Database Watch 12月版 Page 1/2
人気ダントツのORACLE MASTER、
新制度を解剖する
加山恵美
2004/12/14
今月に入ってからいきなり寒くなり、手袋を取り出しました。クリスマスの飾りもよく目にするようになりましたが、青の発光ダイオードを用いたものも普及しているようですね。寒色でも暖かな雰囲気を出すように、少しぼんやりとさせるところに技を感じます。12月はデータベースの資格制度について比べてみます。
■データベースは花形スキル
@IT自分戦略研究所では2004年8月にスキルアップや資格取得動向について読者調査を行いました。その結果によると、データベース分野は資格保有者(31%)も取得希望者(43%)も多く「花形スキル」に分類されています。注目度が高いということです。このデータベース分野に該当する試験とは具体的には、情報処理技術者試験のテクニカルエンジニア(TE):データベース、ORACLE MASTER一連、MCPのMCDBAです。
図1 データベース分野の資格取得者数と取得希望者数 |
中でもORACLE MASTERが目立ちますが、ほかとは対象層が違うことも加味しておかなくてはなりません。情報処理技術者試験やMicrosoft試験がデータベースに限定しないITスキル全般を広範囲に問う入門レベルから積み上げていき、その延長線上にデータベースに特化した試験が設けられているのに対し、ORACLE MASTERは入門から最難関までデータベース関連試験に該当してしまうからです。また同じデータベース関連試験でも対象製品や試験の性質が異なるので単純に比較することは難しいですが、難易度で考えるとテクニカルエンジニアのデータベースやMCDBAはORACLE MASTERの比較的上位のレベルに相当することになるでしょう。
対象層や性質に差があるとはいえ、冒頭に示したデータベース分野とされる資格の大半がORACLE MASTERで占められているのは間違いありません。そのORACLE MASTERの資格取得者数からレベル別に見ていくと、最も難易度が低いSilver Fellowが18%で最も多くなっています。次はBronzeですが、こちらは2%とガクンと減ります。これはBronzeがOracle 10gで新規追加されたレベルなので、試験の実施期間が短いことが原因でしょう。特に読者調査を実施した8月の段階では、BronzeはSilver Fellowからの移行でないと取得できませんでした。より難易度の高い資格の取得者数に目をやると、Silverが9%、Goldが4%、Platinumがナシです。8月当時はOracle 10gでSilver以上の試験は実施されていないため、これらはすべてOracle9i以前の取得者です。これからOracle 10gの資格取得者がどう増えていくか気になります。
一方、将来のORACLE MASTER予備軍、つまり取得希望者数を見ると、最も数が多いのはSilverの19%です。複数回答なので重複も推測できますが、難易度と価値を考慮したうえで妥当な目標に掲げられたのがSilverのようです。そうなると回答者の間にはSilver FellowやBronzeは通過点で、最終目標とするにはやさし過ぎるという認識がうかがえます。特にSilver Fellowは「メタルグレードではない」といわれることもあります。実はSilver Fellowとはバージョンに限定されない資格であり、加えてグローバル(世界共通)な制度の中では対応したレベルがないため、グローバルな資格にはなりません。そのため、受験者の間ではSilver Fellowは通過点にすぎないという評価が多いようです(参考記事「Oracle 10g対応のORACLE MASTERとは?」)。
情報処理技術者試験を見ると、テクニカルエンジニアのデータベース試験は取得者数が4%と少ないですが、取得希望者数は25%です。データベース分野では最高の希望者数です。これは難易度が高く、さらに国家試験であることが価値を高め、結果として取得意欲の高さにつながっているようです。実際にORACLE MASTERのPlatinumを取得しても情報処理技術者試験のデータベースはまだ取得していないという人もいます。ほかと比べて年に1度しか受験できないことも取得者数が少ない要因と考えられます。
■ORACLE MASTER保持者はOracle 10gへ移行すべきか
次に各ベンダ試験の概要と実施状況を見ていきます。まずはORACLE MASTERから。製品知識や運用スキルを問う試験なので、製品のバージョンに合わせて資格体系が組まれています。ただし先にも述べたようにSilver FellowだけはOracle Database一般とSQLの基礎知識を問う試験なので、製品のバージョンには特定されません。それ以外の試験はBronzeからPlatinumまで難易度と分野で分類されています。最新のOracle 10g資格体系ではBronzeからPlatinumまでの4段階で、Oracle9i以前ではSilverからPlatinumまでの3段階です。Platinumのみ実技試験で、ほかはすべて選択肢から正答を選ぶCBT形式です。
ORACLE MASTERは実施状況に注意が必要です。Oracle9i資格体系はすべて実施されていますが、Oracle 10g資格体系はまだ段階的に開始されている途中です。11月末現在ではBronzeの2試験とGoldの移行試験は実施されていますが、それ以外はまだです。ただし、Silver DBAは間もなく開始されるもようです(編集部注:本記事を公開後、Silver DBAは12月22日より試験提供が開始になりました)。
認定資格 | 新規取得向け試験 | 移行試験 |
ORACLE MASTER Bronze Database 10g | Bronze SQL基礎 I | |
Bronze DBA 10g | ||
ORACLE MASTER Silver Database 10g | Silver DBA 10g | |
ORACLE MASTER Gold Database 10g | Gold DBA 10g* | Gold DBA 10g 新機能 |
ORACLE MASTER Platinum Database 10g | 未定* | 未定* |
表1 ORACLE MASTER試験の実施状況 (*赤字で表記した試験は2004年12月22日時点で、まだ実施されていません) |
現段階ではOracle 10g資格体系で取得できるのはBronzeと、なぜかSilverは飛ばしてGoldです。なぜなら既存の資格からの移行という経路があるからです。Bronzeは新規でも移行でも取得できますが、Goldの移行試験が11月22日から開始となったので移行経由ならGoldも取得できてしまいます。もしOracle9i Silverを保有していてOracle 10g Goldが最終目標なら、先にOracle9iでGoldを取得してからOracle 10gのGold移行試験を受けるという方法もあります。
図2 DBAトラックにおけるOracle9i SilverからOracle 10g Goldへの移行パス |
なぜSilverの移行試験よりもGoldの移行試験が先に実施されるのでしょうか。それは、Goldの移行試験だけが新機能に的を絞った特殊なものだからです。新機能だけ覚えればいいとなると簡単そうに聞こえるかもしれませんが、かなり膨大な内容で軽く見ると痛い目に遭いそうです。(次ページへ続く)
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Index | |
連載 Database Watch 12月版 人気ダントツのORACLE MASTER、 新制度を解剖する |
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Page 1 ・データベースは花形スキル ・そろそろORACLE MASTER資格もOracle 10gへ乗り換え? |
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Page 2 ・DB2にはDB2グローバルマスター ・Microsoftのデータベース資格ならMCAとMCDBA ・どれを狙うか、ベンダ資格 |
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