RAID構築時には交換用ハードディスクの用意を忘れずに

デジタルアドバンテージ 島田広道
2002/01/05

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 PCサーバでは、ハードディスクの故障でデータを喪失しないよう、RAID 1RAID 5で耐障害性のあるディスク・ボリュームを構築することがよくある。その際、必ず交換用ハードディスクも同時に用意しておきたい。

 ここでいう交換用ハードディスクとは、RAID 1やRAID 5のボリュームを構成しているハードディスクのうち1台が故障したとき、それと交換するためのハードディスクのことだ。RAID 1やRAID 5では、ハードディスクが1台だけ故障してもまだデータは保持できるが、さらに1台壊れるとデータは失われてしまう。つまり、1台故障したRAID 1/RAID 5のボリュームは耐障害性の欠けた、いわば崖っぷち状態といえる。そのため、故障したハードディスクは速やかに正常品と交換し、ボリュームを再構築(リビルドともいう)して定常状態に戻さなければならない。したがって交換用ハードディスクは、故障発生時にすぐに交換できるよう事前に用意して、PCサーバの近くに保存しておくべきだ。

 ここで重要なのは、多くのハードウェアRAIDでは、1つのボリュームを構成する各ハードディスクの種類は同一のものであることを動作保証の条件としていることだ。つまり交換用ハードディスクは、そのときすでにボリュームを構成しているハードディスクと同じ機種にしなければならないということだ。しかし、最近のハードディスクの進化は著しく、製品の更新サイクルも非常に短くなってきているため、RAIDボリューム構築後、時間が経つと同一機種のハードディスクは市場の流通量が減ってきて入手困難に陥りがちだ*1

*1 RAIDコントローラやハードディスクなどRAIDシステムを構成するパーツがすべてPCサーバの純正品なら、そのPCサーバのベンダが交換用ハードディスクの在庫を保持している。そのため、後で交換用ハードディスクを入手するのは比較的容易なはずだが、変化の速いPC業界のこと、あまり過度な期待はしないほうが安全だろう。

 こうした事態を防ぐためにも、RAIDボリュームを構築するのと同時に交換用ハードディスクを最低限1台は用意しておきたい。RAIDボリュームを使い続ける期間が長期に渡るなら2台目以降も用意すべきだろう。またSCSI RAIDの場合、ハードディスク1台当たりの単価が高く、交換用ハードディスクの台数がRAIDボリューム構築のための予算に大きく影響を与えやすい。予算を過小に見積もってしまい交換用ハードディスクが買えない、といったことにならないよう注意したい。記事の終わり

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