PC Insider 編集後記 2002年2月
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AGFA AMBI Silette
いまはフィルム・メーカーとして有名なアグファ社のレンジファインダー・カメラ。1960年前後の製造である。レンズ交換が可能で、35mmと50mm、90mmの3本が用意されていた。残念ながら標準装備のColor Solinar 50mm F2.8しか持っていないが、写りは意外としっとりした色合いである。当時としては高級機だったようだが、それでもライカなどに比べて非常に安かったようだ。アグファ社がフィルムを売るための道具としてカメラを見ていたからかもしれない。

DEAD OR ALIVE

 2002年2月22日、2が並んだこの日、日本でXboxがついに発売となった。発売日当日は、米国からMicrosoft会長のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が来日し、各テレビ局のニュース番組のほか「笑っていいとも!」にまで出演するなど、見事なトップ・セールスぶりを見せた。ただ気になったのは、ビル・ゲイツ氏が述べるXboxの利点が「Xboxは能力が高いので、背景などの炎や水の映り込みなどにクリエイターが凝ることができる」という点。つまり、Xbox自体の能力によって、いままで実現できなかったようなゲームが可能になる、ということではないことだ。

 確かに、今回のXboxの発売に合わせて出荷となったゲームは、ほとんどがPlayStation 2などの移植モノ。ニュース番組などでビル・ゲイツ氏がデモを行ったテクモの「DEAD OR ALIVE 3」にしても、PlayStation 2とドリームキャストの「DEAD OR ALIVE 2」の焼き直しみたいなものだ。画像はきれいになっているものの、ゲーム・システムとしては新鮮味がない。ビル・ゲイツ氏としても、この状態では「Xboxが新しいゲームの世界を切り開く」とは言いにくいだろう。

 そもそもXbox自体、PCの焼き直しであり、新鮮味のあるものではない。プロセッサはPentium III-667MHzだし、ハードディスクはWesternDigital製のIDEディスク、DVD-ROMドライブはRoyal Philips Electronics(フィリップス)製だ。チップセットはNVIDIA製のXboxオリジナルであるが、これにしてもAthlon用として出荷されているnForceのPentium III版ともいえる内容で、独自性は薄い(前後関係からいえば、Xbox用が先でそれをベースにAthlon用のnForceが開発されたのだが)。もちろん、このように多くのパーツをPCと共用することで、低価格化を実現できているのだろうし、ゲーム・クリエーターにしても開発環境が豊富なPCを利用できるというメリットがあるのだろう。それにしてもXboxを見ると、この仕様が発表された当時ならいざしらず、いまとなってはエントリ・クラスのデスクトップPC並みの性能しか持っておらず、あまり有り難味がない。

 Microsoftとしては、日本での発売にビル・ゲイツ会長を「投入」するくらいだから、本気でXboxに取り組んでいるに違いない。それこそ、「DEAD OR ALIVE」という覚悟で挑んでいるのかもしれない。なぜ、MicrosoftはこれほどまでにXboxに力を注いでいるのだろうか。どうも、Intelが携帯電話/PDAに注力するのと似ている気がする。両社とも、クライアントPC分野では、これ以上シェアも台数も伸ばせないほどに市場を占有してしまった(中国やアフリカなどの市場が急速に立ち上げれば別だが)。サーバ分野についても、バックエンド・サーバはこれからだが、その足がかりは着々と固めつつある。

 Microsoftは、Windows 2000で「Windows 2000 Server」「Windows 2000 Advance Server」「Windows 2000 DataCenter Server」とラインナップを揃え、サーバ・ベンダに採用を訴えている。Windows 2000 DataCenter Serverの採用は進まないようだが、着々とMicrosoftのサーバOSが浸透しつつあるのも確か。となると、もはや勢力を伸ばす先は、家庭の非PC分野しかない。家庭の非PC分野の先鋒を担うべく、期待して買収したはずのWebTVは、家庭へのPC普及率が高まるにつれて販売台数が落ちてしまった。日本でのWebTVのサービスは、2002年3月末に終了という、鳴かず飛ばずの結果で終った(ウェブ・ティービー・ネットワークスの「WebTVサービス終了について」)。XboxにかけるMicrosoftの気持ちも想像できる。

 もう1つの「DEAD OR ALIVE」というか、「喉元の骨」というべきなのは、セキュリティ問題だ。これはいまに始まったことではないが、Windows関連製品のセキュリティ情報は毎日のように更新されており、Nimda以降、風当たりが強い。代わりとなるようなOSが事実上存在しないことがMicrosoftには幸いしているが、このままではWindowsに未来はない。それこそ「DEAD OR ALIVE」の覚悟を持って、セキュリティ問題を早急に解決していただきたいものだ。

 と、Microsoftに関する「DEAD OR ALIVE」の三題話をしてみたわけだが、実はわれわれのインターネット・コンテンツ・ビジネスに関しても今年が「DEAD OR ALIVE」の曲がり角にあるような気がしている(毎年そう思うのだが)。どの方向に曲がるにしても、DEADの方向だけは避けたいものだと感じる、今日この頃である。

(PC Insiderガイド 小林章彦)
 

  編集後記
■今月の不満:ブロードバンド・ルータ
 記事で取り扱うという理由もあって、いま私の手元には3台のブロードバンド・ルータがある。いずれも私物だ。会社の機材で実験用に占有しているのを含めると合計4台になる。しかし、いずれの機種も不満が残るため、今後も新製品を購入していくことになりそうだ。
 4台中、スループットが最も高い機種は、自宅から社内LANへのアクセスに利用しているVPNが使えない(PPTPのパス・スルーに対応していない)のが致命的。知り合いから安値で買った機種は、DHCPサーバの機能が弱く、特定のPCに固定IPアドレスを配布できないのが惜しいし、スループットもちょっと低めだ。最も古い機種は、最近のファームウェア・アップデートでPPTPのマルチ・パス・スルーやUPnPをサポートして使い勝手が良くなったので、メインに使っている。スループットが8Mbits/s止まりでなければ、光導入後も使えるのだが。最も高機能な機種(会社の機材)は若干価格が高めな割に、ほしい機能がなかったりする。
  というわけで、次はこれを狙っている。2系統のWAN回線をサポートできるのが魅力的だ。ちょっとお高いのとL2TPをサポートしていないのが気になるが。そのほかには、これを個人輸入することも考えているが、円安が痛いなぁ。
(島田)
■今月の買い物:なし
 確か「今月の買い物:なし」はこれで2回目だったと思う。言い訳すると、忙しくて生活に必須のもの以外は何も買えなかったのだ。こんなときは編集後記のネタ探しに四苦八苦するところだが、忙しかったおかげで面白い現象を発見できたので、これを報告したい。
 私の実家から「電話が通じない」との苦情が来て初めて気付いたのだが、ADSLはNTT地域会社の電話代を滞納していても接続できるらしい。ISDNでつないでいた頃は、「ネットに繋がらない=電話代滞納=電話代払わなきゃ」というシンプルな関係だったのだが(生活の程度が知れるなあ)、どうもいまは違うらしい。よくよく考えてみれば、音声通話とADSLとは、使用している周波数帯域も接続サービス提供業者(私の場合ADSLはNTTではない)も異なるので当然のことなのかもしれない。
 自分で発呼する音声通話が携帯電話からだけになってしまったことも、この状況に気付くのが遅れた原因の1つなのは間違いない。これでVoice over IPが当たり前になってしまったら、現状の加入電話回線って意味を失うんじゃないだろうか、という議論に発展させたいところだが、とりあえず4月からのNTT通話料は自動引き落としに変更しないと……
(澤谷)
■久しぶりの献血
 先日、約2年ぶりに献血に行ってきた。本当はもう少し頻繁に、と思うのだが、さすがに寝不足状態や徹夜明けで行くわけにもいかず(このような状態だと献血を断られることが多い)、結局行かずじまいになっていた。前回はデパートの8階から献血ルームのある地下2階まで歩いてきた直後だったので妙に高かった血圧も、今回はまともな値が出たので、問診も特に問題なくクリアー(私の前にいたお兄ちゃんは昼食を取らずに来たので断られていた)。ただ、いざ血を取るときに血管が見つかりにくかった(?)のか、看護婦さんがどの血管にしようか迷っていたようだった……
 400ml献血をしたので、生化学検査と血球計数検査の両方の検査結果が後日送られてきた。しかし、心配するほどではないとはいえ、コレステロール値がやや上昇していて、はからずも日頃の不健康な生活が露呈してしまう結果に…… 今後はできるだけ定期的に献血に行って、自分の健康管理にも役立てたい。
 (平野)
■今月の計画:家庭内サーバ構築
 会社と自宅でメールの送信済みアイテムが分散してしまうのが嫌で、それだけのために常時稼働するサーバを自宅に設置する計画を立てた。プロバイダのメール・サーバからPOPでメールを取得して、自宅のサーバのIMAPフォルダに保管しておくというものだ。「究極ホーム・ネットワークへの道」を見て、家の中にイーサネット・ケーブルがはびこるようになる日が来るのだろうか、などと思っていた頃が懐かしい。セキュリティをあまり理解していない僕みたいなヒトが、いい加減なサーバを立ててウイルスをばらまくようなことは、世のためヒトのために非常によろしくないので、目下セキュリティについて学ばねばと思っている次第であります。
(清水)
 
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編集人 小川 誉久 Art Director 谷原 正則
ガイド(編集長) 小林 章彦 制作 河本 茂美
ガイド(副編集長) 島田 広道    
構成エディタ 元麻布 春男    
編集 澤谷 琢磨    
  平野 謙    
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