Database Watch 4月版 Page 1/2
DBエンジニアが知っておくべき情報源を一括更新
加山恵美
2007/4/18
新年度が始まりましたので、あらためてデータベースの主要な製品とサイトを紹介します。データベースは古くからある技術ですが規模や性質で多様な違いがあり、いまでもまだ発展を続けています。
■オラクル、IBM、マイクロソフトが商用のご三家
新年度となり、新入社員または新たにデータベースに関する業務に携わることになった方もいるかもしれませんね。データベースの世界に足を踏み入れることになった方々、はじめまして。本連載では主にデータベース、特にRDBMS(Relational DataBase Management System)など業務で使うデータベースを中心にその動向をお伝えしています。ただし筆者はエンジニア出身ですがRDBMSのプロフェッショナルではありません。未熟者がデータベースの世界で見聞きしながら覚えたことを綴っております。@ITのDatabase Expertフォーラムともども、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
では早速ここでウオッチしているデータベース製品やそのサイトをざっと見渡してみます。まずは商用のRDBMSから、業務や基幹システムで用いられるデータベースで主要なものには3つの製品があります。勝手ながら筆者はよく「商用RDBMSご三家」と呼んでいます。
オラクル Oracle Database
オラクルを代表するOracle Databaseはグリッド技術を基盤としたデータベース製品です。現時点ではOracle Database 10g Release 2が最新版ですが、今年(2007年)夏にも次期バージョンとなる11gをリリースする予定です。すでに昨年(2006年)10月のOracle OpenWorld Conferenceからベータ版を公開しており、正式版のリリースまであと数カ月となりました。ここしばらくはOracle Database 11gの話題が増えそうです。
IBM DB2
IBMのデータベースとして代表的なものにDB2があります。2006年7月に最新版となるDB2 9がリリースされました。DB2 9はRDBMSでありながらネイティブにXMLを扱うことができるため、「新世代のハイブリッドデータベース」あるいは「pureXML」とも呼ばれています。XMLデータベースについては追って説明しますが、XMLのデータをそのまま格納しXQueryにもしっかり対応しているのが特徴です。ほかにもIBMのデータベース製品には基幹データベースで根強い人気を持つInformixもあります。
マイクロソフト SQL Server
マイクロソフトのデータベース製品というと、もしかしたらAccessを思い浮かべる人も多いかもしれません。手軽なので広く普及していますが、主に個人や小規模で使うOfficeファミリの製品です。全社的なシステムで使うマイクロソフトのデータベースといえば、Microsoft SQL Serverです。最新版は2005年末にリリースされたSQL Server 2005です。
またこれら以外にも日立のHiRDB、富士通のSymfoware、サイベースのAdaptive Server Enterpriseなどもあります。
どの製品もいろいろと特徴や利点があります。大事なのは要件に見合った製品をうまく選び、製品の特徴を最大限に生かすことではないでしょうか。これがまた難しく、プロフェッショナルの腕の見せどころでもあります。
■オープンソースのRDBMSも捨て難し
これまで紹介してきた商用RDBMSに負けず劣らず頑張っているのがオープンソースのRDBMS群です。コミュニティを通した開発者たちの熱意と努力に支えられ、育まれています。こちらも代表格が3つあります。
MySQLはスウェーデンのオープンソースRDBMSですが、その起源にはスウェーデンにあるTCX社で作成されたUNIREGがあります。MySQLと呼ぶようになったのは1995年からです。いまではYahoo!やNASAなど有名なサイトにも多く導入されており、広く普及しています。なおMySQLには手厚いサポートを受けられるエンタープライズ版(有償)が登場し、従来のものはコミュニティ版(無償)と呼ばれています。
正式版として最新かつ推奨されているバージョンはMySQL 5.0です。現在コミュニティ版で開発中のものではMySQL 5.1.xがベータとなっていますが、2007年初めにFalconを含むMySQL 5.2がアルファで公開されるようになりました。それから日本には日本MySQLユーザ会があり(別名:MyNA)、文献の翻訳や情報交換が行われています。
PostgreSQLも長い歴史があります。起源はアメリカのカリフォルニア大学バークレー校(UCB)で開発されたINGRESです。PostgreSQLという名称になったのは1996年からです。PostgreSQLと同じ起源を持つものにはInformixもあるのですよ。MySQLとPostgreSQLの経緯については本連載2004年10月版をご覧ください。
このPostgreSQL、近年の大きな転換点といえば8.0にてWindowsに対応したことです。近年では開発のピッチが上がり、年に1〜2回はメジャーバージョンアップをしています。正式版で最新のバージョンは2006年12月にリリースされたPostgreSQL 8.2です。また日本にはNPO法人で日本PostgreSQLユーザ会(別名:JPUG)があり、温泉合宿といったイベントや情報提供を行っています。
Firebirdといってもブラウザではなく、オープンソースのRDBMSです。日本ではやや影が薄いですが、国内も含め海外でも根強い人気を誇るRDBMSです。Firebirdの起源は米ボーランドが提供している商用RDBMSのInterBaseです。2001年にInterBase 6.0となったときに有償版と無償版に枝分かれし、無償版のソースコードが公開されたときからFirebirdプロジェクトが発足しました。ここからFirebird 1.0が生まれ、以来このコミュニティで着々と開発が進められています。
正式版としての最新バージョンは2006年11月にリリースされたFirebird 2.0です。実は今年に入ってからマイナーバージョンアップのリリースが続いており、2月にはFirebird 1.5.4、3月にはFirebird 2.0.1がリリースされています。現在はFirebird 2.1のアルファ版が検証中です。
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1 ・オラクル、IBM、マイクロソフトが商用のご三家 ・オープンソースのRDBMSも捨て難し |
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