Database Watch 2008年5月版
ついにサンがMySQLの販売戦略を発表!
加山恵美
2008/5/12
■「MySQLユーザーカンファレンス 2008」開催も決定
「MySQLユーザーカンファレンス2008」の開催が決まりました。まだ先ですが、2008年10月30日から2日間、場所は東京ステーションコンファレンスです。
筆者から見るとこれは大躍進だと思います。MySQLはオープンソースのRDBMSとしては世界的な知名度と実績を誇るのですが、やはりオープンソースのためか、イベントは地味な印象でした。
例えば、2006年12月に開催されたMySQLのイベントでは、会場はスウェーデン大使館内のこぢんまりとしたホールでした。「MySQLはスウェーデン生まれなのだな」と実感しつつ参加したため、筆者はそのときの光景を鮮明に記憶しています。翌2007年9月の「MySQL Users Conference Japan 2007」はお台場の日本科学未来館で開催されました。六本木の大使館の次はお台場の日本科学未来館、そして次回は東京駅に直結した都心の大きなビルの中。どんどんと規模が大きくなってきているのがわかります。
MySQLはオープンソースのRDBMSでありながら、Enterprise版にてじりじりと着実にエンタープライズの領域に攻め入っているようです。
■SQL Server 2008の全貌も明らかに
次はマイクロソフトのSQL Server 2008です。前から予告されていたとおり、4月15日に東京で開催された「the Microsoft Conference」にて、Windows Server 2008やVisual Studio 2008とともにSQL Server 2008も正式に発表となりました。SQL Server 2008の出荷は今年の第3四半期となることがアナウンスされました。暑い夏を越えたら正式版が出るというくらいでしょうか(同イベントの詳細は「Windows Server 2008正式発表、IT技術者を巻き込めるか - @IT」を参照ください)。
もう少し具体的な話へと進めましょう。the Microsoft Conferenceのセッションでは、SQL Server 2008の製品概要として5つのポイントが示されていました。
- 高品質
- コンプライアンスの実現
- サーバ統合シナリオへの対応
- 大規模データウェアハウスの実現
- 全社員向けビジネスインテリジェンス(BI)基盤の提供
1つ目の「高品質」となる根拠には、まず幅広い採用実績のあるSQL Server 2005をベースにしていることと、今回から採用された新しい開発プロセスがあります。この新しい開発プロセスとは基本原則として製品(メインライン)は常に出荷可能に近い状態を保ち、主要なプロセス変更は製品(メインライン)とは分離して開発しているとのことです。
最新のプレビュー版は初の日本語版となるCTP2月版ですが、この段階でも出荷段階に相当近いクオリティとなっているとか。
次に「コンプライアンスの実現」ですが、これを実現するのが透過的データ暗号化、ポリシーベースの管理、データ操作監査の3つとなります。SQL Server 2005では暗号化や復号化をSQLにて行いましたが、2008では既存のアプリケーションコードを変更する必要がありません。また2008ではデータベースは定義された「データ管理ポリシー」に従い、SQL Server 2000や2005も管理対象とできます。
3つ目の「サーバ統合シナリオへの対応」の鍵となるのが、単一のサーバで複数のインスタンスを管理できる「マルチインスタンス」です。これでサーバ管理の一元化が可能となります。ここで役立つのが「リソースガバナ」や「パフォーマンスデータコレクション」といった新機能です。前者はワークロードを分類しリソース利用率を制限することができ、後者はパフォーマンスの状況をグラフィカルに監視できるようにするものです。
4つ目の「大規模データウェアハウスの実現」には、機能強化したデータパーティションと、新機能となるデータ圧縮とバックアップ圧縮が有効となるでしょう。中でもデータ圧縮は行圧縮にページ圧縮と種類が選べるのが特徴で、ストレージのコストを下げるのに役立ちそうです。ただしCPUを使うのでCPUの余力と相談になりそうです。
最後の「全社員向けBI基盤の提供」では、データの視覚化がよりいっそう強力なものになっているようです。レポート作成やデータマイニングのためのツールがリッチになり、Office 2000/2003が2007へとバージョンアップするようなイメージです。
このほか、Excelデータの有効活用のためのしくみが用意されていたり、また、Spacial(地理・空間)データ型に対応するため、地図情報との連携も強力になりそうです。正式版のリリースが待ち遠しいですね。
◇
ではまた来月、お会いしましょう。
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