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「モバイル4社の5G速度、最大9倍の違い」「Wi-Fi 8は“つながらない”を改善へ」――無線通信のいま:単純なスペック比較では分からない?(1/2 ページ)

山手線における「5G」の実測では同じ規格でも大きな差が表れ、次世代の「Wi-Fi 8」は最高速度より安定性を重視。NTTは、ミリ波よりも周波数が高い「サブテラヘルツ帯」で光通信に匹敵する超高速伝送を実現。無線通信の進化と現在地を追います。

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 「5G」(第5世代移動通信システム)の普及や次世代「無線LAN」規格の登場によって、無線通信の利用シーンは広がっています。外出先でも利用するモバイル通信の高速化、オフィスで利用する無線通信の安定性など、いまや無線の進化は企業のネットワークにとっても欠かせない重要な視点です。どのような進化があるのか、直近の動向を追ってみましょう。

同じ「5G」でも速さは一様ではない 4キャリアで最大9倍の差

 外出先からのオンライン会議やクラウドサービスの利用など、ビジネスでもモバイル通信を利用する機会は増えています。高速通信を実現する5Gのサービスエリアは拡大していますが、その通信速度については実際どの程度出るようになっているのでしょうか。

 ICT総研は2026年9月8日に、携帯キャリア4社の5G速度を調査した結果を公表しました。調査は山手線全30駅のホームで、午前7〜9時の朝ラッシュ時間帯に実施したもので、キャリア間でも大きな違いが見られました。どのキャリアが最も速かったのでしょうか。

 下り通信速度の平均が最も速かったのはソフトバンクで184.7Mbps。次いでau(KDDI)が181.4Mbps、NTTドコモが180.9Mbpsとなり、上位3社はほぼ横並びでした。

 一方、楽天モバイルは20.6Mbpsで、最も速かったソフトバンクとの差は約9倍に達しました。

キャリア別の5G通信速度の比較
キャリア別の5G通信速度の比較(提供:ICT総研)

 全体としては前年から向上しています。4キャリアの平均は141.9Mbpsで、2025年6月の調査(131.8Mbps)より約10Mbps速くなりました。ICT総研は要因として、5G SA(スタンドアロン)の対応エリアの拡大や、auの「au 5G Fast Lane」、ソフトバンクの「Fast Access」といった通信優先制御サービス(特定の料金プランや契約回線を対象に、通信の優先度を割り当てる仕組み)の普及を挙げています。

 ただし、今回の結果だけで各キャリアの通信品質を一概に評価することはできません。通信速度は、基地局の配置や周波数、同じ基地局につながる利用者数などで変わるためです。

 それでもこの結果から分かるのは、5Gという同じ通信規格を利用していても、実際の通信速度は利用環境によって大きく異なるということです。無線通信の進化を考える上では、最大速度だけでなく、実際の利用環境でどれだけ安定した通信ができるかという視点も欠かせません。

 通信速度はキャリア別だけでなく、測定する場所によっても違いがありました。4社の平均で最も速かった新大久保駅は286.1Mbpsだったのに対し、最も遅かった高田馬場駅は35.3Mbpsと、約8倍の差が生じています。

山手線の各駅ラッシュ時の平均通信速度
山手線の各駅ラッシュ時の平均通信速度(提供:ICT総研)

Wi-Fi 8は「最高速度」を競わない 実環境での安定性を磨く無線LAN

 企業のオフィスなどで広く利用されている無線LANの次世代規格にも、安定性や信頼性を重視する動きがあります。

 標準化が進む「Wi-Fi 8」(IEEE 802.11bn)の理論上の最大速度は、現時点で46Gbpsと想定されており、標準化済みの最新規格「Wi-Fi 7」(IEEE 802.11be)と同等で大きな違いはありません。一方で、進化を考える上での焦点の一つは、実際の利用環境での通信品質がいかに改善されるかです。これはルーターからの距離や接続端末数、他の通信との干渉などによって左右されます。

 ネットワーク機器ベンダーのTP-Link Systemsは、2026年9月1日にWi-Fi 8対応の製品群を発表しました。同社は、Wi-Fi 8で対処する主な課題として、電波が弱い場所での通信品質の低下、多数の端末が同時接続することによる通信の混雑、周囲の電波との干渉による通信の不安定化の3点を挙げています。

 電波が弱い場所での通信品質の低下に対しては、「ELR」(Enhanced Long Range)と「DRU」(Distributed Resource Unit)によって通信範囲を広げ、ルーターから離れた端末などの送信性能を高めます。

 多数の端末が同時接続する環境では、「NPCA」(Non-Primary Channel Access)を活用し、通信が混雑していてもネットワークの応答性を維持しやすくします。

 周囲の電波との干渉に対しては、「UEQM」(Unequal Modulation)と新しい「MCS」(Modulation and Coding Scheme)を活用し、干渉が大きい環境でも安定したスループットを維持しやすくします。

 3つの課題に共通するのは、ルーターの近くという好条件での最高速度ではなく、離れた場所、端末が多い環境、干渉がある環境といった実際の利用場面での安定性です。無線LANの評価軸は、「どれだけ速いか」から「どんな環境でも、どれだけ安定して使えるか」へと進みつつあるといえるでしょう。

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