SOHO事業継続計画虎の巻
小規模事業者のオフィス避難大作戦(前編)

夏川和一
2011/4/28


デスクトップ環境の構築

 サテライト拠点に専用PCを用意できるならばいいのですが、普段使用しているノートPCしかない場合は、作業効率を考えてデスクトップの拡張を考えるとよいでしょう。そのためにノートPCに大型の液晶モニタを接続します。

 接続には、外部モニタ接続端子を備えているPCならそれを使い、同端子がないPCでは市販のUSB接続ビデオアダプタを使用するといいでしょう。現在、液晶モニタは非常に安く、21インチ程度のサイズのものが1万円台で手に入りますので、これを使わない手はありません。

図10 外部モニタ端子の有無による接続方法の違い

 液晶モニタを用意する際には、PCが外部モニタに対して表示できる解像度と色数を調べておき、購入する液晶モニタの解像度がそれに含まれていることを確認します。またPCに用意されている接続インターフェイス(VGA、DVI-Dなど)が一致することも確認します。

 ちなみに、外部モニタ端子を備えたノートPCでは、外部モニタに出力する/しないの切り替えをしなければならないことも少なくありません。もし接続した外部モニタに画面が映らない時は、外部モニタに出力するよう切り替えができているか確認します。

 また、外部モニタを用意する際には、併せてUSBで接続できるキーボードとマウスを用意するとよいでしょう。これにより、ノートPC本体のキーボードを使わずに済み、ノートPCでありながらデスクトップPCのような使いやすい環境を構築することができます。

図11 キーボードとマウスでデスクトップPCに近い使い勝手

印刷環境の確保

 印刷環境をどうするかは、必要な印刷の量と内容から考えるとよいでしょう。

 大量印刷を必要とする業務であったり、機密性の高い情報を印刷する必要がある、またプリントに特別の配慮が必要といった場合には、要求にマッチするプリンタを量販店などで調達するのが得策と考えられます。

 一方、印刷枚数が少なく通常の事務処理がメインなら、コンビニ出力サービスを利用することも可能です。例えば「ネットプリント」の場合、Word、Excel、PDFなどのデータをサーバにアップロードし、それをセブンイレブンの複合機から出力できます。白黒の他、カラーでの出力も可能です。

関連リンク:
ネットプリント
http://www.printing.ne.jp

図12 ネットプリントのサービスイメージ

 PCにPDF生成ソフトが組み込まれていないならば、無料のPDF化ソフトの利用も検討する価値があります。紙印刷との一致度や文書の美しさなどの面を比較すると、アドビシステムズ純正のAcrobatにはかないませんが、それでも一般の事務書類ならば十分実用の範囲に入っている印象です。具体的なソフトとしては、「PDF reDirect」「Primo PDF」などがあります。

関連リンク:
PDF reDirect
http://www.exp-systems.com/
Primo PDF
http://www.xlsoft.com/jp/products/primopdf/index.html

図13 PDF reDirectのPDF作成画面

 また「フェデックス キンコーズ」などのビジネスサポートサービスが近所にあれば、そこで印刷することもできます。これらサービスの利用時は、印刷に使用するコンピュータの使用料などが加算され、枚数が少ない場合は高くつくことがあります。印刷枚数が少ない場合はコンビニ出力サービス、多い場合はビジネスサポートサービスと、使い分けるのがよさそうです。

 なおコンビニ出力サービスやビジネスサポートサービスを利用した後は、セキュリティの観点から、使用したデータは速やかにサーバなどから削除すると安心です。

 ここまでで、ハードウェア面のインフラは整備することができたかと思います。後編では、事業継続に不可欠なソフトウェアやデータの整備について紹介します。


小規模事業者のオフィス避難大作戦(前編)
  SOHO事業者がサテライト拠点を構築するには
ステップ1:まずは拠点を探す
  ステップ2:ハードウェアを整える
ステップ2:ハードウェアを整える(続き)
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