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あちらもこちらも「R2」に本気

加山恵美
2009/9/28
Microsoft SQL Serverの次期版「Kilimanjaro」は正式に「2008 R2」となり、来年には正式版となる予定です。しかしその前にはOracle Databaseの次期版となる11g R2が発表されました。なぜかどちらも「R2」。

BIやDWHが期待のSQL Server 2008 R2

 マイクロソフトは毎年恒例のテクニカルカンファレンス「Tech・Ed Japan 2009」を8月26日から3日間、パシフィコ横浜で開催しました。今回で15回目だそうです。

 基調講演の目玉はWindows 7とWindows Server 2008 R2でした。デモではWindows 7の動作の軽快さや、アプリケーション仮想化で場所やマシンを変えても同じIDでログインすれば同じデスクトップ環境で作業を継続できることが示されました。またWindows Server 2008 R2についてはサーバの負荷に応じて動作クロック数を制御できるためWindows Server 2003 R2に比べて消費電力が20%も抑えられることや、仮想化環境を使うためのVHDブートが紹介されました。

 なお基調講演はサイトからライブ中継されました。しばらくは録画を閲覧できるようです。

 ところで、SQL Serverの次期版、コード名「Kilimanjaro」が気になりますよね。こちらは正式に「SQL Server 2008 R2」という名称に決まりました。8月からはCTP(評価版)がTechNet/MSDNサブスクリプションからダウンロード可能となっています。またBeta for SQL Serverのサイトを使えば環境を整えることなく、ネットワーク経由でお試しできます。これなら手軽でいいですね。秋には次のCTPが公開される予定だそうです。

 Tech・EdのテクニカルセッションではSQL Server 2008 R2について、もう少し詳しい紹介もありました。基本的には現行のSQL Server 2008をベースに開発され、最新鋭のハードウェア環境でより費用効果の高い拡張性を備えたものになるようです。注目されているBI周辺の機能について取り上げてみましょう。

 SQL Server 2008 R2を使ったBIでは、2通りのアプローチがあります。1つはユーザー自らがExcelからBI機能を利用できるものです。これまでコード名「Gemini」と呼ばれた機能で、Office 2010のアドインという形になるようです。リリースはSQL Server 2008 R2と同時の予定です。もう1つは玄人仕様のBI機能です。Visual StudioをベースとしたBI Development Studioを使います。

 前者は基本的にはExcelからSQL Serverのデータにアクセスするという感じで、レポートの作成にはウィザード形式のレポートビルダーを使います。Officeと同じリボンUIなので、ユーザーには親しみやすいかもしれません。表現できるグラフの種類も豊富です。

 なおExcelでは行や列の数に制限がありますが、次期バージョンでは大量のデータでもアクセスできるようになります。基調講演ではExcelで1億行のレコードを取り込んでいました。データを加工し、レポートを作成したあとはExcelのファイルとして保存し、SharePoint Server上で共有することもできるそうです。ユーザーが自らの手でデータ分析する可能性が広がりそうです。

 このほかSQL Server 2008 R2はDWHとして10TB以上の拡張性があり、さらに(スケールアップのための参照アーキテクチャである)Fast Track Data Warehouseを使えばさらに拡張可能となります。これと関係してコード名「Madison」というプロジェクトがあります。これはソフトウェアとハードウェアともに含めた高い可用性を持つDWHアプライアンスのソリューションを指します。マイクロソフトもオラクルのExadataのようなアプライアンスを出してくることになるのですね。

 9月7日には早速デルとマイクロソフトが協業を強化するとのリリースがありました。協業の対象となるのはデータセンターの仮想化インフラ、ユニファイド・コミュニケーション、デスクトップ環境の最適化、データベースマネジメントの分野です。特に最後のデータベースマネジメントでは、SQL Serverとデルのサーバを組み合わせた「SQL Server Fast Track Data Warehouse」を提供するとのこと。マイクロソフトのDWH分野への意気込みが伝わってきます。

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デルとMS、企業向けサービス4分野で提携拡大
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