Database Watch 2月版 Page 2/2
PostgreSQL 8.0は
ついにWindowsネイティブ対応
加山恵美
2005/2/17
■XMLデータベースの最新事情
話題がXMLに向けられてしまうためか、どことなく地味なXMLデータベースについてあらためて考えてみます。一般的にXMLデータベースとは、データをRDB(リレーショナル・データベース)とXMLの両方の性質で利用したり管理できるものと考えていいでしょう。具体的にはExtractValue関数でXMLデータをRDBデータとして参照したり、XMLElement関数でRDBデータをXMLデータとして参照するようなことです。
こうした連携機能は標準規格でも進められています。最新のSQL標準規格であるSQL2003でも先に述べたようなXML連携(SQL/XML)は重要な課題の1つになっています。SQL2003のXML連携では、XML型やその値、SQLとXMLの対応付け、SQLデータからXMLを生成する関数群(XMLForest、XMLConcat、XMLAggなど)などが規定されています。
(参考図書)
「SQL2003ハンドブック SQL最新標準規格」
土田正士、小寺孝/著
2004年12月出版
ソフト・リサーチ・センター発行
ISBN:4-88373-207-X
価格:3,360円(税込)
さて、こうした条件を満たすとしても、XMLデータベースと呼ばれるものは3通りに分類できます。ネイティブXMLデータベース、XMLが使用可能なデータベース(RDBやオブジェクト指向型DBなど)、ハイブリッドXMLデータベースです。ネイティブXMLデータベースとは、XML文書を論理的なモデルで定義して、格納や検索ができるものです。少なくとも、要素、属性、PCDATA、順番が含まれていなくてはなりません。物理的な格納については特に制限はありません。次のXMLが利用可能なデータベースとは、マッピングによりXMLが利用可能となっているものです。ネイティブに比べて間接的です。データベースにマッピング層が存在し、XMLのXPathやSQLでデータが操作可能となっているものです。最後にハイブリッドXMLデータベースとは、先に挙げた2つのXMLデータベースの両方の機能を持ち合わせているものをいいます。
XML文書をそのままの形で格納するか、要素や属性をマッピングして格納するかで性質にも違いが出ます。これらの違いは非構造化と構造化ともいいます。非構造化だと、XMLタグと値をそのまま格納するのでディスクをより多く消費します。またXML構造は解析しないと分からないため、検索では必要な部分を全部読み込んだうえで解析しなくてはなりません。構造化だと、値がテーブルにマッピングされて格納されるのでディスク消費量を低く抑えることができます。検索するにしても、すでに構造化されているため一部を読み込めばいいだけです。しかし、構造化して格納するためにリソースを多く使用することにもなります。
実際のデータベース製品で考えると、ネイティブXMLとXML利用可能なデータベースと両方の機能を兼ね備えたハイブリッド型が求められてきているようです。またSQL2003にあるXML連携だけではなく、XML標準にも準拠していることがアピールポイントになります。例えば冒頭で取り上げたOracle Database 10gのRelease 2でも、メジャーなデータベース製品で初めてXQueryをサポートすると発表されています。それから非構造化と構造化については、構造化に対応した機能を持ち合わせていることが求められてきています。ほかにも、全文検索機能を有していること、またそれが高速であることも重要です。RDBとXMLの関係を見ると、今後もますます融合が進み、両方の性質を同時に利用できるものが求められてきているようです。
このRDBとXMLの関係についてより詳しく知りたければ、XMLコンソーシアムが開催するセミナーに足を運んでみるとよいでしょう。会員以外でも参加可能で無料だそうです。
- XMLコンソーシアム・セミナー XML-DB特集(東京:3月14日)
■どのデータベース資格を取得すべきか?
ここ最近、ひそかに野望を抱いています。今年の目標としてデータベースの資格に挑戦してみようかどうか……。こうして記事であれこれと書いているのに不勉強ではよろしくありません。特に資格試験の動向に触れて取得を促すようなことまでしているのに、無資格ではどこか不誠実のような心苦しさもあります。確か2年前も同じようなことを考えて、XMLマスターを取得してしまいました。「次はデータベース資格だろうか」と考える今日このごろです。
そこで、いまはどの資格にしようかと物色中です。エンジニアなら顧客の環境が優先されて製品や資格試験を選びますが、今回は自己啓発なので何を選んでもよいことになります。せっかく受験勉強するなら、できるだけ汎用的で応用が利くものがお得ではないかと考えています。そうはいうものの、本屋でデータベース資格の書籍を眺めながら、「こんなに厚いなんて」「こんなに覚えられないかも」とひるみながらウロウロしています。最初からこんなに弱気で大丈夫でしょうか。
ではまた来月、お会いしましょう。
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2 ・XMLデータベースの最新事情 ・どのデータベース資格を取得すべきか? |
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