[事例研究] 株式会社クボタ4.デザインからプログラム・トレース、デバッグまでをトータルに扱えるVS .NETでのWebアプリケーション開発
デジタルアドバンテージ |
VS .NETを使ったWebアプリケーション開発では、あたかもVBでのフォーム設計のような感覚で、部品をドラッグ&ドロップしながらWebページ設計ができる。このようなGUI設計ツールはJava向けにも存在しているが、VS .NETでは、ページの見かけ上のデザインだけでなく、それらの部品が操作された際の処理を記述するコーディングや、一連の処理の流れをモニタするプログラムのトレース、デバッグ機能などが非常に強力で、これに匹敵するJava開発環境はないという。「VS .NETのドラッグ&ドロップによるWebページ・デザインは便利ですが、これだけならJava向けにも同じような開発ツールがあります。VS .NETが違うのは、Webページを設計した後の作業です。VS .NETでは、設計したページと連動するコードの記述や、それらのトレース、デバッグまでをトータルに扱うことが可能です。はっきりと定量化したわけではありませんが、VS .NETを利用したWebアプリケーションの開発効率はかなり高いと感じます」(クボタシステム開発 伏見弘樹氏)。
VS .NETでのデバッグ作業 |
VS .NETを使用したWebアプリケーション開発では、VBライクに部品をドラッグ&ドロップしてユーザー・インターフェイスを設計し、それらの処理コードの記述し、それらが正しく動くかどうかをデバッグするところまで、高機能な開発環境であるVS .NETで一貫して行うことができる。 |
株式会社クボタ 人事労政部 人事グループ 係長 徳田敬三 |
「社内の大多数のユーザーはWindows+IEを使っていますから、IE以外のブラウザについてはあまり考慮する必要はないと思いますが、同じIEであっても、バージョン間での互換性については考慮する必要があると考えています」 |
Webアプリケーションとしてシステムを構築する場合、クライアントとして使用されるブラウザは、ユーザーによってNetscape Navigatorだったり、IEだったり、あるいは同じIEであってもバージョンが異なったりする。それらすべてをシステム側でサポートしようとすると、コーディングや試験に余分な時間と労力がかかる。システムによっては最初からブラウザを限定するようにしているものもあるという。しかしASP .NETによるWebアプリケーションでは、こういったブラウザの種類やバージョンの違いをフレーム・ワークが吸収してくれる。ブラウザがDHTMLに対応したIEなら、それを使用した最適化されたHTMLがクライアントに出力される。「現在でも、人事労政部では、人事異動などの情報を社員向けに通知するWebサーバを運営しています。これは全社的に参照されていますが、アクセス・ログを見ると、MacintoshユーザーとNetscapeユーザーがそれぞれ数パーセントいる以外、大多数のユーザーはWindows+IEを使っています。もし使用するブラウザをIEだけに限定するとしても、大きな問題はないと思っています。ただし同じIEでも、最新版ではない古いバージョンを使い続けているユーザーもかなりいます。最近の調査でも、まだIE 4.0を使っているユーザーが7%程度いました。こうしたユーザーについてはバージョンアップ等を考慮する必要があると思います」(クボタ 人事労政部 徳田敬三氏)。
将来は、XML Webサービスを活用した戦略的な人事情報システム基盤を構築
リッチなGUIを持つWebアプリケーションという意味では、WebサーバとWebブラウザ間でのネットワーク・トラフィックや処理性能も気になるところだ。「現在はまだ一部の機能を実装している開発途中の段階にあり、データベースは独立したサーバでテストしていますが、ASP .NETを実行するIISは開発環境のローカル・マシンにインストールしてテストしている状態です。まだトラフィックも調査していませんし、性能については語れる段階ではありません」(クボタシステム開発 伏見弘樹氏)。
「最終的には、WANを通してブラウザからWebサーバにアクセスしてみなければ実用レベルの性能は評価できません。しかしスタンドアロンでのテストを見ているかぎりでは、これがWebアプリケーションかというほど素早く動いています。これは予想ですが、おそらく性能が大きな問題になることはないでしょう」(クボタ 芝田敏行氏)。
新人事システム開発チーム |
クボタは、最新の.NETテクノロジを活用し、時代の潮流である間接コスト圧縮と同時に、社内の各事業部や関連企業などにわたって幅広く応用可能な、戦略的かつ柔軟な人事情報システムを構築するための第一歩を踏み出した。 |
おそらく今回のPerson.NETは、クボタのような大企業が、全社的なシステムとして.NETテクノロジを導入する最初のケースになるだろう。まずは既存のC/SシステムをWebアプリケーション化するところから始まったが、将来的には、XML Webサービスを利用した社内/社外とのデータ連携も念頭にある。XML Webサービスというと、インターネットを介した企業間取引のBtoBが注目されているが、同じしくみを社内のイントラネットに適用しようという例はあまり多くない。セキュリティ的なリスクが小さく、コンピュータ環境から情報システムに対する意識まで、すでに一定の共通基盤が構築された企業内イントラネットなら、より円滑にXML Webサービスを使った業務システムが定着できるとクボタは考えている。激しく変化する社会情勢に対応するためには、たとえ社内システムといえども、いわゆる企業間取引並のフレキシビリティが要求されるとの見通しである。「BtoBやBtoCをクボタの社内システムに当てはめれば、BtoBは事業本部・事業部間、BtoCなら会社と従業員のコミュニケーションということになります。BtoBやBtoCというと、もっぱらインターネットを介したシステムを指すようですが、大企業においては、このように社内の情報システムをオープンなテクノロジで形成し、社会情勢の変化に臨機応変に対応できるシステムを構築する必要性がますまず増大するでしょう。人事制度改革や、給与計算/福利厚生業務のアウトソーシング化など、具体的な目的もありますが、さらに将来的には、グループ企業全体で人事情報を戦略的に共有できるシステム基盤を作り、人やノウハウの交流を支えられる後ろ盾にしたいと考えています」(クボタ 芝田敏行氏)。
会社データ | |
株式会社クボタ | |
本社住所:
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〒556-0012 大阪府大阪市浪速区敷津東1丁目2番47号 |
創立:
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1890年2月 |
資本金:
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781億円(2001年3月31日現在) |
売上高:
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7044億円(2001年3月31日現在) |
従業員数:
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1万3661名(2001年3月31日現在) |
ホームページ:
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http://www.kubota.co.jp/ |
INDEX | ||
[事例研究]株式会社 クボタ | ||
1.ホスト・コンピュータからPersonNTへ | ||
2.PersonNTからPerson.NETへ | ||
3.Java経験者を含め幅広いプロジェクト・チームを編成。開発言語としてはVB .NETを採用 | ||
4.デザインからプログラム・トレース、デバッグまでをトータルに扱えるVS .NETでのWebアプリケーション開発 | ||
技術コラム: Visual Studio .NETによるWebアプリケーション開発 | ||
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