APIでクラウド間をオンデマンド専用線接続 4大クラウドやEquinixが採用するオープン仕様とは:「Connection Coordinator API」(1/2 ページ)
ライバルであるAWSとGoogle Cloudが共同で開発した、オープンなクラウド間接続APIの採用が広がりつつある。他の主要クラウドやクラウドエクスチェンジのEquinixも、この仕様に対応したサービスを発表している。本稿では、このAPI仕様の概要と、AI時代のクラウドインフラに必要とされている理由を解説する。
マルチクラウドでITインフラを構成する企業は少なくない。こうした企業の間で、クラウド間をより柔軟に接続したいというニーズが高まっている。AI活用が進めば、アプリケーションやシステムの要件に応じて複数のクラウドを高速に接続し、あたかも1つのインフラ基盤のように利用する必要性がさらに高まると考えられる。
例えば、データはクラウドAに集約し、LLM(大規模言語モデル)はクラウドBが提供するものを利用し、アプリケーションはクラウドCで稼働させる、といった構成だ。
GPUについては、入手の困難さやコスト最適化の観点から、クラウド/データセンターを柔軟に切り替えて使いたいというニーズが顕在化している。複数のクラウドやデータセンターに分散したGPUを、あたかも1つのリソースプールのように活用する取り組みも進みつつある。
こうした用途で求められるのは、一般的なインターネットVPNではなく、帯域や低遅延を確保しやすいプライベート接続だ。だが、従来の専用線接続では、設定の度に時間や人手、専門知識が必要になる。構築済みのネットワークに変更を加える場合も、相応のコストが発生する。
これまでネットワークは、拠点間を固定的に接続するために構築されることが多かった。そのため、開通までに時間がかかったり、構築や変更に一定のコストを要したりすることも、ある程度は受け入れられてきた。
しかし、こうした仕組みでは、マルチクラウドを利用したAIシステムを機動的かつ迅速に構築・運用したいというニーズに対応しにくい。
こうした課題に対応するため、Amazon Web Services(AWS)とGoogle Cloudは共同でクラウド間接続のAPI仕様「Connection Coordinator API Specification」を開発し、2025年12月に公開した。
これは、Apache License 2.0で公開されたオープンな仕様だ。クラウド事業者やデータセンター事業者などが実装できる。対応する事業者が増えれば、ユーザー企業は複数のクラウドやネットワークサービスを組み合わせやすくなる。
AWSとGoogle Cloudは、この仕様に基づくサービスを展開している。Google Cloudは「Cross-Cloud Interconnect for AWS」という名称で、2025年12月にAWSとの接続サービスを発表した。AWSは「AWS Interconnect-multicloud」という名称で、2026年4月にGoogle Cloudとの接続サービスを、続いて2026年7月にはOracle Cloud Infrastructure(OCI)との接続を正式リリースした。Microsoft Azureとの接続も2026年中に実現するとしている。
コロケーション/クラウドエクスチェンジを提供するEquinixも、このAPI仕様を活用した「Equinix Fabric One」というマルチクラウド接続サービスを発表した。2026年中にβ版、2027年に一般提供を開始する予定だ。
Fabric Oneは「Any-to-Any接続」をうたうサービス。ユーザーはFabric One上にネットワークを作成し、接続したいクラウドや拠点をエンドポイントとしてアタッチできるという。
複数クラウド間のプライベート接続をオンデマンドで構成
Connection Coordinator APIを使うと、ユーザーはクラウド間のプライベートな接続を利用し、自社トラフィックをインターネットに出すことなく通信する構成を作れる。
前提となるのは接続するクラウド間が専用回線で接続されていること。各クラウドは、Connection Coordinator APIを使ったサービス用に一定の通信キャパシティを用意しておく。ユーザーはAPIを使い、自社のためのプライベート接続をこのキャパシティの中から払い出してもらうイメージだ。
Connection Coordinator APIを利用すれば、アプリケーション担当者などがシステム要件に応じて、専門的なネットワーク設定を手作業で行うことなく、複数クラウド間のプライベート接続をオンデマンドで構成できる。開通までの時間は数分とされている。
実際の接続設定には、クラウドの管理コンソールやCLI、APIを利用する。APIで操作できることから、AIエージェントがユーザーに代わって接続を構成する、といった運用も技術的には考えられる。
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