特集:ネットワークトラブルを解決する
レスポンスの悪いネットワークシステム
どう検証し、解決していくか?
西村 稔
ネットマークス
2000/9/14
昨今、ネットワーク技術の飛躍的向上により、広帯域/高性能なネットワークを比較的容易に構築することが可能になってきた。しかしながら、アプリケーションのレスポンス改善を目的にネットワークを増強したものの、期待するような「レスポンスの向上」が得られない、あるいは新規に導入したアプリケーションが「遅くて使えない」、といった性能上のトラブルはいっこうになくなる気配がない。
これは、アプリケーションのレスポンスは、ネットワークの帯域や遅延をはじめ、アプリケーションの通信形態や構造、端末の処理性能、その他、様々な要因に依存しているからに他ならない。すなわち、単に広帯域な伝送路と、高性能なネットワーク機器を採用しても解決できない問題もあるのである。
では、性能上の問題を避けるためにはどうすればよいのだろうか? それは、ネットワークをライフサイクルで捉え、今までのネットワーク運営において当たり前のように検討されてきたアドレス体系や構成の設計等と同じように、「トラフィック」や「レスポンス」といったキーワードに関する評価/検証を、このライフサイクルの中で的確に実施することが必要であると考えられる。
1. ネットワークのライフサイクル |
ネットワークシステムは、ビジネスニーズが発生すると「計画」→「設計」→「構築」→「運用」というライフサイクルをたどり、これを繰り返しながら成長していくものである。例えば、新規アプリケーション導入によるネットワーク拡張の要求があれば、このシステムが導入されるスケジュールや導入範囲についての「計画」が立てられ、ネットワークの構成や接続形態に関する「設計」が行なわれていく。さらに、実際のネットワークの「構築」が行なわれて、障害監視等を含めた「運用」が進められていく。
図1 ネットワークのライフサイクル |
しかしながら、今までのライフサイクルにおいては、ネットワークによる到達性を確保することに主眼がおかれており、実際にネットワーク上に流れるトラフィックに対する要件は十分に検討されていない傾向があった。運用監視においてもトラフィック監視は二の次であり、到達性を阻害する“障害”の監視に重きがおかれていた。
また、従来のネットワーク設計では、「計画」と「設計」のフェーズの間で、接続される端末台数やサブネット分割については検討されるものの、現状トラフィックにもとづいた必要帯域の検討は行われていない場合が多くみうけられる。さらに、「設計」から「構築」に至る過程においては、接続性の検証は実施されてもアプリケーションのトラフィックやレスポンスに関する事前検証は行われていなかったのではないだろうか。
接続性について検討されなければ安定したネットワークが構築できないのと同様に、トラフィックやレスポンスに関する検討が行なわれていないシステムにおいて、性能に関するトラブルが発生したとしても、これは当然とも言うべき出来事であり、全く不思議ではないのである。
Index | |
特集:ネットワークトラブルを解決する | |
1. ネットワークのライフサイクル | |
2.
ネットワーク構築の失敗事例 事例1:耐えられないレスポンス 事例2:改善されないレスポンス |
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3. 遅延の構成要素 | |
4.
トラフィックの評価・検証方法(1) -トラフィックを「量」で評価 -トラフィックを「質」で評価 |
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5.
トラフィックの評価・検証方法(2) -ネットワークを「レスポンス」で評価 -アプリケーションの通信形態を検証 |
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「Master of IP Network総合インデックス」 |
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