[プロダクトレビュー]


新生Visual Cafe4の機能を検証
Visual Cafe4は高機能なWeb開発ツール



槙邑恭介
2001/2/22


   エンタープライズ機能の強化

 最近のサーバサイドのJavaの注目度の高さから考えて、Vcafe 4Jで気になる部分は、やはりJava2のサポートと、EJBのサポート具合だろう。VCafe 4Jでは、ServletおよびEJB、JSPといったWebアプリケーション作成に必要な開発機能をサポートする。ServletとEJBについては上述したようにスケルトンコードを作成するウィザードが提供されており、JSPについてはDreamweaverによるJSP作成機能などが提供されている(Enterprise Edition以上)。

 EJBウィザードでは、EJBのクラス名やパッケージ名などとともに、Beanのタイプ(SessionBeanかEntityBeanかなど)を選択し、さらにビジネスロジックとして公開するメソッドやプロパティなどを指定する(画面3)。EntityBeanを指定した場合は、データベースに接続してテーブルの選択も可能である。一連のウィザードの設定を行うと、指定した内容に応じたクラスが生成される。生成されるクラスは、Homeインターフェイス、Remoteインターフェイス、EJBクラスの3つのクラスで、さらに生成したEJBを呼び出す。EJBクライアントアプリケーションプロジェクトも同時に生成される。クラスに独自メソッドを追加する場合は、ソースコードに直接記述することになるが、WebGainStudio 4を用いる場合は、後述するStructure Builder(UMLモデリングツール)を用いてメソッドの作成が行える。

(画面をクリックすると拡大します)
画面3
「EJBウィザード」       
EJBの種類を選択し、ウィザードで生成することができる

 作成したEJBは、ウィザードで生成されたクライアントプロジェクトを用いることで、デバッグが容易に行える。EJBクライアントのクラスには、EJBのインスタンスを生成するコードがあらかじめ記述されているので、ここに独自に作成したメソッドを呼び出すコードを記述して、動作を確認できる(リスト「EJBクライアントクラス」)。EJBの実行は、Enterprise Edition以上に含まれるWebLogic Application Serverで行われる。

 EJBが出来上がると最後に配布ディスクリプタ(Deply descriptor)が必要だが、配布ディスクリプタの設定はタブで区切られたプロパティシート形式のダイアログボックスで行う(画面4)

(画面をクリックすると拡大します)
画面4
「配布ディスクリプタの設定」
Entity Beanの場合はデータベース接続の設定などもここで行う

■Dreamweaver 3と連携した、JSPのサポート機能

 さらにWebGainStudio 4になると、Vcafe 4Jに加えて製品パッケージにMacromedia社のWeb作成ツールであるDreamweaver 3と、Dreamweaver上でJSPを作成するためのエクステンションが提供される。このエクステンションをインストールすると、Dreameweaver上からHTMLファイルのソースを直接編集することなくJSPのコードを記述できるようになる。エクステンションが組み込まれたDreamweaverでは、オブジェクトパレットウィンドウに、新たにJSPパレットが追加される。ここから必要に応じてJSPのコードを埋め込むことが可能となる。このパレットに含まれるものは次の13種類である。 

  1. コメントの挿入
  2. 宣言の挿入
  3. 式の挿入
  4. スクリプトレットの挿入
  5. Includeディレクティブの挿入
  6. Pageディレクティブの挿入
  7. Taglibディレクティブの挿入
  8. jsp:forwardアクションの挿入
  9. jsp:includeアクションの挿入
  10. jsp:pluginアクションの挿入
  11. jsp:setPropertyアクションの挿入
  12. jsp:getPropertyアクションの挿入
  13. jsp:useBeanアクションの挿入

 これらのオブジェクトを作成中のJSPファイルにドラッグ&ドロップすると、オブジェクトに応じたダイアログボックスが表示される。表示されるダイアログボックスの内容はオブジェクトによって異なるが、ここで内容を設定するとJSPコードがファイルに埋め込まれる(画面5)

(画面をクリックすると拡大します)
画面5
 「JSPの埋めこまれたページ」     
JSPを示すアイコンは小さいのでデザイン作業中は邪魔にならないが、見落としがちな気がしないでもない

 JSPが埋め込まれた場所には、オブジェクトを示す小さなアイコンが表示される。一度設定したJSPコードはデザインウィンドウ上のアイコンを選択すれば、プロパティインスペクタと呼ばれるウィンドウに入力した内容が表示され、ここで内容を修正することも可能である(もちろんソースコードのウィンドウをオープンして直接入力することも可能である)。このような操作を行うことでJSPファイルのソースコードを直接編集することなくJSPコードをページに埋め込むことができる。ただしこのエクステンションはJSPの構造やシンタックスを知らなくてもJSPが生成できるというものではなく、ある程度の知識があるユーザーが、コードを入力する作業を補助する程度として考えた方がいいかもしれない。

 JSPを挿入したい個所をHTMLのデザインウィンドウ上で特定するのは案外難しいものだ。特にJSPによるコード中の条件分岐によって表示する内容を変更するような場合(条件によって表示する画像や文字列を変更するような場合)は、作成中の表示内容と実際の実行時の表示結果とが異なる場合もあるので注意が必要だろう。デザインが複雑なページをJSPを使って作成するなら、Vcafe 4J Enterprise Editionではなく、WebGainStudio 4を検討してもいいだろう。

■VisualCafeとの連携

 またDreamweaverとVcafe 4Jとの連携機能により、VCafe 4JでJSPファイルをオープンして修正した結果をVCafe 4JのメニューからDreamweaverを起動してプレビューさせたり、逆にDreamweaverから外部エディタを起動するとVCafe 4Jが起動するといったことが可能になる。これによりDreamweaverのオブジェクトパレットからのJSPの作成に加えて、VCafe 4Jで直接JSPを記述しながら、Dreamweaverで表示上の問題がないかを確認できるようになる。

 JSPのデバッグはWebLogic Serverを使って行う。また、分散デバッグサポート機能をインストールすることで、リモートデバッグも可能である。

■Structure Builder(UML モデリングツール)

 さらにWebGainStudio 4では、UMLによるモデリングツールであるStructure BuilderがVcafe 4JのIDEに統合され、UMLを使ったクラスの設計も可能になっている。この機能を用いると、プロジェクト中にUML Diagramを作成し、この中にClass Diagram、Sequence Diagram、Use Case Diagramなどが作成できる。Class Diagramではマウスの操作によりメソッドを作成したり、クラス間の継承関係を設定したりできる。あとはソースコードエディタでメンバの中身を記述すればよい。

 モデリングの操作は、ダイアグラムのメタデータプロパティウィンドウからも行える(画面「メタデータプロパティウィンドウ」)。UML Diagramで行った操作は、直接ソースコードに反映される。そのためソースコードを記述することなくクラス設計に基づいたコードが生成できる。


 マニュアル類は日本語化されたPDFが用意されており、PC上で参照できる。チュートリアルも用意されているので、実際にサンプルを作成しながら開発環境の使用方法を学ぶことができる。Standard版とExpert版は1月26日から店頭販売が開始されている。また、Symantec VisualCafeユーザーなら優待販売や、差分プログラムの提供なども予定されている。

 そしてこれは英語版のVisualCafe向けであるが、iPlanet Application Serverに対してVisualCafe Enterprise EditionでiPlanetに対して開発、テストおよびデバッグが行えるプラグインが米国WebGain社のサイトで提供されている。さまざまなJavaアプリケーションサーバに対応するようになれば、汎用的なEJB開発ツールとして利用価値が高くなるだろう。

 価格は、Standard Edition 4.1Jが1万2800円とリーズナブルなものの、 Expert Edition 4.1Jが、12万8000円、Enterprise Edition 4.0Jが48万8000円と、競合する(であろう)Borland JBuilderと比べると幾分高めになっている。WebGainStudio 4 Standardに至っては89万8000円となかなかの価格だ。VisualCafe Enterprise Edition 4.0JとWebGainStudio 4の価格差は、DreamweaverとUMLモデリングツール、TopLink for WebLogicの有無ということになる。

 サーバサイド機能に関する主要な機能
機 能

WebGain VisualCafe
Enterprise Edition 4.0J

WebGain Studio
Standard 4.0J
WebGain Studio
Proffessional
4.0J
サーブレットの開発、デバック、配布
JSPのサポート
Macromedia Dreamweaver
WebGain JSP Extensions for Dreamweaver
DreamweaverとWebLogic Server内で直接JSPページの表示
EJB1.1と1.0の作成、検証、配布
WebLogic Application Serverとの統合・配布
WebLogic Serverへのリモートデバック
JDBC規格のデータベースにアクセス可能
UMLモデリング/モデルからのEJBの作成、配布
WebGain TopLink for WebLogic
 (Standard、Expertは未対応のため、あらかじめ比較に含めていない)
  

[関連記事]
WebGainから復活するVisual Cafe4
サーバサイドJavaにシフトするJBuilder4の新機能を探る


Index
  開発用途に応じた幅広い製品構成
■開発環境を概観
エンタープライズ機能の強化
■Dreamweaver 3と連携した、JSPのサポート機能
■VisualCafeとの連携
■Structure Builder(UML モデリングツール)






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