帳票の実現

Webアプリケーションにおける帳票の必然性

テンアートニ 中越智哉
2001/9/28

 Webアプリケーションが業務システムに適用されるようになり「帳票」は切り離して考えられない存在になってきました。

 Webアプリケーションが登場した当初は、従来の業務システムの一部分をWebでリプレースするというパターンが多かったため、帳票処理に関する要求はそれほど大きいものではなく、また、技術的にも帳票処理のソリューションとして確立したものは存在していませんでした。当時は、「これで帳票処理がきちんとできれば、Webアプリケーションの適用範囲ももっと広がるのに」という声もあったものです。

 そして、今日、業務システムのWeb化が進むにつれて、既存のシステムで行っていた帳票処理を、Webベースでも実現したいという要求が高まってきています。それに対する具体的なソリューションも、いろいろと登場しています。それは「業務システム」そのものがWebを基本としたものにシフトしてきていることの証明でもあり、またそれに耐えられるだけの基盤がWebアプリケーションに備わってきたといえるでしょう。

 しかし、業務の電子化、IT化が叫ばれている今日に至っても、帳票が重視されているのはなぜでしょうか。本来、Webアプリケーションなどによって業務システムを構築すれば、もともと紙でやりとりしていた業務の大半は電子化され、効率的な業務の遂行が可能になるはずです。そうするとその分、紙でやりとりする機会は減り、帳票の出番もおのずと減ってくるように思われます。

 とはいうものの、やはり肝心な部分は印刷して紙ベースでやりとりする、ということが多いのもまた事実です。そこにはやはり帳票が必要になってきます。業務システムで一口に帳票という場合、画面に表示されるようないわゆる「電子的な」帳票も含まれるとは思うのですが、実際には、印刷を前提としたものがほとんどです。

 理由として考えられることはいくつかあります。1つは、会議などでの資料としたり、ある事案について検討する際に、紙に印刷されたものが求められるということがあります。会議の際に出席者全員の分のノートPCや液晶ディスプレイがそろっている施設はごく一握りの企業に限られるでしょう(ドラマやCMでは、そういった光景をよく見かけますが……)。加えて、17インチのディスプレイには、そもそもA4縦の帳票を原寸大で表示できませんし、やはり、一覧性の良さという面では、紙の印刷物に分があるといえるでしょう。

 実際、私の机にもWebのページやオフィスツールの文書を印刷したものが大量に載っていますし、ニュースサイトなどでは、印刷に適するようにバナーなどを取り除いた「印刷用表示」のページが用意されているところもあります。

 また、これは帳票とは少し違いますが、Web上に置かれているさまざまな資料を、書籍の形で出版したりすることが多いというのも、そういった傾向の表れの一つといえるでしょう。

 そしてもう1つの理由として、電子化されている業務と、電子化されていない業務の橋渡しとして、帳票が求められるということがあります。

 例えば、紙への印刷が避けられないものとして、経理関係の帳票があります。経理や総務にかかわる帳票は、法律上、必ず紙で保存しておかなければならないものがありますし、そういった帳票はある一定の書式に従っていなければいけないものもあるでしょう。法律の整備で電子的な帳票が認められるようになってくれば、このあたりの事情はだんだん変わってくるでしょうが、現状ではやはり印刷物での保存が必須です。

 もちろん、法律の問題などにかかわらず、企業の業務には電子化されているところと、されていないところが存在し、その間のやりとりは、電子化されていない方に合わせざるを得ません。そういった場合、紙に印刷した帳票は必須です。日常業務のすべてを電子化している企業が現実に存在しているかどうかは、皆さんの周りを眺めてみればお分かりかと思います。ですから現状の業務システムでは、帳票は重要かつ不可欠なものであるといえます。

「Java Solution FAQ」




Java Agile フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Java Agile 記事ランキング

本日 月間