[事例研究] 株式会社クボタ1.ホスト・コンピュータからPersonNTへ
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株式会社クボタ 人事労政部 人事グループ 課長 芝田敏行 |
「今回のプロジェクトは、マイクロソフトのコンサルティング・サービスを受けながら、.NETを応用したシステム開発を経験できる貴重なチャンスです。この過程で、最新のシステム開発手法やプログラミング・テクニックなどを会得したいと考えました」 |
農業機械や自動販売機などを扱う機械事業本部、鉄管事業や合成管事業を扱うパイプシステム事業本部、下水関連施設やリサイクル・プラント関連事業を扱う環境エンジニアリング事業本部、外壁材や浄化槽などを扱う住宅機材事業本部、機械鋳物や地下トンネル覆工材のダグタイルセグメントなどを扱う素形材事業部、空調システムを扱う空調事業部と、さまざまな分野に事業を拡大し、発展を続けてきたクボタだが、その一方では、あまりに幅広い事業分野を扱うことから、統合的な社内情報システムの整備は容易でなかった。「クボタの各事業本部・事業部が担う製品や、それがターゲットとしている市場、商習慣などはそれぞれまったく異なっており、各事業が発展する過程で、必要に応じて情報システムを構築してきました。オフコンあり、ホスト・コンピュータあり、UNIXワークステーションありで、ある種『勝手放題の世界』という状態です(笑)。こうした自由を許す社風がプラスに働いた部分もあるとは思いますが、悪く言えば社内の情報システムが乱立しているような状態です。統合の必要性は感じつつも、それはまだ実現されていません。人事や経理は比較的全社的なシステムですが、程度の差こそあれ、同じようなことがいえます」(クボタ 人事労政部 芝田敏行氏)。
現在の人事情報システムは、今から3年前の平成10年に構築された比較的新しいものである。このシステムでは、それまでは大型コンピュータで管理していた人事情報システムの一部を、PCサーバ・ベースのC/Sシステムにダウンサイジングした。クライアント・プログラムはVisual Basic(以下VB)を使用して開発し、サーバ側はWindows NTベースのPCとデータベース・ソフトウェア(Microsoft SQL Server)を組み合わせた。Windows NTを使った人事システムであることから、このシステムは「PersonNT」と呼ばれている。「それまで、基礎的な人事情報から給与計算まで、すべてを大型コンピュータで処理していましたが、管理/運用コストは莫大でした。そこで給与計算機能はそのまま残し、それ以外の部分を『PersonNT』と呼ばれるC/Sシステムにダウンサイジングさせ、管理/運用コストを大幅に圧縮することに成功しました」(クボタ 芝田敏行氏)。
現行の人事情報システム(PersonNT) |
現行の人事情報システムは3年前に構築されたもので、VBで開発した専用クライアント・アプリケーションを使用し、Windows NT/SQL Serverベースの人事情報サーバにアクセスする。システムの利用には、専用PCと専用VBクライアント・アプリケーション、専用ドメイン・ネットワークに参加する必要があった。また給与計算などは、以前から使用していたホスト・コンピュータを流用していた。 |
過去にはUNIXワークステーションなども手がけた経験がある同社が、人事システムのダウンサイジングでマイクロソフト製品を選択した理由は何だったのか? 「このPersonNTは、私たち人事労政部がリードしてプロジェクトを進めました。コンピュータの専門家でない私たちでも素早く理解でき、ほかのメンバーに教えることができ、簡単に管理したいということを考えると、やはり使い慣れたパソコンの延長で考えるのが自然でした。コマンドラインを駆使することなどは考えられません」(クボタ 芝田敏行氏)。
C/Sシステムの問題点
ダウンサイジングによって大幅なコストダウンを達成した新人事システムのPersonNTだが、クライアントPCやクライアント・プログラムのメンテナンスに多大な工数がかかるというC/Sシステムの典型的な問題に直面した。「PersonNTでは、クライアント側に専用パソコンと専用プログラムが必要になりますが、これらの保守やサポート、プログラム修正時の入れ替えなど、メンテナンス作業が常に発生していました。またPersonNTは人事専用のプログラムで、社内外のシステムと連携するのは困難でした。PersonNTは1つのトータル・システムとして設計されているため、システムの根幹にかかわるような大規模なシステム変更では、莫大な工数と費用がかかるという問題があります。時流から考えても、ブラウザから簡単にアクセスできて、サーバ側での集中管理が可能なWebソリューションに向かうべきだと感じていました」(クボタ 芝田敏行氏)。
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