Visual Basic 2005 ここが便利!IDE編第12回 ドラッグ&ドロップ一発でDB連携アプリを完全構築!株式会社ピーデー 川俣 晶2005/12/14 |
|
|
さらに洗練されたVisual Basic 2005のデータベース連携
知っている人は知っていると思うが、筆者は最近XMLデータベース(以下、XMLDB)の世界にかかわっている。そこで訴えかけることは、リレーショナル・データベース(RDB)ではうまく扱えないデータは実在し、それを扱うためにXMLDBは有益だということである。このような考え方は、程度の差こそあれ、おおむね開発者の共通認識として存在すると考えてよいと思う。
例えば、SQL Server 2005が持つXML型は、RDBにXML形式のデータを取り込んでいくものであって、RDBの死角をXMLで補っていく試みの1つと見てよいだろう。つまり、データベースのXMLDB指向の流れは確かにあると見てよいと思う。
しかし、「だから今日からRDBよりXMLDBだ!」と声高に叫ぶことができるかというと、そうではない。なぜかといえば、まだ普及が始まったばかりのXMLDBと比較して、すでに円熟の域に達したといえるRDBは、圧倒的に優れた使い勝手を実現しているからだ。
特に便利なツールやライブラリの整備が圧倒的に進んでいるVisual Basicの世界は格別といえる。何しろ、日本語版が発売されなかったVisual Basic 3.0の段階で、Visual Basicのパッケージ内にJetデータベース・エンジン(=Microsoft Accessでも使われているファイル・ベースのデータベース)を組み込んでしまうという荒技を見せて以来、データベースとは一心同体であるかのように緊密な連携を進化させている。
もはや、Visual Basicとデータベースを分けて考えることは、さして意味がない。もちろん、Visual BasicとSQL Serverは別商品ではあるが、データベースを扱うための機能一式はVisual Basicの中に一体不可分の機能として洗練度を加速させていっている。長い時間をかけて洗練されてきた使い勝手の良さは、大きな魅力としてそこにある。いかにデータベースでのXMLの優秀さを述べたところで、この使い勝手の良さの魅力を消し去ることはできない。
そして、Visual Basic 2005は、「データソース・ウィンドウ」という新機能によって、この魅力をさらに新しい高みに引き上げたといえる。今回は、データソース・ウィンドウが可能とする2つの機能性について紹介したいと思う。1つは地味ではあるが重要な「渋い機能」、もう1つは、ドラッグ&ドロップ一発でこんなことまで! と驚かされる「派手な機能」である。
まずは「渋い機能」から見ていくことにしよう。
データソースの変更も一発完了!
すでに述べたように、Visual Basicにはデータベースを扱うための豊富な機能があり、それを使って手軽にデータベースと通信するプログラムを作成できる。しかし、簡単にできるからといって、このようなテクニックを多数のWindowsフォーム上で使いまくると、後でとても痛い出来事が待っている可能性がある。それはなぜかというと……。
Visual Basic .NETでは、データソースを指定するコンポーネント(例えばSqlDataAdapterなど)は、通常のコントロールと同様に、フォームの一部として記述する。ということは、多数のフォームでこのようなテクニックを使うと、このようなコンポーネントも個々のフォーム上に貼り付けられることになる。個々のコンポーネントは、もしかしたら、同じデータソースへの接続情報を持っているかもしれないが、それは別々に書き込まれることになる。
さて、このような状況でデータソースを変更する事態が起こったらどうなるだろう? もちろん、答えはもうお分かりだろう。個々のフォーム上のすべてのコンポーネントのデータソースを再設定しなければならない。たとえそれらが同じデータソースを示しているとしても、別々に再設定しなければならないのである。
しかしVisual Basic 2005では、データソース・ウィンドウによってこれが解決される。データソースの指定は、個々のフォーム上ではなく、データソース・ウィンドウによって一括して行うのである。個々のコントロールからは、データソース・ウィンドウに設定されたデータソースを選択するだけでよい。それがどのように機能するかを見てみよう。
まず、データソース・ウィンドウを表示させるには、[データ]メニューの[データソースの表示」を使う。[表示]メニューではないところに注意が必要である。なお以降では、Visual Basic 2005 Express Beta 2日本語版を使用している。
データソース・ウィンドウを表示させたVisual Basic 2005 |
[データ]メニューの[データソースの表示」を使う。[表示]メニューではないところに注意が必要である。フォーム上にはVisual Basic 2005の新しいコントロールであるDataGridViewコントロールをすでに配置している。 |
ちなみに、フォーム上には強化されたDataGridコントロールであるDataGridViewコントロールも貼り付けてある。これで表示されるデータベースの指定を、面倒なデータソースの設定抜きで切り替えるところをお見せしよう。しかしその前に、データソース・ウィンドウの使い方である。
まず、データソース・ウィンドウにデータソースを追加する。そのためには、データソース・ウィンドウ内の[新しいデータソースの追加]というリンクか、あるいはウィンドウ上部の[新しいデータソースの追加]を示すボタンをクリックする。
するとデータソース構成ウィザードが開始され、まずデータソースの種類を質問される。
データソース構成ウィザードによるデータソースの追加 |
データソース・ウィンドウ内の[新しいデータソースの追加]というリンクか、あるいはウィンドウ上部の[新しいデータソースの追加]を示すボタンをクリックするとデータソースを設定するためのウィザードが開始する。 |
ここでデータベースを選択し、次に進める。次にデータ接続の選択を要求されるので、[新しい接続]ボタンをクリックして、詳細な接続情報を設定する。
データソース構成ウィザードによるデータ接続の選択 |
[新しい接続]ボタンをクリックして、対象となるデータベースを選択し、詳細な接続情報を設定する。 |
これが終わると、接続情報を保存する名前を質問される。
データソース構成ウィザードによる接続文字列の保存 |
Visual Basic 2005では接続文字列をアプリケーション構成ファイル(.exe.configファイル)で管理することができる。 |
次は、データセット内に指定するデータベース・オブジェクトを選択する。ここでは、取りあえず[テーブル]にチェックを入れているが、きめ細かく指定することもできる。
データソース構成ウィザードによるデータベース・オブジェクトの選択 |
ここではアプリケーションで利用するテーブルやストアド・プロシージャを選択する。 |
以上でデータソース構成ウィザードでの作業は完了である。
INDEX | ||
Visual Basic 2005 ここが便利! | ||
第12回 ドラッグ&ドロップ一発でDB連携アプリを完全構築! | ||
1.データソースの変更も一発完了!(1) | ||
2.データソースの変更も一発完了!(2) | ||
3.ドラッグ&ドロップ一発でできること | ||
「Visual Basic 2005 ここが便利!」 |
- 第2回 簡潔なコーディングのために (2017/7/26)
ラムダ式で記述できるメンバの増加、throw式、out変数、タプルなど、C# 7には以前よりもコードを簡潔に記述できるような機能が導入されている - 第1回 Visual Studio Codeデバッグの基礎知識 (2017/7/21)
Node.jsプログラムをデバッグしながら、Visual Studio Codeに統合されているデバッグ機能の基本の「キ」をマスターしよう - 第1回 明瞭なコーディングのために (2017/7/19)
C# 7で追加された新機能の中から、「数値リテラル構文の改善」と「ローカル関数」を紹介する。これらは分かりやすいコードを記述するのに使える - Presentation Translator (2017/7/18)
Presentation TranslatorはPowerPoint用のアドイン。プレゼンテーション時の字幕の付加や、多言語での質疑応答、スライドの翻訳を行える
|
|
- - PR -