座談会 「3年後のグループウェアはどうなるのか

 機能競争には理由がある

新野 さて、ある部分では両社とも議論が一致しているようですね。つまり、製品の基盤が強化されて、その上に、いわゆる「機能」と呼ばれるメッセージングやインスタントメッセージやナレッジマネジメントといった、さまざまなサービスが載っている。単純に機能競争をしているわけではない、と。ところが、それがユーザーには伝わってないような気がします。話題はいつも「こんどExchangeにあの機能が載ったよ」とか、「ドミノのアプリがまた増えたようだ」とか、機能のことばかり。それは、マスコミや雑誌のせいなのかもしれませんが、いまのような大事なメッセージがユーザーに伝わっていませんよね。

マイクロソフトは常にこの分野でリーダーでいたい、という気持ちはある(藤縄)

藤縄 もしかしたら、お客様のニーズがそこまで必要ないかもしれない、という見方もあります。Exchangeの案件としてよく出てくるのは、普通のsendmailみたいなメール配信とか、シンプルなWebメールだったり。もちろんすべての案件がそうだというわけではありませんが、そういったニーズが多い、というのは、まだまだ(機能が豊富な現在の)製品とユーザーの間にギャップがあるのか、という感じを現場で受けるときがあります。

 じゃあ、マイクロソフトはニーズにそぐわない製品を出しているのではないか、というと、マイクロソフトは常にこの分野で(製品開発の)リーダーでいたい、という気持ちはある。また、2年後こういう世界になりますよ、ということをいまからユーザーに言っておかなければならないとも思っている。というのも、ユーザーが一度システムを導入すると、少なくとも2年から3年は使うでしょう。ですから、3年後でも使えるシステムをメーカーは提供しなければならない。特にコラボレーション製品というのは、使わないと、その良さが分からないところがある。だから、いま使わなくとも2年後には使いたいという要求が出てくるかもしれない。そのときに、すぐに使える環境があるかないかでは大きな違いです。

斎藤 ノーツの場合は、ノーツというイメージがあまりにも強かった。グループウェアのノーツというイメージが強すぎた結果、インターネット対応といったことがなかなかうまく伝わらない。ノーツのイメージができていて、それを覆すのに苦労していたりする。いまでも実は苦労しています。そういうところが、伝わりにくい一因といえるかもしれません。

   Exhcangeはドミノを意識した機能強化?

斎藤 ところで、藤縄さんにお伺いしたいのですが、ドミノはもともとオブジェクトストアというものを搭載していましたが、こんどExchange 200 Serverにもストアが、WSSが搭載されたのは、やはりドミノ対抗という方向なのですか?

新野 それはぜひお伺いしたい。私もWSSについては、Exchange Serverもついに「ストア」といいだしたぞと、とても気になっていました。

*Web Storage System(WSS) Exchange 2000 Serverで新しく搭載された機能。 WSSに格納したファイルは、ほかのマシンからさまざまな方法で参照できるようになる。例えば、Outlook経由で見るとインボックスの中のメッセージとして参照でき、Windowsのデスクトップからは共有フォルダの形で、Internet Explorerからは、Outlook WebAccessのインボックスの中のメッセージとして見える。文書データを集中管理する器としてマイクロソフトが提唱するストアだ。

藤縄 確かに、いままでExchangeはメッセージングに強い製品ですといってきましたから、WSSの搭載はちょっと方向性が変わったように受け止められるかもしれませんね。

 もしWSSがExchangeにとどまるものであれば、ドミノ対抗といえるかもしれません。しかし、TahoeなどもWSSを基盤にしています。当然、定型情報はSQL Serverで、非定型情報はWSSで、というような位置付けになっています。実は、いままでここがはっきりしていなかったんです。顧客がなにかWebアプリケーションを作ろうとしたときに、Exchangeのパブリックフォルダを基盤にすればいいのか、それともSQL ServerでWebベースのアプリケーションを作ればいいのか。

 でもWSSができたときに、コラボレーションを中心にしたアプリケーションなら、ExchangeのWSSを使って作るのがいい、もう少しトランザクション寄りなら、SQL Serverを使ってもらうのがいいと、はっきりしました。特に面白いのは、ExchangeはこんどADOのプロバイダになった。これで、いままでSQL ServerでADOを使っていた人も、同じ知識でそのままWSSを使うことができます。いまの開発者にメリットがある基盤にできるのです。

新野 それは、アプリケーションのAPIにADOを使っていれば、データのストア先をSQLにしたりWSSにしたり簡単に切り替えられる、ということですね。

藤縄 そうです。こうした2つのストアを持つことにメリットがあります。

Index
座談会「3年後のグループウェアはどうなるのか」
  1. ユーザーが今のグループウェアに求めるもの
ユーザーは今、グループウェアのどんな機能にエキサイトしているのか。その答えは、モバイルとサーバーコンソリデーションのようだ
2. 機能競争には理由がある
グループウェアのバージョンアップは、いつも追加機能にばかり目を奪われる。しかし、その裏で行われるアーキテクチャやスケーラビリティの変更も重要だという
  3. 3年後も、まだドミノやExchangeは存在するのか?
XMLアプリケーションを開発する際に、定番の見本や方法論はまだほとんど存在していない

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