muse Spark 1.3」を発表した。長時間のタスク実行を想定して設計されており、複雑であいまいな指示や競合する入力情報でも文脈を維持しながら自律的に処理を進められるという。
同モデルは、開発者の日常的なコーディングや自律型エージェント開発向けに調整された。初回試行時の生成精度向上や安定したツール呼び出しにより、不要な会話の往復を削減している。
また同モデルシリーズの特徴として動画や画像を直接認識できるマルチモーダル処理能力を持ち、コンテキストウィンドウは最大100万トークンをサポートし、大規模なコードベースの把握や長時間の動画解析といった膨大なコンテキストを必要とする用途に対応するという。
長期エージェント実行とコーディング作業の効率化
従来のAIモデルによるソフトウェア開発では、対話回数の増加に伴いコンテキストの喪失や指示の取りこぼしが生じやすく、修正作業が長期化する課題があった。「Muse Spark 1.3」では長期タスクを安定して処理できるよう最適化されており、過去の実行履歴や会話のいきさつを追跡し、状況を整理しながら作業を進められるという。
「コーディング性能では、フロントエンドからバックエンド、インフラ構成に至るまで協調パートナーとして機能する水準を目指した。不要な対話を挟まず初回試行時の正答率を引き上げたことで、複数ステップにわたるリファクタリングや機能実装を自律して遂行できる」(Meta)
Muse Spark 1.3のマルチモーダル機能は、外部変換を介さずモデル自体が動画や静止画、ドキュメントを直接知覚する構造を採用している。
これにより、Webアプリケーションの操作録画やUI(ユーザーインタフェース)のスクリーンショットを入力するだけで、モデルが意図を読み取り、対応するコンポーネントやロジックの実装を構築する。「画面設計と実装コードの乖離(かいり)を最小限に抑えられる」と、Metaは述べている。
主要ベンチマークで示されたエージェント性能と推論精度
MetaはMuse Spark 1.3の推論能力を測定するため、エージェントタスク、長大コンテキスト処理、コーディングの3分野にわたるベンチマーク結果を公開した。以下に示す「max」や「xhigh」は「Reasoning Effort」の設定値を示している。
エージェント性能
知識作業の自律遂行能力を評価する「GDPVal-AA v2」において、推論設定を最大にした「Muse Spark 1.3(max)」はスコア1754を記録した。前世代の最大設定である「Muse Spark 1.2(xhigh)」の1615を上回り、Anthropicの「Claude Opus 5(max)」の1824に迫る数値を達成した。ツール利用能力を測る「JobBench」では64.9%を記録した。
PCの操作能力を測る「OSWorld 2.0」では、部分一致スコアで66.9%、完全一致スコアで32.0%を記録した。前世代モデルの47.6%(部分一致)および17.9%(完全一致)から向上している。
調査タスクを評価する「DeepSearchQA」では90.3%、社内指標「Agentic IF Index」では57.8%、業務ワークフロー自動化を評価する「AutomationBench」では49.6%となった。
長大コンテキスト処理
大規模コンテキストの検索能力を測定する「MRCR」(Multi-Round Co-Reference Resolution)において、25万6000〜51万2000トークンの範囲で98.5%、51万2000〜100万トークンの範囲で98.1%の正解率を維持した。長大なトークン長における精度低下を改善している。
コーディング性能
実践的なコーディング能力を測る「DeepSWE v1.1」において、「Muse Spark 1.3(max)」は75.4%を記録し、「Muse Spark 1.2(xhigh)」の55.0%を上回った。
コードベース理解力を測る「SWEAtlas CodeBase QnA」では59.4%、ターミナル環境での操作を評価する「Terminal-Bench 2.1」では88.8%に達した。詳細な検証データや検証方法は技術レポートで報告されている。
製品改善データの利用有無で分かれる2種類の料金体系
Muse Spark 1.3は、用途やデータ保護要件に応じて選択可能な2種類のモデルオプションで提供される。いずれもコンテキストウィンドウは100万トークンに対応する。
「muse-spark-1.3-contributor」
入力データがMetaの製品改善やモデル訓練に利用されるオプションだ。利用料金は100万トークン当たり入力料金が0.10ドル、プロンプトキャッシュを適用したキャッシュ入力料金が0.002ドル、出力料金が0.20ドルとなっている。
「muse-spark-1.3」
入力データが製品改善や再学習に利用されない商用・エンタープライズ向けオプションだ。機密性の高いソースコードを扱う環境に適している。利用料金は100万トークン当たり入力料金が1.25ドル、キャッシュ入力料金が0.15ドル、出力料金が4.25ドルに設定されている。
いずれもAPI経由での従量課金制であり、MetaのAPI提供基盤「Meta Model API」から利用できる。
ターミナル環境「Muse Code」とエージェント開発用クックブック
Metaは「Muse Spark 1.3」の開発環境として、ターミナルでマルチエージェントコーディングを実現するツール「Muse Code」を案内している。自律ワークフロー構築に向けた実装ガイドを開発者向け公式ドキュメントページで公開している。
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