PC Insider 編集後記 2002年2月
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DEAD OR ALIVE 2002年2月22日、2が並んだこの日、日本でXboxがついに発売となった。発売日当日は、米国からMicrosoft会長のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が来日し、各テレビ局のニュース番組のほか「笑っていいとも!」にまで出演するなど、見事なトップ・セールスぶりを見せた。ただ気になったのは、ビル・ゲイツ氏が述べるXboxの利点が「Xboxは能力が高いので、背景などの炎や水の映り込みなどにクリエイターが凝ることができる」という点。つまり、Xbox自体の能力によって、いままで実現できなかったようなゲームが可能になる、ということではないことだ。 確かに、今回のXboxの発売に合わせて出荷となったゲームは、ほとんどがPlayStation 2などの移植モノ。ニュース番組などでビル・ゲイツ氏がデモを行ったテクモの「DEAD OR ALIVE 3」にしても、PlayStation 2とドリームキャストの「DEAD OR ALIVE 2」の焼き直しみたいなものだ。画像はきれいになっているものの、ゲーム・システムとしては新鮮味がない。ビル・ゲイツ氏としても、この状態では「Xboxが新しいゲームの世界を切り開く」とは言いにくいだろう。 そもそもXbox自体、PCの焼き直しであり、新鮮味のあるものではない。プロセッサはPentium III-667MHzだし、ハードディスクはWesternDigital製のIDEディスク、DVD-ROMドライブはRoyal Philips Electronics(フィリップス)製だ。チップセットはNVIDIA製のXboxオリジナルであるが、これにしてもAthlon用として出荷されているnForceのPentium III版ともいえる内容で、独自性は薄い(前後関係からいえば、Xbox用が先でそれをベースにAthlon用のnForceが開発されたのだが)。もちろん、このように多くのパーツをPCと共用することで、低価格化を実現できているのだろうし、ゲーム・クリエーターにしても開発環境が豊富なPCを利用できるというメリットがあるのだろう。それにしてもXboxを見ると、この仕様が発表された当時ならいざしらず、いまとなってはエントリ・クラスのデスクトップPC並みの性能しか持っておらず、あまり有り難味がない。 Microsoftとしては、日本での発売にビル・ゲイツ会長を「投入」するくらいだから、本気でXboxに取り組んでいるに違いない。それこそ、「DEAD OR ALIVE」という覚悟で挑んでいるのかもしれない。なぜ、MicrosoftはこれほどまでにXboxに力を注いでいるのだろうか。どうも、Intelが携帯電話/PDAに注力するのと似ている気がする。両社とも、クライアントPC分野では、これ以上シェアも台数も伸ばせないほどに市場を占有してしまった(中国やアフリカなどの市場が急速に立ち上げれば別だが)。サーバ分野についても、バックエンド・サーバはこれからだが、その足がかりは着々と固めつつある。 Microsoftは、Windows 2000で「Windows 2000 Server」「Windows 2000 Advance Server」「Windows 2000 DataCenter Server」とラインナップを揃え、サーバ・ベンダに採用を訴えている。Windows 2000 DataCenter Serverの採用は進まないようだが、着々とMicrosoftのサーバOSが浸透しつつあるのも確か。となると、もはや勢力を伸ばす先は、家庭の非PC分野しかない。家庭の非PC分野の先鋒を担うべく、期待して買収したはずのWebTVは、家庭へのPC普及率が高まるにつれて販売台数が落ちてしまった。日本でのWebTVのサービスは、2002年3月末に終了という、鳴かず飛ばずの結果で終った(ウェブ・ティービー・ネットワークスの「WebTVサービス終了について」)。XboxにかけるMicrosoftの気持ちも想像できる。 もう1つの「DEAD OR ALIVE」というか、「喉元の骨」というべきなのは、セキュリティ問題だ。これはいまに始まったことではないが、Windows関連製品のセキュリティ情報は毎日のように更新されており、Nimda以降、風当たりが強い。代わりとなるようなOSが事実上存在しないことがMicrosoftには幸いしているが、このままではWindowsに未来はない。それこそ「DEAD OR ALIVE」の覚悟を持って、セキュリティ問題を早急に解決していただきたいものだ。 と、Microsoftに関する「DEAD OR ALIVE」の三題話をしてみたわけだが、実はわれわれのインターネット・コンテンツ・ビジネスに関しても今年が「DEAD OR ALIVE」の曲がり角にあるような気がしている(毎年そう思うのだが)。どの方向に曲がるにしても、DEADの方向だけは避けたいものだと感じる、今日この頃である。
(PC Insiderガイド 小林章彦) |
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