Database Watch 12月版 Page 1/2
3週間で100万ダウンロード、MySQL 5.0は
人気爆発
加山恵美
2005/12/16
師走になり急激に寒くなりました。今年はオープンソースRDBMSでバージョンアップのリリースが続き、コミュニティ活動の活発さに圧倒されました。またRDBMSベンダ間はますます激しく火花が散るようになってきました。データベースの世界は年中常夏のようです。
■いよいよSQL Server 2005のダウンロード配布開始
マイクロソフトは11月17日、「the Microsoft Conference 2005」にて「SQL Server 2005 日本語版」の開発を12月15日に完了すると発表しました。開発を完了すると、直ちに「Visual Studio with MSDN Subscription」の会員向けにWebダウンロードにて提供が始まります。
同イベントではスペシャルキーノートとしてマイクロソフトコーポレーション リサーチ グループ テクニカル フェローのジム・グレイ(Jim Gray)氏が登壇しました。グレイ氏はトランザクションやデータベースの第一人者です。講演の冒頭ではまずデータベースが登場したばかりの1980年代の課題を振り返り、現在は当時に比べるとハードウェアもソフトウェアも飛躍的に進化したことを示しました。しかしグレイ氏によると「IT革命はまだ始まったばかり」だそうです。
続けてSQL Serverの歴史も振り返りました。マイクロソフトのRDBMS製品は3世代に分類することができます。1990年代後半の第1世代ではインターネットサポートやレプリケーションの搭載が行われました。1990年代末期の第2世代ではOLAPとETLの標準搭載や64bitサポートなどが進み、信頼性や可用性を高めていきます。第3世代から現在まではTCO削減や自動チューニングの必要性に重点が置かれてきました。そして今年、SQL Server 2000から5年の開発期間を経て、1000もの機能追加を行い、満を持してSQL Serverの新しい世代が始まります。
第1世代 | SQL Server 6.0/6.5 | |
・Sybase SQL Serverとの差別化 |
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第2世代 | SQL Server 7.0 | SQL Server 2000 |
・リレーショナルサーバの再設計 |
・信頼性/スケーラビリティの向上 |
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第3世代 | SQL Server 2005 | |
・エンタープライズクラスのスケーラビリティ |
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表1 SQL Serverの歴史 (「the Microsoft Conference 2005」のプレゼン資料より編集部で作成) |
SQL Server 2005の価値はあらゆるものが標準搭載になることだとグレイ氏は強調しました。つまり結果的に安く上がるということです。また「simplify & unity」(簡素化と統一性)を念頭に開発が進められていたそうです。
■SOAも強く意識したSQL Server 2005
グレイ氏の話からSOAに関する部分に注目してみます。ここ数年では散在するシステム環境が抱える課題として柔軟性、資源の最適化、即応力などが挙げられています。これらを解決する手段にシステムを機能(サービス)の集合ととらえて、システムを構築することが提唱されてきています。これがSOA(サービス指向アーキテクチャ)です。
SQL Server 2005でもSOAは強く意識されており、新機能の多くはデータベースを統合的なSOAサービスプロバイダとして使用するときの1要素となり得ます。マイクロソフトのSQL Server開発部門では、これをサービス指向データベースアーキテクチャ(SODA)と呼ぶそうです。SODAを実装するSQL Server 2005の機能には次の3要素が挙げられます。
- ネイティブなWebアクセス
サービスのエンドポイントとしてHTTPやSOAP、WS-Security、WSDLなどが利用可能 - サービスブローカー
安全で非同期、信頼性の高いメッセージング - クエリ通知
キャッシュしたデータに更新を通知
また別のセッションではビジネスプロセスを統合する機能を持つ「BizTalk Server」と絡めてSOAを解説するものもありました。来年上半期には「BizTalk Server 2006」の出荷が予定されています。組み合わせて使うことにより、プラットフォーム全体の価値が高まるとマイクロソフトは主張していました。
ほかにもビジネス・インテリジェンスやデータマイニング、「Visual Studio 2005」との機能統合により開発生産性を向上させることなど、話題は盛りだくさんでした。グレイ氏はセッションの最後にSQL Server 2005への期待を述べて締めくくりました。
「私は5年も待ちました。あなたもそうでしょう。さあ使いましょう」
(次ページへ続く)
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