特集
Microsoft Expression Web製品レビュー(前編)

Webデザイン・ツール「Expression Web」を試してみた

WINGSプロジェクト 土井 毅、 監修:山田 祥寛
2007/02/16
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XHTML対応機能について

 Expression WebはXHTMLに対応しており、ページが準拠するHTML/XHTMLバージョンを指定し、それに沿ったコードを出力することができる。ページごとのHTML/XHTMLバージョンは、メニューの[ツール]−[ページ編集オプション]ダイアログの[作成]タブにて設定する。

[ページ編集オプション]ダイアログの[作成]タブ
[ドキュメントの型宣言]でページが準拠するHTML/XHTMLバージョンを指定できる。XHTML 1.1/1.0 Transitional/1.0 Strict/1.0 Frameset、HTML 4.01 Transitional/4.01 Strict/4.01 Framesetから選択できる。

 HTML/XHTMLバージョンを設定することで、XHTMLページの冒頭にDOCTYPE宣言が追加され、指定されたスキーマに基づく検証が自動的に行われるようになる。

<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.1//EN" "http://www.w3.org/TR/xhtml11/DTD/xhtml11.dtd">
追加されたDOCTYPE宣言
ここではXHTML 1.1に対応するDOCTYPE宣言が追加されている。

 スキーマの検証エラーが発生した場合には、Expression Webの下部のステータス・バーにエラー・アイコン()が表示される。

検証エラーを示すエラー・アイコンのポップアップ・メッセージ
エラー・アイコン()の上にマウス・カーソルを合わせると。このようなメッセージがポップアップする。

 このときにコード・ビューで[F9]キーを押すとエラー個所が赤の下線で示され、そこにマウス・カーソルを合わせるとエラー内容が表示される。

 例えば<body>タグ直下に<br>タグを配置した場合、次のようなエラーが発生する。

エラー内容
XHTML 1.1 スキーマでは<body>タグ直下の<br>タグは許可されない。

 また、準拠するHTML/XHTMLのバージョンにより、ツールボックスからHTMLタグを配置する際に出力されるコードは変化する。

 例えばツールボックスの「改行」は、スキーマが“なし”の場合は「<br>」を出力するが、スキーマが“XHTML 1.1”の場合はXHTMLに準拠した形で「<br />」を出力する。また、準拠するスキーマにより、HTMLコードを直接編集する際のIntelliSenseの候補も変化する。

 このように、最初に準拠するスキーマを指定しておくことで、バージョン間の差異をそれほど意識することなく、Expression Webが提供するデザイン機能を使用することができる。HTMLコードを手書きする場合にも、スキーマに基づく検証が自動的に行われるため、非準拠のコードを確認して修正する助けとなる。

Visual Studio 2005との比較 − HTML/XHTMLバージョン指定

 VS 2005でも、準拠するHTML/XHTMLバージョンを指定することができ、それに基づく検証が自動的に行われる。HTML/XHTMLバージョンのスキーマは、メニューの[ツール]−[オプション]から[オプション]ダイアログを開き、[テキスト エディタ]−[HTML]−[検証]から選択することができる。

VS 2005でのスキーマ指定
ドロップダウンから準拠するスキーマを選択する。

 これによりExpression Webと同様に、スキーマ検証が行われ、結果がエラー一覧に表示される。

VS 2005でのスキーマ検証のエラー表示
先ほどと同様に、XHTML 1.1スキーマでは<body>タグ直下の<br>タグがエラーとなる。

 ただ、Expression Webがページごとにスキーマを選択できるのに対し、VS 2005では全プロジェクト共通の設定となってしまい、プロジェクトごと、ページごとに異なるスキーマを指定することはできない。

 また、HTMLコードを閲覧する[ソース]ビューではエラーが表示されるが、レンダリング・イメージ(デザイナ画面)を表示するデザイン・ビューではエラーが表示されないケースがある。この点ではVS 2005では厳密な検証が行われているとはいえず、注意が必要である。

まとめ

 Expression Webは一般的なWYSIWYGスタイルのHTMLデザイン・ツールであり、FrontPageやほかのHTMLデザイン・ツールを使っているWebデザイナーにとっても、比較的移行しやすいUIを持っているといえるだろう。

 加えて、Expression WebのCSSサポートは十分に実用レベルにあり、Webサイト全体のデザイン・スタイルをスタイルシート・ファイルで共通化する場合など、さまざまなケースで活用できるだろう。また、準拠するHTML/XHTMLバージョンを指定することで、Web標準に準拠したHTML/XHTMLコードの出力が容易になる点はメリットといえるだろう。そしてこれらの機能はVS 2005のそれよりも確実に便利なものになっている。

 さて、後編ではExpression WebのASP.NETサポートやVS 20005との連携について引き続き紹介していく予定だ。どうぞお楽しみに。End of Article


 INDEX
  [特集]Microsoft Expression Web製品レビュー(前編)
  Webデザイン・ツール「Expression Web」を試してみた
    1.Expression Webの概要と画面構成
    2.Expression WebのCSSサポート
    3.スタイルシート・ファイルを使ってみよう
  4.Expression WebのXHTML対応機能
 
  [特集]Microsoft Expression Web製品レビュー(後編)
  プログラマーとWebデザイナーの分業を促進するASP.NETサポート
    1.ASP.NETコントロールのサポートとVS 2005との機能差
    2.デザイン・サンプル:SqlDataSourceコントロールの配置
    3.デザイン・サンプル:GridViewコントロールの配置
    4.プログラマーとWebデザイナーの共同作業について
 


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