連載
究極ホーム・ネットワークへの道
−実例に学ぶホーム・ネットワーク・デザイン−
第8回 特別編:手軽にホーム・ネットワーク構築が可能な「ゲートウェイステーション」試用記
1. イーサネット、HomePNA、無線LANをサポートする「KX-HGW100」
渡邉利和
2001/09/19
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今回は特別編として、松下電器の「ゲートウェイステーション KX-HGW100」の試用記をお届けする。本機は家庭やSOHOといった小規模なネットワーク環境で必要となる機能をオールインワン的に実装したユニークなデバイスであり、筆者が延々取り組んでいる家庭内ネットワークと同様の環境も、KX-HGW100を使えばごく簡単に実現できてしまう。
KX-HGW100の概要
「ゲートウェイステーション」は、名前のとおり家庭やSOHOなどの小規模ネットワークの中心的なデバイスとして、インターネットとLANを中継し、そこで必要となる機能をひと通りサポートするものだ。また、有線のイーサネットに加えて、HomePNA 2.0と無線LAN(Whitecap、詳細は後述)の合計3種類のインターフェイスに対応するのを特徴としている。3種類のネットワークを1台に統合でき、しかもブリッジとして動作するためにTCP/IPレベルでは単一ネットワークとして運用できるのが大きなメリットとなっている*1。このため、サブネット分割といった面倒な作業が発生しないため、特にネットワークの運用に詳しくなくても問題なく利用できるだろう。家庭内ネットワークでの利用を考えると、魅力的な製品だといえる。ただ、どうやら最近の「ブロードバンドブーム」を意識したためか、同社のWebの製品紹介ページなどでは「ブロードバンド・ルータ」として紹介してあるため、メリットが伝わりにくくなっているように感じる。もちろん、本機をブロードバンド・ルータとして利用できるのは間違いないが、筆者としてはHomePNA 2.0を愛用しており、この点をもっと強力にアピールしてほしいという気がしている。
*1 WAN側インターフェイスとLAN側のイーサネット、HomePNA、無線LANの3種との間では、ルータとして動作する。ブリッジとして透過的に利用できるのは、後者の3つのネットワーク間のみであることに注意したい。論理的には、下図のようにIPルータにHomePNAブリッジと無線LANブリッジが接続されていると理解してよさそうだ。 |
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KX-HGW100の論理構成の想像図 |
LAN側イーサネット、無線LAN、HomePNAはすべて単一のネットワークを構成し、WAN側のイーサネットとの間にルータがあると考えればよい。逆に、LAN側をサブネット分割してイーサネット、無線LAN、HomePNAの3つの独立したネットワークとして構成してルーティングを行う、という構成にはできない。
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さて、本機は家庭内のネットワークの中心として利用されることを意識したデザインになっており、無骨な印象を受ける製品が少なくない「ブロードバンド・ルータ」と比べると、印象は異なる(下の写真)。薄型の本体は、インターホンなどの屋内に作り付けで設置される機器とよく似た感じのデザインで、家庭内の目に付く場所に置いても違和感はないだろう。標準でスタンドが付属しており、自立させることも可能だが、スタンドを外して壁掛けにした方が似合うかもしれない。本体重量は約795gと軽いため、壁掛け時にも不安はないだろう。手に持った印象では、添付のACアダプタの方が重く感じられるほどだ。なお、薄型といっても厚みは約5cmほどある(スタンドを除いた本体部の厚み)。スリットから覗いてみると、背面側はほとんど空き空間になっており、詰め込めば厚みを半分くらいにはできそうだ。どうもこれは、壁掛けにして背面が壁に密着した際にも内部に熱がこもらないようにしてあるものと思われる。家庭内で利用する機器の場合、定期的なメンテナンスなしで放っておいても安定して稼働し続けることが重要なため、こうした配慮がなされたのだろう。また、壁掛け時にケーブルが乱雑になるのを防ぐため、本体下部にケーブル・ガイドが設けられている点も、細かいことだが家庭での利用を考慮したよいデザインだと感じた。
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KX-HGW100の本体 |
写真のように薄型のインターフォンのようなデザインを採用している。玄関などに置いてもそれほど違和感はないだろう。
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コネクタ類は本体左側面に集められており、上から「MODEM(モデム)」「10BASE-T」「PHONE(電話機)」「LINE(ライン)」と並んでいる。このほか、10BASE-Tインターフェイスのハブ/PC切り替えスイッチと、電源コネクタがあるだけのシンプルなデザインである。前面には無線LANインターフェイスをセットするためのスロット(カバーの下にある)とインジケータLEDが5つ設置されている。上から、「INTERNET(インターネット)」「ETHERNET(イーサネット)」「HomePNA」「WIRELESS(無線)」「POWER(電源)」である。上4つは対応するインターフェイスのアクセス・ランプであり、一番下の「POWER」ランプは通電中に常時点灯するほか、エラー表示ランプの機能も兼ねている。なお、一瞬誤解しそうになるが、「MODEM」コネクタはアナログ・モデム接続用ではなく、実体としては10BASE-Tコネクタである。ケーブル・モデムないしはADSLモデムを接続する、という意味で「MODEM」と表示されているのだろうが、これはどうせなら「WAN」とでも表示してくれた方が分かりやすいように思う。このほか、無線LANインターフェイスのカバーの内側には、「CLEAR SETTING(設定の初期化)」と「RESET(リセット)」の2つのスイッチが用意されている。
マニュアルはB5判の90ページ弱のものが1冊だけだが、図版を多用しているため理解しやすい。基本的な接続形態に関して分かりやすいネットワーク構成図が示されているので、ネットワークの配線にあまり慣れていないユーザーでも、それほど惑わずにケーブルを接続できるのではないだろうか。さらに、Webでのサポートも充実している。豊富なFAQ集が掲載されているほか、項目によっては特定用途向けのネットワーク接続図が用意されているので参考になるだろう。マニュアルとWebの情報を参照すれば、まず困ることはないはずだ。
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