連載 PCメンテナンス&リペア・ガイド
第4回 PCのケースを開けて実際にメモリを増設してみる
1. メモリの増設前には整理・清掃を忘れずに
林田純将
2001/08/07
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前回は、メモリの種類やその構成について述べたが、今回は、いよいよ実際にメモリを増設してみることにする。筆者が使用しているデルコンピュータの「Dimension 4100」は、前回見たマニュアルによれば、現在最も一般的なPC133対応のSDRAM DIMMを採用している。今回は、DIMMを例にその増設方法を解説する。
ケースを開けてメモリ増設作業のスペースを作る
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身体の静電気を逃がす |
このように水道の蛇口など金属に触れることで、身体に帯電している静電気を放電できる。金属製ならドアノブや本棚、机などでもかまわない。
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まずはケースを開けるところから始めるが、その方法は本連載の第2回を参照していただきたい。その中でも述べているが、メモリはプロセッサなどと同様、静電気に弱いため、作業に入る前には、水道の蛇口などを触って、身体の静電気を逃がしてから作業に入ろう。
準備が整ったら、さっそく作業に入る。通常、メモリを増設するためのメモリ・ソケットはマザーボード上にあるため、ケースを開けたら、まずマザーボード上を探してみよう。Dimension 4100のようなミドルタワー・タイプのケースを採用している機種は、ケース内のスペースに余裕があるため、ケーブル類も割とスッキリしていて、メモリ・ソケットもすぐに見つかるはずだ。
しかし、ミニタワー・タイプや省スペース・タイプのデスクトップPCの場合は、ケースが小さい分、ケーブル類がゴチャゴチャしていることも多く、メモリ・ソケットがドライブ・ベイに隠れていることもある。また、余裕があるように見えても、メモリの増設作業中に手が触れてケーブルが抜けたり、そこまでいかなくとも、抜けかけたりすると(ちょっと見た目には抜けているように見えないほうが、発見するのが難しいので厄介だ)、当然PCは正しく動かなくなってしまう。そのほかにも、例えばDimension 4100の場合、プロセッサ上に巨大な排気ダクトが取り付けられており、こういったモノも作業の邪魔になる。
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Dimension 4100(左)とミニタワー型PC(右)のケース内部 |
左写真のDimension 4100のようなミドルタワー型PCでは、比較的スペースが空いていて、ちょっとケーブルをよければメモリ・ソケット(→の部分)が見えるようになる。一方、右写真のようにケースが小さいと、メモリ・ソケット(→の部分)は多数のケーブルに覆われており、アクセスするのも一苦労だ。作業しやすいように、ケーブルなどを整理することから始めよう。 |
増設作業を行う場合、メモリ・ソケットの周りの作業スペースは広くとったほうが安全だ。具体的には、メモリ・ソケットのすぐ近くにあるプロセッサ関連パーツのうち、取り外しが可能なものは外してしまい、ケーブル類は粘着テープなどで束ねてケースの縁などに留め、メモリ・ソケットが隠れないようにする。
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作業の邪魔になるパーツを取り外す |
これはDimension 4100のプロセッサ上部にある排気ダクトを取り外しているところ。このダクトは2カ所のツメを緩めるだけで外れる。このように着脱が容易なパーツは、作業の邪魔になりそうなら、いっそのこと取り外したほうが楽に作業が行える。
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ケーブルをテープで留めて作業スペースを空ける |
メモリ・ソケットを覆っているケーブルは、やのように粘着テープで束ねてケースなどの縁にくっつけておくとよい。粘着力の強いガムテープや布テープは、ケーブルやケースを傷めかねないので避けた方が無難だ。仮止めなのでセロハン・テープなどで十分だろう。
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テープで留めても邪魔なときは、ケーブルの片端をコネクタから外してから留めるという手もある。しかし、複数のケーブルをコネクタから取り外した後に、向きなども含めて間違いなく元に戻すのは、意外に難しい。自信がない場合は、面倒でも接続してあったケーブルとコネクタの組み合わせを、紙にメモしておくか、デジタル・カメラを使って組み合わせが分かるように撮影しておくとよい。さらに、コネクタの向きが分かるよう、ケーブルにダーマト(ダーマトグラフ)などでマーク(印)をつけておけば安心だ。ダーマトグラフとは、見かけは太い色鉛筆のようなもので、これで書いたものはティッシュなどで拭けばすぐに消せるので便利だ。油性マジック・ペンなどで印を書くと、消せないだけではなく、書き込んだ部分の表面のコーティングを溶かして傷めてしまうこともあるので、絶対に使わないこと。
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誤接続防止のためのマークをケーブルに記入しているところ |
矢印は一番ピンの向きを表している。また丸数字の「1」は、同一形状の別のケーブルと区別するためのマークだ。赤い色鉛筆のように見えるのがダーマトグラフで、文房具店などで購入できる(300円程度)。作業が済んだら、ティッシュなどで拭いてマークを消せる。
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メモリ・ソケットの汚れはエア・ダスト・スプレーで吹き飛ばす
メモリ・ソケット周りのスペースを確保したら、次はメモリ・ソケットが汚れていないか確認しよう。PCを購入して長時間使い続けていると、ケースの内部にかなりの量のゴミ(ホコリやチリ)がたまってしまう。これは、ケース内部を冷却するために吸い込む空気に乗って、ホコリも吸い込まれてしまうからだ。特にメモリ・ソケットは、その近くにプロセッサを冷却するファンが設置されている場合が多く、ファンによって誘導されたケース外部からの空気が通過するため、メモリ・ソケットにもホコリなどのゴミが詰まっていることがある。このようなものがあると、メモリ・モジュールを装着しても接触不良などで動作しない可能性も高いので、増設する前に掃除しておこう。
PCの内部は精密電子部品のカタマリなので、水拭きなどは厳禁なのはもちろんだが、カラ拭きなどでも、基板の表面などにキズをつけたり、静電気を発生させたりすることがあるので、直接ソケットなどに何かを接触させるような掃除はしないほうがいい。
では、どうするかというと、大手家電ショップやカメラ販売店などで販売されているエア・ダスト・スプレーで、ホコリを吹き飛ばすのだ。掃除機のように吸い取るタイプのものだと、強力すぎて、必要なものまで吸い込んだり、吸い取り口をパーツにぶつけて傷めたりする可能性もあるので、あまりお勧めできない。
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エア・ダストでホコリを吹き飛ばしているところ |
写真のエア・ダスト・スプレーは、PCショップにて購入したもの(500gで2000円前後)。掃除したい対象から10cmほど離して吹き付ければよい。強力な空気の流れも静電気を発生させるので、短距離でかつ長時間吹き付けるのは避けよう。また缶を横向きや逆さにすると、エア・ダスト・スプレーの原液が気化せずに吹き出し、部品などを傷める場合があるので気を付けること。
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次のページでは、メモリ・モジュールを装着する手順や注意点について解説する。
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