プリンタをネットワークに接続して共有する方法

平野謙
2002/03/05

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 多くのプリンタの接続形態は、パラレル・ポートUSBを用いてPCと1対1で接続する、というものだ。この場合、基本的には、接続した1台のPCだけでプリンタを占有することになる。しかしPCの台数が増えてくると、この形態ではPCごとにプリンタを用意しなければならず、あまりにも不経済だ。こうした場合、プリンタをネットワーク上の共有リソースとして公開し、ネットワークに接続された複数台のPCで共有する、という解決策がある。その中でも、最も手軽で運用も容易な「プリント・サーバ」を紹介しよう。

 プリント・サーバはネットワーク・アプライアンスの一種で、基本的にプリンタを接続するための1つないし複数のパラレル・ポートやUSBポートと、ネットワークに接続するためのイーサネット・ポートで構成されている。プリンタ専用のイーサネットとパラレル・ポートもしくはUSBへのプロトコル変換器という見方もできるだろう。PCから印刷ジョブを送ると、プリント・サーバはイーサネット・ポート経由でそれらを受け取って内蔵メモリにバッファリングし、順番に印刷データをパラレル・ポート/USBポート経由でプリンタに送出する。

 市販のプリント・サーバのうち、最も単純なものはパラレル・ポートとイーサネット・ポートがおのおの1つずつ装備されており、直接プリンタのパラレル・ポートに接続するタイプだ(下の写真左)。また、モノクロ・レーザー・プリンタとカラー・インクジェット・プリンタの組み合わせのように、複数のプリンタをおのおのネットワークで共有したい場合には、パラレル・ポートが複数用意されているタイプ(下の写真右)を利用すると便利だ。

パラレル・ポートに直接装着するプリント・サーバ 複数のプリンタを接続できるプリント・サーバ
これはアイ・オー・データ機器の「ET-FPS1E」という製品だ。ケーブルなしでプリンタに直結できるため、場所をとらない。 これはプラネックスコミュニケーションズの「Mini300plus」という製品だ。合計3台のプリンタを同時に接続して、ネットワークに公開できる。

 プリント・サーバを利用するメリットとしては、もちろんプリンタを複数台のPCで容易に共有できることが筆頭に挙げられる。そのほかにも、イーサネットのツイストペア・ケーブルより最大長が短いパラレル・ポート用ケーブルやUSBケーブルにとらわれることなく、比較的自由にプリンタの設置場所を変更できることや、多くのプリント・サーバが複数のプロトコルやOSに対応しているのでプラットフォームが混在している環境でも利用しやすい、といったメリットがある。また、たいていの製品はWebブラウザや専用GUIツールを使って各種設定ができるので、管理や運用も難しくはない。

 一方、デメリットは、プリント・サーバによってはプリンタの双方向通信機能をサポートしていないことで、例えばプリンタの状態を細かく監視するような独自機能が利用できなくなる場合がある。

 プリント・サーバの詳細については、「ネットワーク・デバイス教科書:第7回 プリンタとネットワークの橋渡し『プリント・サーバ』」を参照していただきたい。記事の終わり

  関連記事(PC Insider内) 
第7回 プリンタとネットワークの橋渡し「プリント・サーバ」
 
  関連リンク 
ET-FPS1Eの製品情報ページ
Mini300plusの製品情報ページ
 
「PC Hints」


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