第8回 Webブラウザー・ツールで動作確認をしよう
富田 陽介
Banana Systems株式会社
2009/9/29
Railsアプリケーション開発を支援する統合開発環境「3rdRail」を使って、開発、デバッグ、プロファイリングの手法をマスターしよう(編集部)
前回までは、連載第1回で作成した「つぶやき」アプリケーションを拡張/機能追加するという流れで、Modelクラス、Controllerクラス、Viewテンプレートの開発ステップを紹介してきました。
今回は、作成したアプリケーションを3rdRail IDE上で稼働させ、動作確認を行う方法を紹介します。具体的には、以下の内容について説明します。
- 3rdRailでのRailsアプリケーション起動
- DOMインスペクターおよびリクエスト・モニター機能の利用
なお、3rdRailの機能を紹介するにあたって、前回までに作成してきた「つぶやき」アプリケーションを使用して、説明を進めていきます。
ユーザーの初期データを作成する
第1回で、3rdRailでのアプリケーション起動方法について簡単に紹介しましたが、ここでもう少し詳しく紹介しておきたいと思います。
まずは、「つぶやき」アプリケーションの起動準備を行いましょう。「つぶやき」アプリケーションは、第2回以降の改修により「ユーザー(User)」のモデルが追加されました。前回までに作成したアプリケーションでは、「つぶやき」新規作成においてユーザーの選択を行うようになっていましたので、ユーザーの初期データが必要です。
今回は、Railsのコンソールから初期データを作成していきます。Railsのコンソールは、第2回でも紹介した、3rdRailのRailsコンソール機能から起動できます。
3rdRailのメニューから、[ウィンドウ]−[Railsコンソール]−[最後または新規のコンソール表示]の順にクリックすれば、ウィンドウ下部の[コンソール]タブにRailsコンソールが表示されます。
起動したコンソールに、以下のとおり、Userの初期データを作成するコードを入力します。
>> User.create(:name => '草薙') => #<User id: 1, name: "草薙", created_at: "2009-07-29 08:48:56", updated_at: "2009-07-29 08:48:56"> >> User.create(:name => '服部') => #<User id: 2, name: "服部", created_at: "2009-07-29 08:48:56", updated_at: "2009-07-29 08:48:56"> >> User.create(:name => '富田') => #<User id: 3, name: "富田", created_at: "2009-07-29 08:48:56", updated_at: "2009-07-29 08:48:56">
これで、初期データが設定できました。正しくデータが作成されているか以下のコードで確認してみましょう。
>> User.find(:all) => [#<User id: 1, name: "草薙", created_at: "2009-07-29 08:48:56", updated_at: "2009-07-29 08:48:56">, #<User id: 2, name: "服部", created_at: "2009-07-29 08:48:56", updated_at: "2009-07-29 08:48:56">, #<User id: 3, name: "富田", created_at: "2009-07-29 08:48:56", updated_at: "2009-07-29 08:48:56">]
先ほど記述した3件の初期データが入っていることが確認できたでしょうか。では、次にRailsアプリケーションの起動方法について紹介していきます。
3rdRailでのRailsアプリケーション起動オプション
3rdRailでは、IDE内でアプリケーションサーバを起動する際のオプションとして、以下が用意されています。
- (通常)実行:単純な動作確認などで使用
- デバッグ実行:デバッガ機能を利用する際に使用
- プロファイル実行:組み込みのプロファイラ機能を利用する際に使用
これらの起動オプションは、[Railsエクスプローラー]でプロジェクトを右クリックした際に表示されるメニューの、[実行][[デバッグ][プロファイル]で指定できるので、開発時の目的によって使い分けると良いでしょう。
今回は、(通常)実行とデバッグ実行について紹介していきます(プロファイル実行については次回以降に紹介します)。
なお、通常実行時とデバッグ実行時には、IDE内で使用するWebブラウザを、次の2つから選択できるようになっています。
- 3rdRailで設定したWebブラウザ(初期設定ではOS側でデフォルト利用設定されたWebブラウザ)
- 3rdRailに組み込まれているMozillaブラウザ
使用するWebブラウザは、先ほどの起動オプションを選択した際に展開されるメニューで、[サーバーで実行][Mozillaで実行]などのメニューで指定します。
3rdRailに組み込まれているMozillaブラウザを使うことで、IDE中でHTTPリクエストの送信状況を確認するリクエスト・モニター機能や、Webブラウザに読み込まれているDOMツリーを解析するためのツールDOMインスペクターを使用できます。
Webブラウザー・ツールを使う
それでは、早速アプリケーションを起動してみましょう。プロジェクト内で作成された[ビュー]を右クリックして起動すると、起動直後に該当のビューを表示できます。
今回は、「ひとこと」一覧のビューへアクセスしてみましょう。[Railsエクスプローラー]で[tsubuyakiプロジェクト]−[コントローラー]−[Hitokotos]−[ビュー]の順にツリーを展開し、indexを右クリックして表示されるメニューから、[実行]−[Mozillaで実行]をクリックします。
Railsアプリケーションサーバが起動し、「ひとこと」一覧画面がMozilla Webブラウザで表示されます(Mozillaブラウザが起動したことは、上部タブのアイコンからも分かります)。
3rdRail組み込みのMozillaブラウザを使用した場合、Web開発ツールとしてWebブラウザー・ツールが用意されています。tsubuyakiアプリケーションを起動した状態で、3rdRailメニューから[ウィンドウ]−[パースペクティブを開く]−[Webブラウザー・ツール]をクリックしましょう。画面表示がWebブラウザー・ツールのパースペクティブに切り替わります。
Webブラウザー・ツールのパースペクティブは、上図のような画面構成になっています。どのような機能が利用できるか、以下、タブ名別に簡単に紹介します。
- DOMインスペクター
- Webブラウザに読み込まれているDOMツリーを表示します
- ブラウザー・コンソール
- Webブラウザからのコンソール出力を表示します
- リクエスト・モニター
- WebブラウザとRailsアプリケーションサーバの間のリクエスト/レスポンスを表示します
- DOMソース
- 選択されているDOMノードのHTMLソースを表示します
- CSS
- Webブラウザに読み込まれているスタイルシートを表形式で表示します
- JavaScript
- JavaScriptデバッガ機能が利用できます
- DOMウォッチャー
- 指定のDOMノードへのイベント監視機能が利用できます
- コンソール
- 実行中のRailsアプリケーションログを表示します
Webアプリケーション開発/動作確認の工程において、クライアント側/サーバ側で非常によく利用される機能が、1つのパースペクティブにまとまっています。今回は、上記の中からDOMインスペクターとリクエスト・モニターについて紹介します。
1/2 |
Index | |
Webブラウザー・ツールで動作確認をしよう | |
Page1 ユーザーの初期データを作成する 3rdRailでのRailsアプリケーション起動オプション Webブラウザー・ツールを使う |
|
Page2 DOMインスペクターとその関連機能 リクエスト・モニターの利用 |
3rdRailによるRailsプログラミング入門 |
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