.NET Framework SDKで始める .NETプログラミング(前編) ―― プリミティブな.NET Framework SDKは入門に最適。ここから始める.NETプログラミング ―― |
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Microsoft.NETに興味はあるけれども、なかなか始めの一歩を踏み出せないというプログラマの方に本稿を捧げたい。
現在、.NETプログラミングを始めるには、大きく2つの方法がある。1つは、2000年12月よりインターネットでのダウンロード・サービスが開始されたVisual Studio.NETベータ1を利用する方法である(以下、特に明記しないかぎり、「Visual Studio.NETベータ1」を単にVS.NETと略す)。このVS.NETは、これまでもWindowsプログラマに愛用されてきたVisual Studioの.NET対応バージョンで、各種プロジェクトの設定やソース・コード・エディタ、コンパイラ、デバッガなど、Windowsプログラム開発のためのすべての機能が統合されたフルビジュアルの開発環境である。読者が職業プログラマで、これまでもVisual Studioを利用してソフトウェアを開発してきたのなら、このVS.NETを使って.NETプログラミングを始めるのが自然だろう。
.NETプログラミングに触れるもう1つの方法は、同じく2000年12月よりインターネットでのダウンロード・サービスが開始された.NET Framework SDKを利用するというものだ。この.NET Framework SDKは、.NET対応プログラムを開発するためのコンパイラやクラス・ライブラリ、プログラム実行環境、各種開発ツール、ドキュメントなどをひとまとめにしたソフトウェア開発キットである。ただしVS.NETとは異なり、グラフィカルな統合開発環境などは提供されておらず、好みのテキスト・エディタとコマンドライン・コンパイラを駆使するという伝統的な方法で開発作業を進める。
VS.NETのような統合開発環境があって、(少なくとも現時点では)ベータ版を無償で入手できるのに、どうしてわざわざ古めかしいコマンドライン環境を使わなければならのか、とお思いの方もいらっしゃるだろう。確かに、本格的なソフトウェア開発には、VS.NETが不可欠である。VS.NETのような高機能な統合開発環境では、一連の複数の作業を統合化して、少ないアクションでいっぺんに実行できるようにされている。しかしこのような統合化、効率化は、基本的なしくみを踏まえた熟練者にとっては便利であっても、そうでない初心者にとっては、原始的な成り立ちが機能によって隠蔽されてしまって、それらの相互関係を理解するうえでは、むしろ遠回りになってしまうことが少なくない。この点.NET Framework SDKなら、作業はいちいちコマンドラインを使わなければならず、面倒このうえないのだが、それだけ生の.NET開発環境に触れることができる。またマイクロソフトによれば、VS.NETとは異なり、.NET Framework SDKは、未来永劫無償提供されるとのことだ(VS.NETは、最終的にはパッケージ製品になる予定である)。
本稿の目的は、とにかく読者の方々に.NETプログラミングの第一歩を踏み出していただくために、原始的だが手軽な.NET Framework SDKベータ1日本語版を入手し、インストールし、実際に.NET Framework SDKで使用可能なプログラミング言語(C#、C++、Visual Basic.NET、JScript)を利用して、.NETプログラミングを体験していただくことだ。
なお本稿では、Microsoft.NETのプログラム開発環境・実行環境である.NET Framework自体の解説は行っていない。これらについては、別稿の「特集:.NET Framework入門」が詳しいので、必要なら参照していただきたい。
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