Visual Studio.NETベータ2の新機能
―― 開発したWebサービスをインターネット経由でテスト可能にする1クリック・ホスティングとは? ―― |
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2001年6月19日より米国で開催されたTech・Ed 2001において、.NET開発環境の最新版、Visual Studio.NETベータ2 英語版が参加者に配布された。この概要については、すでに別稿の「Insider’s Eye:Tech・Ed 2001:VS.NETベータ2など、プログラマ待望の最新版.NET開発環境がついに登場」でご紹介しているので参照されたい。今回はこの記事に引き続き、Visual Studio.NETベータ2英語版(以下「VS.NET」。特定のバージョンや各国語版を指すときには、個別に明記)で取り入れられた新機能のうち、最も目を引く「Webホスティング」を中心にご紹介しよう。
インターネットと開発環境とを融合したVS.NET
以前のベータ1と比べると、クラス・ライブラリの構成が大幅に変更されたVS.NET ベータ2であるが、開発環境の機能という意味では、細かなデザインの変更以外はあまり変化はないようだ。米Microsoftのサイトにある「What's New in Visual Studio .NET Beta 2(Visual Studio.NETベータ2の新機能)」というページを見ると、新機能として次の3つが挙げられている。
- Webホスティング
- サードパーティ・ダウンロード
- エンタープライズ機能
このうち最後の「エンタープライズ機能」とは、VS.NETの最終版として予定されている3つのバージョン(Professional、Enterprise Developer、Enterprise Architect)のうち、最上位のEnterprise Architect版に含まれるであろうソフトウェア・モデリングやデータベース・モデリングのための機能のことだ。ただしベータ2の新機能をうたわれながら、今回配布されたバージョンではこのエンタープライズ機能は提供されなかった。これについてMicrosoftは、「タイミングの問題のため」と説明している。ベータ2 CDの製作にぎりぎりで間に合わなかったということだろうか。
残る2つの新機能は、VS.NETの起動時、最初に自動的に開く[Start Page]の中から利用できる。
この[Start Page]の表示には、IE(Internet Explorer)のコンポーネントが使用されており、VS.NET自体が表示する情報と、表示の時点でインターネットから取得した最新情報がシームレスに合成され表示される。[Start Page]に相当するもの自体はベータ1にもあった。しかしベータ2では見栄えもよくなり、新たにタブも追加されている。具体的には、[Downloads]と[Web Hosting]の2つである。本稿で詳しく解説する「Webホスティング」機能は、この[Web Hosting]タブから使用する。
VS.NETの新機能として挙げられていた「サードパーティ・ダウンロード」は、ドキュメントによれば、このうち[What's New]を指しているようだ。このタブを開くと、さらにその中に、[Product Information]と[Partner Resources]という2つのタブが含まれている。
[What’s New]−[Partner Resources]タブの画面 | ||||||
現時点では、いろいろなベンダによるのVS.NET対応製品のアナウンスへのリンクが集められている。タブ内に表示される情報は、インターネットから取得されたものであり、随時自動的にアップデートされる。 | ||||||
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ここで[Product Information]タブでは、VS.NETや.NET Frameworkに関連するSDK(ソフトウェア開発キット)やツールキットなどの最新の情報が表示される。例えば原稿執筆時点(2001年7月上旬)では、「Microsoft Mobile Internet Toolkit」と「Visual Studio for Applications(VSA) SDK Beta2」に関する情報が表示された(これらからは、MSDNやMicrosoft Download Center内のページへリンクが張られている)。一方の[Partner Resources]タブでは、画面に示したように、VS.NETで使用可能なコンポーネントやツールを提供しているベンダが列挙されている。各ベンダのリンクをクリックすると、そのベンダのVS.NET対応製品のページが表示される。
[Downloads]タブでは、Microsoftが提供する.NET関連のコンポーネントやサンプル・コードがダウンロードできるようになっている。
[Downloads]タブの画面 |
このページには、さらに[Downloads](ダウンロード可能なツールキットやコンポーネントなど)、[Code Samples](サンプル・コード)、[Reference](こちらも現時点ではダウンロード可能なツールキットなど)の3つのタブがあり、各ページからMicrosoftが提供する最新のコンポーネントやサンプル・コードなどをダウンロードすることができる。 |
ここまで見てきたように、VS.NETの新しい[Start Page]では、これまではWebブラウザを開いて自分で探さなければならなかった.NETに関するリンクや入手可能なコンポーネント、関連するサードパーティ製品などが網羅されており、しかもVS.NETを起動するたびに、常に最新情報に触れられるようになった。動きが激しい分野だけに、ともすればプログラマは、自分が取り残されているような気分に陥りやすかった。これからはそういう心配は無用になるだろう。
関連記事(Insider.NET内) | |
Insider’s Eye
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Tech・Ed 2001:VS.NETベータ2など、プログラマ待望の最新版.NET開発環境がついに登場 |
関連リンク | |
What's New in Visual Studio .NET Beta 2(Visual Studio.NETベータ2の新機能) | |
MSDN | |
Microsoft Download Center |
INDEX | ||
[特集]Visual Studio.NETベータ2の新機能 | ||
1.インターネットを介したWebサービスのテストを可能にするWebホスティング | ||
2.Webサービスの作成 | ||
3.Webサービスのアップロード | ||
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