.NET Framework SDKで始める.NETプログラミング(後編)

3.サンプル・プログラムとチュートリアル


デジタルアドバンテージ 遠藤孝信
2001/05/18

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サンプル・プログラムとチュートリアルのインストール

 次は、.NET SDKに含まれるサンプル・プログラムとチュートリアルをご紹介しよう。.NET SDKをインストールしただけでは、これらは1つの自己解凍ファイルとしてハードディスク中にコピーされるだけなので、そのままでは利用できない。これらを使うには、.NET SDKをインストールした後に、さらに別個にインストール作業を行う必要がある。インストール作業自体は簡単で、付属ドキュメントのところで紹介した「Samples Guide」のページ([スタート]−[プログラム]−[Microsoft .NET Framework SDK]−[Sample Guide]としてショートカットが用意されるHTMLファイル)から、ページ内に記述された次の3つの手順に従って作業を進めるだけである。

「Samples Guide」のページを開いたところ(サンプルをインストールする前)
サンプル・プログラムやチュートリアルのインストール手順はこのHTMLファイルに記述されている。この説明(英語)に従って作業を進める。

各ステップの内容は次のとおり。

  1. 自己解凍型アーカイブ・ファイルとしてハードディスクにコピーされたサンプル・プログラム・ファイルの実行/展開(\Program Files\Microsoft.Net\FrameworkSDK\Samples\samples.exeの実行)
  2. MSDE 2000データベース・サーバ(MSSQLServer)のインストール(\Program Files\Microsoft.Net\FrameworkSDK\Samples\Setup\InstMSDE.exeの実行)
  3. 2つのサンプル・データベースのインポートとIIS仮想ディレクトリの作成(\Program Files\Microsoft.Net\FrameworkSDK\Samples\Setup\Finish.exeの実行)

 このうち最後のFinish.exeの実行中には、いくつかのサンプルをコンパイルするために、コマンド・プロンプトのウィンドウが勝手に開くが、間違って閉じないようにする。インストールが完了すると、インジケータ領域(システムトレー領域)にMSDE(Microsoft Data Engine)のアイコン( )が現れる。このデータベース・サーバには、「ユーザ名:sa/パスワード:なし」でアカウントが自動的に作成される。このデータベース・サーバは、SQL関連のサンプルや、ADO.NETのサンプル・プログラムからアクセスするためのものだ。

 こうして一連のインストール作業が終わった後に再度「Samples Guide」のページを開くと、ページの内容が次のように更新されているはずだ。この画面から、次に説明するQuickStart Tutorialのページに移動することができる。

サンプル・プログラムのインストール後に「Samples Guide」を開いたところ
サンプル・プログラムのインストールが完了すると、「Samples Guide」のページがこの画面のように更新される。このページには、次に述べるQuickStart Tutorialや各種ホワイト・ペーパー、サンプル・プログラムの解説ページなどへのリンクがまとめられている。

.NETプログラミングの第一歩はQuickStart Tutorialから

 「QuickStart Tutorial」は、.NETプログラミングを基礎の基礎から解説したもので、非常によくまとめられている。残念ながらベータ1では英語のままだが、難しいものではないので、.NETでプログラミングを始めるにあたってはぜひとも一度は目を通しておくべきものだ。このページはIIS上で構築されているので、次のURLからもアクセスできる。

http://localhost/quickstart/default.htm

QuickStart Tutorialのページを開いたところ
QuickStart Tutorialでは、ASP.NETおよびWindows Formsのプログラミングがまとめられており、.NETプログラミングの基礎的な部分を実際にプログラムを実行しながら学ぶことができる。またハウツーをまとめた「How Do I...?」も収録されている。

 QuickStart Tutorialは、次の3部構成になっている。

タイトル 内容
The ASP.NET QuickStart ASP.NETフレームワークを利用して、Webアプリケーションを開発するためのサンプル・コードや基本概念などを解説する。
The Windows Forms QuickStart Win32クライアント・アプリケーションを開発するためのサンプル・コードや基本概念などを解説する。
How Do I...? 上記2つではカバーできないが、プログラマにとって気になるトピックをまとめたもの。XMLデータの取り扱い、データ・アクセスの方法、Active DirectoryやWin32 APIへのアクセスなど。
QuickStart Tutorialの内容

 このうち最後の「How Do I...?」は、「〜するには?」という目的から、その具体的な方法に関する解説を集めたものだ。この際、各ページの解説では、C#とVB.NET(場合によってはJScript.NET)のコードがそれぞれ紹介されており、適宜切り替えることができる。また、それぞれの解説ページからソースコードを参照し、プログラムを実行できるようになっている。これらのプログラムを端から順に実行していくだけでも、.NETでどのようなことができるのかを知ることができるだろう。

 ここでは、Windows Forms QuickStartに含まれている興味深いサンプル・プログラムを1つだけ紹介しておく。これはC#で記述されたMDI(Multiple Document Interface)版のWebブラウザだ(別にVB.NET版もある)。具体的には、ActiveXコントロールとMDIウィンドウの使い方を示したサンプルで、一見すると高機能なブラウザだが、プログラム・コードは思いのほか少ない。この程度のアプリケーションなら、オブジェクト指向と.NETクラス・ライブラリのおかげで、ここまで簡単に作れるという格好のサンプルだろう。

Windows Forms QuickStartに収録されているMDI版Webブラウザ
このサンプルでは、ActiveXコントロールであるWebBrowserコントロールを使用している。プログラムを起動すると、自動的にWindows Formsチーム(?)の写真が開くのはご愛嬌
 

 INDEX
  [特集] .NET Framework SDKで始める.NETプログラミング(後編)
    1.フォーム・デザイナでGUIを設計する
    2.デバッガと逆アセンブラ
  3.サンプル・プログラムとチュートリアル
    4.実用性も高いサンプル・プログラム
 
  [特集] .NET Framework SDKで始める.NETプログラミング(前編)

 



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