SOHO事業継続計画虎の巻
小規模事業者のオフィス避難大作戦(前編)
夏川和一
2011/4/28
東日本大震災を機に、拠点の一時移動やサテライトオフィスの構築を検討し始めている人も多いのではないでしょうか。この記事では筆者自身の体験を基に、小規模オフィスやSOHO事業者がサテライト拠点を構築する際のポイントを、基本から紹介します。(編集部)
SOHO事業者がサテライト拠点を構築するには
この記事は、いわゆるSOHOの形態でごく小規模に仕事をしている筆者が、東日本大震災後に、普段どおり仕事を進められる第二の拠点(以下サテライト拠点)を構築した際に感じたことを、雑感を交えて記したものです。
「当たり前のことばかりで、何ら新しい技法や手順がないじゃないか」とおしかりを受けるかもしれませんが、この種の情報をひとまとめにしておくことに一定の意味があると考え、記事にしました。次の順番に沿って説明を進めますが、これはおおむね、実際の作業の流れに重なると思います。
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図1 拠点構築までの流れ |
なお、すでにBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を導入している大企業などでは、コンピュータやデータの分散配置や通信回線の冗長化など必要な措置を取り、非常時の業務再立ち上げ手順も策定しているはずですので、それに沿って行動してください。
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ステップ1:まずは拠点を探す
■拠点探しのポイント
拠点探しの第一のポイントは「業務に支障を来している事項を回避できること」です。例えば、電力供給の不安定さが業務に大きな影響を与えるのであれば、安定して電力が供給されるエリアを選ばなければなりません。またスタッフやその家族の健康が心配であれば、水や食べ物を安心して口にできるところを選ぶことになります。まずこの点を確認します。
第二のポイントは、交通事情、通信事情、周辺環境、間取り、備品、利用期間、賃料など、拠点に関わる各種の主要要件です。これらは通常の住居探しとの共通点も多い一方で、従来拠点への交通手段の良しあしの他、状況によっては短期利用となってしまう点、また業務で夜間〜深夜の外出を伴う場合はその可否など、住居の場合とは異なる点への考慮も必要です。
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図2 拠点選択のポイント |
中でも、利用期間は物件の種類を決めるのに重要な要因です。利用期間が数カ月程度に収まるなら、マンスリーマンションやウィークリーマンションなどが主なターゲットになるでしょう。一方それを超える場合は、賃貸物件を借りる方が、より低コストに拠点を利用できることが多いと考えられます。
地域にもよるのでしょうが、地方都市であっても交通の便の良いところは賃料が極端に安くなるわけではありません。特にマンスリーマンションはその傾向が強いように感じられます。そのような中で賃料を安く抑えるには、地方中核都市から一歩足を延ばし、周辺の小規模な町で物件を探すという手もあります。その場合は、交通の便が極端に悪くならないことを確認しておきましょう。
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図3 地方中核都市の周辺の町で探す手も |
なお、筆者が物件を探した際には、インターネットの空室情報が現況を反映していないケースに遭遇しました。ネット情報はあくまで参考程度に考え、良さそうだと思ったら、まずは直接電話するなり、また可能なら訪れてみるのがいいようです。その際には、前述の各ポイントについても確認します。
■注意を払いたいセキュリティ
不特定多数の人が利用することを考慮し、マンスリーマンションでは通常のオフィスの場合よりもいっそう注意深くセキュリティを意識するとよいでしょう。
特に貴重品については、サテライト拠点近くの銀行で貸金庫を借りることができないか、相談するという方法もあります。貸金庫の利用条件は銀行によって異なりますが、書類や印鑑を入れる程度の小さいサイズであれば、年間1万数千円程度で個人でも利用できるはずです。
また、貴重品ではないが何か大切なものを持ち込んでいる場合は鍵のかかるスーツケースに保存する、またサイズが大きいものについてはクローゼットに収納してクローゼットの扉を自転車用のチェーンロックで施錠する、などの対処を行うと少し安心かもしれません。
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図4 貴重さの程度や大きさごとに貴重品を管理 |
マンスリーマンションや類似の形態では、定期的にスタッフが入室して清掃を行うことがあります。日本の治安を考える限り、清掃中に盗難などが起こる可能性は低いとは思いますが、万が一のことを考え、拠点に持ち込んだ各種の印鑑やカード類などの貴重品は、清掃時には自分自身で持ち出し管理する方が安心です。
小規模事業者のオフィス避難大作戦(前編) | |
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SOHO事業者がサテライト拠点を構築するには ステップ1:まずは拠点を探す |
ステップ2:ハードウェアを整える | |
ステップ2:ハードウェアを整える(続き) |
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