Database Watch 8月版 Page 1/2
PostgreSQLとMySQLが急接近しているらしい
加山恵美
2005/8/11
あるWebサイトのアクセス解析データを表計算ソフトで分析していましたが、データの累積が6万5000件を超えたころ本格的なデータベースへ移行したくなりました。このように、当初は表計算ソフトで管理していてもデータ量や項目の増加によりRDBMSへ移行するケースは多いと思います。「これが切り替えどきか」と実感しました。
■商用RDBMS、次期バージョンをめぐる競争が熱い“夏の陣”
今月は開発者にうれしいオラクルと運用管理者にうれしいマイクロソフトのニュースが対照的です。まずオラクルから。.NET環境のためのオラクルデータベース開発ツール「Oracle Developer Tools for Visual Studio .NET」が8月2日からOracle Technology Network Japan(OTN)にて無償で提供開始されています。この提供に併せ、.NET環境での開発に役立つ資料を集めた.NET Developer Centerもリニューアルされました。また日本オラクルは8月2日にJava統合開発環境の最新版「Oracle JDeveloper 10g」の無償ダウンロードを2005年10月3日(月)よりOTNにて開始すると発表しました。こちらは昨年よりソースネクストから販売されていたものですが1年間の使用期限がなくなり、また無償ダウンロード版も購入版もともに有償のサポート契約のオプションが提供されることになりました。
次にマイクロソフトです。8月2日から4日間にわたり開催された「Tech・Ed 2005 Yokohama」では、次世代製品の紹介や技術解説が集中的に行われました。「SQL Server 2005」を含めた次世代製品は2005年11月17日に発表するとあらためて予告があり、いよいよSQL Serverは新時代に突入しそうです。ちなみに、次のSQL Server 2005はマイクロソフトのRDBMS製品では第3世代と呼ばれています。第2世代はSQL Server 7.0から2000までがそれに当たるそうです。同イベントの基調講演では@ITニュース「SQL Server、Visual Studioは11月17日発表、攻勢強めるMS」にもあるとおり、マイクロソフトはSQL Serverのライセンス数やトータルコストにおける優位性を強調していました。
■SQL Server 2005は高可用性で勝負!
SQL Server 2005では新機能となるデータベースミラーリングをはじめ、可用性が特に強化されています。データベースミラーリングとは、
- メインとなるプリンシパル
- プリンシパルと同期するミラー
- プリンシパルとミラーを監視するウィットネス
これら3つで構成されます。そこでは常にプリンシパルの内容がミラーに同期され、もしプリンシパルに障害が発生すればミラーが自動的にフェイルオーバーしてプリンシパルの役割を果たします。ミラーリング方法には同期モードと非同期モードがあり、前者ではプリンシパルとミラーの両方が更新されてからユーザーに応答を返し、後者ではプリンシパルを更新してからユーザーに応答を返し、ミラーはその次に更新するような動きになります。いずれにしても最終的にはミラーリングされることは変わりません。なお、ミラー(待機系)やウィットネスとして使うならライセンスは不要です。
可用性対策はほかにもあります。前からあるフェイルオーバークラスタリングですが、SQL Server 2005からセットアップの自動化、ノード数拡大(32bit版なら8ノードまで)、クラスタリング機能対応サービスの拡大などが新機能として掲げられています。またSQL Server 2000ではオンラインでの復元が不可で復元中のデータベースへのアクセスもできませんでしたが、SQL Server 2005からはオンラインでの復元や(復元中のデータファイルを除いて)データベースへのアクセスが可能となり、復旧処理自体も高速化するそうです。さらに自動最適化機能、例えばメモリの自動チューニングやディスク領域の自己管理なども強化されています。SQL Server 2005では高可用性のための技術が豊富に提供されているため、どれをどのように使うかよく検討した方がよさそうです。
ただし一般的には可用性を完全に近づければ近づけるほど、データベース・システム以外の管理対象も増えることは覚悟しなくてはなりません。そのため稼働率のレベルをどこまで求めるのか目標設定したうえで比較検討することが大切です。
■得意のベンチマークで迎え撃つオラクル
さてこのようにマイクロソフトはSQL Serverの次期バージョンにおける高可用性をアピールしましたが、オラクルも負けていません。「Tech・Ed 2005 Yokohama」で基調講演が行われた日、8月3日に日本オラクルは米国オラクルのベンチマーク結果を発表しました。米国では7月11日から提供されている「OracleDatabase10g Release 2」では同Release 1と比較して27%のパフォーマンス改善があったと報告しています。また同じくRelease 2では「TPC-H」の3テラバイト・データウェアハウジング・ベンチマークで世界記録を樹立したとも報告されています。性能をめぐる競争はまだまだ続きそうです。
さらにオラクルは教育体制でコースの拡充と認定資格の新設を発表しました。コース拡充には各業務領域別にスキルの向上を目指すため「Applications Boot Camp (ABC)技術者短期養成新規コース」ほかがあり、これまでモジュール別に開催されていた研修を業務領域別に分けることでより短期に効率よくスキルを習得できることが期待されています。また「オラクル認定コンサルタント」のTechnical(アプリケーション開発)の分野で「Tech DBA(Database Administrator)」「Tech Forms」「Tech OAF(OA Framework)」のシルバー認定資格、「Tech DBA(Database Administrator)」のゴールド認定資格が新設されることになりました。(次ページへ続く)
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