特集:クラウド体験記(後編)

体験してみて分かった“雲”の違い

シグマコンサルティング 橋本 圭一
2009/04/14
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2. 実際に使ってみよう 「Windows Azure」

総合評価

 Windows Azureは昨年10月にマイクロソフトが発表したクラウド・プラットフォームだ。まだCTP版であるため機能的に足りない点はあるが、公開と運用についてもある程度考慮されている。

  【環境構築の容易さ】 ★★☆☆☆
【サービス構築の容易さ】 ★★★☆☆

事前準備

 Windows Vista以降のOS + Visual Studio 2008が必要となる。

【追加インストール】

【アカウント】

 Azure Services Developer Portalにて取得する。

作業概要

 Visual Studio 2008でWindows Azure用クラウド・サービスのプロジェクトを作成可能だ。ソース・コードの作成完了後、Visual Studioで[発行]を行い、パッケージを作成する。

 そしてブラウザからAzure Services Developer Portalにログオンし、ステージング(Staging)環境に配置する。その後、製品(Production)環境に切り替えれば、本番リリース完了である。

手ほどき

 @ITの以下の記事が参考になる。

作成したサンプル


(ここをクリック)

 サンプルの説明:筆者がこれまで飲んだビールを管理するという目的で、サイトとして構築してみた。大量なデータやトラフィックを処理したり、複雑なトランザクションを扱ったりするわけではないので、現状ではデータをシンプルかつ簡易に扱うために、XMLファイルをデータベースとし、XSLTでHTMLページをレンダリングしている。

 現状データはXMLファイルで管理しているが、今後搭載する写真投稿機能や、コメント機能に応じて、大量の写真データであったり、データが壊れる可能性もあるXMLファイルの変更履歴であったりをWindows Azure Storage Servicesに格納することを検討している。

所感

 一番苦労したのは、Windows Azureのアカウント取得だった。アカウントが届くまでに数週間かかる場合もあるので、その場合には、すぐに試すことができない。

 また、既存のASP.NET WebサイトをWindows Azure上に移行する場合、その[ASP.NET Web サイト]プロジェクトを[ASP.NET Web アプリケーション]プロジェクトに変換する必要がある([Web アプリケーション]プロジェクトで作成している場合は必要ない)。さらに、Windows Azure Storage Servicesを使う場合、データベース・アクセス関連のコードを書き換える必要がある。Windows Azure Storage ServicesがREST APIで提供されるためだ。

 一方、配置については、ビルドしてパッケージを作成し、一括アップロードするだけと非常に容易であり、この辺はVisual Studioの恩恵を大いに受けることができる。ツールとしての観点からは、一番充実したプラットフォームとなることが予想されるだろう。

 開発者にとっての使い勝手やユーザーが得るメリットを高められるアーキテクチャに成長して、クラウドを利用したビジネス全体を活発化させるような役割を、Windows Azureには期待したいと思う。

 では最後に、ここまでに試した4つのクラウドを総括する。


 INDEX
  特集:クラウド体験記(前編)
  エンジニア視点で比較する“雲”の違い
    1.2009年はクラウド元年/あなたは、どのクラウド?
    2.実際に使ってみよう 「Google App Engine」
    3.実際に使ってみよう 「Force.com」
 
  特集:クラウド体験記(後編)
  体験してみて分かった“雲”の違い
    1.実際に使ってみよう 「Amazon EC2」
  2.実際に使ってみよう 「Windows Azure」
    3.まとめ(体験してみて分かったこと)


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