連載 PCメンテナンス&リペア・ガイド
第5回 ブロードバンドの前準備、イーサネット・カードを増設しよう
3. カードの装着は慎重にゆっくりと
林田純将
2001/10/27
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カードを挿入する拡張スロットが決まったら、いよいよカードの装着作業だ。まずはケース背面にあるダミー・ブラケットを外す。どのダミー・ブラケットを外すかは、スロットとの位置を見ただけでは分かりにくいので、拡張するカードを仮に拡張スロットに当ててみて確認しておこう(下の写真)。
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取り外すべきダミー・ブラケットの確認 |
このように、装着する拡張スロットにカードを合わせてみて、ブラケットの位置を確認する(赤枠の部分)。やってみると分かるが、意外にブラケットの位置は間違えやすいものだ。 |
ここで、ネジをドライバーで外してダミー・ブラケットを取り外したら、紛失しないように保管しておこう。ネジは後でカードの固定に再利用するので、これも紛失しないよう注意する。
Dimension 4100のようなタワー型ケースのPCでは、本体を横に倒してカードが垂直になるようにし、スロットに対して力を掛けやすいようにしよう。PCIスロットは比較的固い方なので、多少力を入れたくらいでは、カードが拡張スロットに差し込まれないためだ。ケースを立てた状態では、水平方向にカードを装着することになるため、力が入らずカードが拡張スロットにしっかりと差し込まれないので、必ずケースを横に倒してから作業を行おう。
ダミー・ブラケットを外したら、カードをスロットにあてがい、スロット側にあるキー(突起)とカードの切り欠きの位置を合わせてから、ゆっくりとカードに力を掛けてスロットに挿入していく(下の写真)。
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切り欠きとキーを合わせて正確な装着位置を決める |
の部分を見ると、カード側に切り欠きが、スロット側にキー(突起)が設けられているのが分かる。これらの位置を合わせることで、ズレることなくカードを装着できる。なお、カードによってはの部分にも切り欠きがあるが、ここにスロット側のキーがなくてもかまわない。 |
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PCIスロットのキーとPCIカードの切り欠き:
デスクトップPCなら、まず間違いなくこの位置にスロット側のキーがある。 |
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PCIカードの切り欠き:
64bit PCIスロットにはここに対応するキーが設けられている場合もあるが、デスクトップPCで一般的な32bit PCIにはない。 |
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カードは両手で押して装着する |
このように、カードの両端上側は親指で押さえ、両側面は人差し指や中指で支えつつ、スロットに対して垂直に力を加える。このとき、カードのブラケット部分を背面パネルの枠に合わせながら差し込むとやりやすい。スロットが固くてなかなかカードが押し込めない場合は、左右の手で交互に力を加えてみる。つまり、右手側が少し押し込めたら次は左手側を押し込む、という具合だ。一気に片方だけ押し込むとスロットやカードを破損しかねないので、ゆっくり交互に押し込んでいこう。 |
カードが正しくスロットに装着できているかどうか確認するには、前述のスロット側のキーとカード側の切り欠きの噛み合い具合をチェックしよう。ほとんど隙間なく入っていればよい。また、スロット上面に対してカード側の金属端子の列が平行に並んでいることも確認しておこう。斜めにずれている場合は、スロットと端子の接触不良が生じるおそれがあるので、平行になるようにカードの位置を調整する。
カードのネジ留めには
ブラケット位置の微調整が必要な場合も
スロットにカードがうまく収まったら、ブラケット部分と背面パネル部分のネジ穴がきちんと合致しているはずなので、ネジで仮止めする(下の写真)。
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装着した拡張カードをネジで仮止めする |
仮止めといっても、カードがぐらつかない程度にはネジを締めておこう。このとき、必ずダミー・ブラケットとともに外したネジを用いること。PCに使われているネジにはいくつか種類があるため、異なるネジを選んでねじ込むとネジ穴を壊してしまうからだ。また、ネジ穴とブラケットの穴がズレてしまう場合は、下の写真のような工夫を試してみよう。 |
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工作精度のよくないケースやカードでは、カードのブラケットとケース側のネジ穴が合わないことがある。その場合は、まず装着するスロットを替えてみよう。それでもダメなら、ブラケットの上側を少し曲げてみるという手がある。たいていのブラケットは金属製で、ちょっと力を加えれば変形できることが多い。例えば、ブラケットがケースに対してちょっとだけ内側(カードの基板側)にズレてしまうことがよくあるが、この場合、外側へブラケットを軽く曲げるとネジ穴を合わせられることがある。
ブラケットを曲げるくらいでは対処できないほどネジ穴がズレている場合は、カードのブラケットを固定しているネジを緩めて、ブラケットの位置をズラしてみるという方法もある(下の写真)。最後の手段としては、上級者向けになるが、マザーボードを固定しているネジを緩めて、ブラケットをネジ止めできるよう、マザーボード側の位置を調整してみるという手もあるが、ほかのカードが固定できなくなる可能性もあるので注意が必要だ。
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ブラケットの位置を微調整する |
多くの拡張カードは、ブラケットとカードの接続にネジを用いている。そこで、いったんネジを緩めてブラケットの位置をケース側と合うように調整する、という手段がある。ネジを完全に外してしまえば、ブラケットはよりフリーに動かせるようになるが、カードの固定が甘くなるので注意する必要がある。 |
ネジで仮止めしたら、ケースの背面を見て、イーサネットのコネクタがしっかり露出していることを確認する(下の写真)。カードが上下にズレていると、コネクタがケースの枠で隠れてしまい、ケーブルを装着できないからだ。もし、コネクタが隠れていたら、ネジを緩めて位置を調整しよう。あとはネジをしっかり固定してカードの取り付け作業は完了だ。
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カードの外部コネクタの位置を確認する |
上の写真はよい例で、コネクタの口が完全に露出しているから、正しくケーブルを装着できる。下の写真は悪い例で、カードが斜めになっていてコネクタの一部がケースの枠(ガイド)部分に隠れてしまっている。これではケーブルを装着できない。カードの取り付け後は、このように外部コネクタの位置が正しいことを必ず確認しよう。 |
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