Database Watch 12月版 Page 2/2
3週間で100万ダウンロード、MySQL 5.0は
人気爆発
加山恵美
2005/12/16
■どっちからどっちがお得?
顧客獲得の動きが激烈です。本連載10月版「PostgreSQL 8.1は“速い”というもっぱらのウワサ」ではオラクルのマイクロソフトからの移行を促す「Accessからの移行アセスメントサービス」を紹介しましたが、今度は逆方向です。マイクロソフトが期間限定で競合他社のデータベースからの移行キャンペーン「SQL Server 2005への移行:期間限定ディスカウントキャンペーン」を始めました。「Oracle」「IBM DB2」「日立HiRDB」「富士通Symfoware」などからSQL Server 2005へ移行することでライセンスが最大半額になります。2005年12月1日から2006年6月30日までです。
■管理なら任せなさい
戦いはライセンス獲得だけにあらず、管理ツールで制するという戦略もあるようです。先月号「祝! 正式リリース MySQL 5.0/PostgreSQL 8.1」では「Oracle Enterprise Manager(OEM)」の話をしましたが、それをさらに増強したものが来年リリースになります。それが「Oracle Enterprise Manager 10g R2 Grid Control」、提供開始は2006年1月11日からです。この提供に伴い、新ライセンスと価格が発表になりました。
OEMは運用管理の自動化とシステムの可視化に重点が置かれています。運用管理の手間を減らし問題解決を迅速に行うため、プロセス、データ、システムがどんな状況になっているのかを管理者に見えるように(可視化)、またチューニングなどを自動的に行えるようにしています。
新たな管理ツールでは管理対象をさらに拡大し、「BEA WebLogic」「IBM WebSphere」「F5 Load Balancers」「Network Appliance Filers」など他社製品のソフトウェアも管理できるようになります。次のフェイズではSQL Server、IBM DB2などの他社データベース、「Microsoft .NET」「Active Directory」を監視可能にする予定です。さらに次のフェイズでは「JBoss」も加わる予定で、ほかにも「Citrix Server」や「EMC NS Series NAS」も現在検討中だそうです。
今後もオラクルはさらなるグリッド管理の追求を続けるようです。将来的にはオラクルの管理ツールはより使いやすいインターフェイス、さらなる自動化、他社製品管理機能の拡充、ビジネス・プロセスフローのモニタリング、ライフサイクル管理を中心に進化を遂げることを掲げています。
■MySQL 5.0は3週間で100万ダウンロード
「MySQL 5.0」がリリースされてから、3週間で100万ダウンロードを超えました。それだけ待望の新版だったようです。
そういえば、MySQL 5.0リリース直前からフィードバックコンテストが行われていました。バグを発見したり、有用なフィードバックをした人にはiPod nanoが当たるというコンテストです。結果を見ると、すべての勝者が発表になっています。週次の勝者8人にグランプリ3人、加えて特別賞(Extra)が2人です。なんと、この特別賞の1人は日本人で、iPod nanoを見事にゲットしたようです。おめでとうございます。
ところでMySQLの主要なデータベースエンジン、InnoDBがオラクルに買収されたことについて続報が入っています。アイティメディアの報道によるとMySQL幹部の話として、オラクルがInnoDBを買収したためInnoDBの代替となる技術を提供することを計画しているそうです。MySQLは買収された直後に技術を高く評価してもらえたと受け止める、歓迎のコメントを出したと記憶していますが。具体的なことは近く明らかになるそうです。どのような形で代替技術が提供されるのでしょうか。
さてMySQL 5.0がリリースされた直後ですが、オープンソースの世界は動きが早いです。もう「MySQL 5.1」の開発が本格的にスタートしています。12月3日には次の最初のバージョン5.1.3-alphaがリリースされました。
■PostgreSQL 8.1は日本語マニュアルをリリース
「PostgreSQL」も11月8日に新バージョン8.1をリリースしました。1年で2度もメジャーバージョンアップをするとは、その意気込みやパワーには驚くばかりです。日本のコミュニティも活発です。日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)の文書・書籍関連分科会は、11月13日には8.1の日本語マニュアルをリリースしました。
まだ少し先ですが2006年2月には「PostgreSQL Conference」が2日間の日程で開催されるようです。
- PostgreSQL Conference(仮称)
2006年2月17〜18日(予定)、東京・品川イーストインタワー
PostgreSQLとMySQL、どちらも2005年はバージョンアップのニュースが続き、まさに豊作な年でした。しかし今年だけ特別というよりは、それだけオープンソースコミュニティの活動が活発になっている表れではないかと思います。来年以降、さらなる躍進が期待できそうです。
■HiRDB受験キャンペーン
日立のRDBMS、HiRDBの認定制度は2005年9月から始まりました。現時点では営業向けの「セールスコーディネーター」、また構築/運用向けの基本レベルとして「プラットフォームエンジニア」の2試験が実施されています。来年以降プラットフォームエンジニアの上位試験となる「プラットフォームエキスパート」、さらにアプリケーション開発向けの「アプリケーションエンジニア」と「アプリケーションエキスパート」が実施されるようです。
さらに2006年3月までHiRDB認定制度のキャンペーンが実施されています。期間中にHiRDB認定講座を受験すると、受講者全員にHiRDB体験版とオリジナルブックカバーを進呈、さらにHiRDB認定試験合格後2カ月間は、HiRDB体験版や技術情報に関するメール問い合わせが無料となるそうです。
さてはて。私感ですがブロガーの1人としてオラクルとシックス・アパートの協業にも興味があります。どうぞ風邪には気を付けて。ではまた来年、お会いしましょう。
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連載 Database Watch 12月版 3週間で100万ダウンロード、MySQL 5.0は人気爆発 |
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Page 2 ・管理なら任せなさい ・MySQL 5.0は3週間で100万ダウンロード ・PostgreSQL 8.1は日本語マニュアルリリース ・HiRDB受験キャンペーン |
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