特集 J#の真実 Part 3

日本語環境に英語版J#をインストールする方法(2)

デジタルアドバンテージ 遠藤孝信
2001/11/21

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いくつかの問題点

 今回の方法でデフォルト言語を「英語」にした場合、致命的ではないが、いくつかの問題がVS .NETで発生する。J#のインストール後も、J#を使うにはデフォルト言語を「英語」に設定する必要があるのだが、デフォルト言語が「英語」のときには次のような問題が発生する(いずれも、デフォルト言語を「英語」から「日本語」に戻すことで発生しなくなる)。

 まず、起動時に表示されるはずのスタート・ページが次の画面のようになり、表示されなくなる。

表示されないスタート・ページ
デフォルト言語を無理やり「英語」にすると、スタート・ページが表示されなくなる。新しいプロジェクトを開く場合には、メニューから操作する必要がある。

 このため、スタート・ページから新しいプロジェクトなどが開けなくなる。新規プロジェクトを開く場合などは、メニューより作業する必要がある。

 またデフォルト言語が「英語」だと、C#やVB .NETなどの既存の言語のプロジェクトを新規作成することができなくなる。メニューからC#などの新規プロジェクトを開こうとすると、次のような警告が表示される。

C#の新規プロジェクトを開こうとすると表示される警告
デフォルト言語が「日本語」以外の場合には、C#やVB .NETのプロジェクトを扱うことができなくなる。「英語」環境に必要なファイルを「1033」のフォルダに探しにいくが、ファイルが正しく存在していないために発生したエラーである。

 この警告メッセージを見ても分かるように、言語が「英語」の場合には、いくつかのディレクトリの下に存在する「1033」というディレクトリにあるファイルが使用され、言語が「日本語」の場合には「1041」というディレクトリにあるファイルが使用されるようだ(ざっと調べたところ、VS .NET日本語版がインストールされたディレクトリ以下には、「1041」という名前のディレクトリが至る所に合計で300個以上もあった)。

 すでに述べたように、これらの問題はデフォルト言語を「日本語」に戻すことによって発生しなくなる。したがって運用としては、J#を使用する場合にのみ、デフォルト言語を「英語」に切り替えて使うのがよいだろう(「英語」の環境でも既存のC#などのプロジェクトを開くことができるが、そうすると次に「日本語」環境でそのプロジェクトが開けなくなる場合もあるようなので注意が必要だ)。

日本語版VS .NETでJ#

 J#のインストールが成功すると、VS .NETの起動時に表示されるスプラッシュ画面に、インストールされた製品としてVisual J# .NETのアイコンが並ぶ。

J#インストール後のVS .NETのスプラッシュ画面
J#のインストールに成功すると、VS .NET起動時に表示されるこのスプラッシュ画面に「Visual J# .NET」のアイコンが並ぶ。画面のVS .NET日本語版ベータ2は、DVD-ROMからインストールした“Enterprise Edition”である。

 J#の概要については、「Insider’s Eye: .NET版Java言語「Visual J# .NET」オーバービュー」で解説しているので参考にしていただきたい。次の画面は、日本語版VS .NETから、J#にサンプル・プログラムとして付属する「MineSweeper」を開き、実行している画面だ。このMineSweeperを始め、J#にはたくさんのJ#で記述されたサンプル・プログラムも含まれている。

日本語版VS .NETでサンプル・プログラム「MineSweeper」を実行中の画面
もちろんプログラムはJ#を使用して記述されている。これ以外にも、J#にはたくさんのサンプル・プログラムが含まれている。

 またJ#には、コマンドライン版のJ#コンパイラと、JavaのバイトコードをMSILに変換するバイナリ・コンバータが付属しているが、これらはJ#のインストールさえしてしまえば、VS .NETの言語環境に関係なく使用することができた。

 完全ではないが、とりあえずVS .NETベータ2日本語版の環境でも、J#をインストールできることが判明した。現時点では、VS .NET、J#ともほぼ無償で入手でき、環境を揃えるのにほとんど費用はかからない。特にJavaプログラマの方々には、これらの環境を用意してJ#を試してみていただきたい。強力なプログラミング・サポート機能を持つVS .NETや、ASP .NETによるWebアプリケーション開発など、これまで体験したことのない開発環境を体験できるに違いない。End of Article

 

 INDEX
  [特集]J#の真実
  Part 3 日本語環境に英語版J#をインストールする方法
     日本語環境に英語版J#をインストールする方法(1)
   日本語環境に英語版J#をインストールする方法(2)
 


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