Database Watch 4月版 Page 2/2
DBエンジニアが知っておくべき情報源を一括更新
加山恵美
2007/4/18
■近年XMLデータベースへの注目が再燃
先にIBM DB2でも触れましたが、RDBMSとはまた別にXMLデータベースも近年注目を浴びています。XMLについてはおおよそご存じの方も多いと思いますが、1998年にW3Cで勧告となった拡張可能なマークアップ言語で、昨今のネットでは欠かせない技術です。RDBMSのデータがテーブル構造をしているのとは対照的に、XMLのデータはツリー構造をしています。このツリー構造のデータをそのまま格納し利用できるのがXMLデータベースです。
最初に登場したXMLデータベースは当時オブジェクトデザイン社(現在はプログレスソフトウェア社)から出荷されたeXcelonでした。後にいろいろな経緯を経て現在その流れをくむのが日本のサイバーテック社のCyber Luxeonです。2000年をやや過ぎるころまではこうしたオブジェクト指向データベースを基にしたXMLデータベースが主流でした。しかし車に例えればマニュアル車であり、いい性能を引き出すには高度な技術が必要とされていました。
2001年にはメディアフュージョンのYggdrasill(イグドラシル)が登場しました。製品名はギリシャ語を由来としていますが、純国産データベースです。2005年12月からオープンソース化されています。
続けて2002年にはApacheからXindice、当時三井情報開発(現MKI)からNeoCore XMSが登場します。NeoCore XMSは「やわらかい」とその柔軟さが特徴となっています。なおこのNeoCore XMSの機能を一部制限し、非商用および個人利用に限定したものがXpriori(エクスプリオリ)です。
また2003年には富士通からShunsaku、さらに2005年には東芝からTX1が登場します。
お気付きの人もいると思いますが、ネイティブのXMLデータベースは国産や日本企業が中心となっているものが多いのです。それだけ日本にはXMLを好む土壌があるのかもしれません。ただし、いまのところXMLデータベースはまだ万能な製品はなく、RDBMSよりはるかに個性が分かれています。更新に強い、検索に強い、大規模に強いなど、それぞれの特徴を生かすべく最適な選択をできるかどうかが、XMLデータベースを採用するときの際どい分かれ道となりそうです。
■スキルのアピールに資格試験、交流にコミュニティ
それから最後に資格試験とコミュニティについてまとめて補足していきましょう。どのデータベースでもおおよそ認定資格制度があります。試験に合格すれば業務が万全とはいきませんが、スキルを客観的に証明する指標になります。また、オープンソースだけにかかわらず、商用データベースにも会社を超えた交流ができるコミュニティがあります。ここで技術の師匠を見つけるもよし、うち解ける仲間を見つけるもよしです。どちらもきっと人生の糧となるでしょう。
まずベンダによらない資格試験でいえば、国家資格の情報処理技術者試験が挙げられます。上位の試験に「テクニカルエンジニア(データベース)」があり、春期に試験が実施されます。それからXMLDBでいえば今年末ごろからXML Masterの上位試験として「XMLマスター:プロフェッショナル(データベース)」が実施される予定です。
商用RDBMSを順に見ていきましょう。オラクルのOracle Databaseには資格試験としてORACLE MASTERがあります。資格取得者は2006年6月現在世界で30万人、うち約半数となる15万人が日本のエンジニアが占めています。一方、オラクルのオフィシャルコミュニティにはOTNがあり、各種技術情報が常に発信されています。
次にIBM DB2にはDB2グローバルマスターがあります。オンラインのコミュニティにはUser's Forum for DB2 Japanや、DB2 Developer Domain、オフラインのコミュニティにはClub DB2ナイト・サークルがあります。ナイト・サークルは現在月2回のペースで実施されていますので、いつか足を運んでみるといいでしょう。
マイクロソフトの資格試験でデータベース関連といえば、MCAデータベース(MCA Database)とマイクロソフト認定データベース アドミニストレータ(MCDBA)を挙げることができます。加えてコミュニティにはSQL Server ユーザーグループ(PASSJ)があります。オンラインでは掲示板やブログ、オフラインのイベントも多く開催しており、とても活発です。
今度はオープンソースです。コミュニティはオフィシャルサイトそのものなので、認定試験を紹介します。MySQLの認定試験にはMySQL認定試験があります。バージョンは4.1と5.0、開発者向けと管理者向けに分かれています。いまではアップグレードも含め5.0の試験が主流となっているようです。
PostgreSQLの認定試験はPostgreSQL CEです。バージョンは7と8、レベルはSilverとGold、合計で4通りの試験があります。2007年1月にPostgreSQL CE 8 Gold試験が開始となり、PostgreSQLの試験はほぼ出そろいました。
今回紹介しきれなかったものもありますが、追って詳しく触れていきます。ではまた来月、お会いしましょう。
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Index | |
連載 Database Watch 4月版 DBエンジニアが知っておくべき情報源を一括更新 |
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Page 1 ・オラクル、IBM、マイクロソフトが商用のご三家 ・オープンソースのRDBMSも捨て難し |
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Page 2 ・近年XMLデータベースへの注目が再燃 ・スキルのアピールに資格試験、交流にコミュニティ |
Database Watch |
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