特集
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SOHOなど小規模なオフィスでLANを組む目的には、たいていの場合、複数のPCによるファイル(ストレージ)とプリンタの共有が含まれている。また最近では、これらの基本的なサービスに加え、インターネットへの接続を共有するというケースが増えている。このような場合、これまでは、PCサーバにサーバOSをセットアップし、それにインターネット接続用のルータを組み合わせる、というのが標準的なパターンだった。
しかし最近、NAS(Network Attached Storage)と呼ばれるファイル共有専用の単機能サーバが登場し、PCサーバの代わりに利用される機会も増えてきた。PCサーバが、導入後に各種ハードウェア/ソフトウェアを追加あるいは交換して性能や機能を高められる汎用性の高い機器だとすれば、NASは、出荷時点ですでにファイル共有だけに機能を限定した*1「専用機」といえる。NASを含むこうした専用サーバは一般に「アプライアンス・サーバ(appliance server)」と呼ばれる。applianceには、「(特定の仕事をする)器具」という意味がある。
*1 NASと銘打たれた製品でも、実際にはプリンタ共有などほかの機能も実装されている場合がある。 |
アプライアンス・サーバが注目されている理由の1つは、機能を絞り込むことにより導入や運用などの管理作業を容易にし、管理コストを削減可能していることだ。それに比べてPCサーバは導入や運用に手間がかかり、また高度で専門的な知識が要求される場合もある。そのため、サーバ専任の管理者を用意できないSOHOや小規模な事務所では、PCサーバを活用しようにも、その導入や運用が難しいことから、なかなか踏み切れないところも多い。しかし、導入や管理の容易さをうたい文句にしているアプライアンス・サーバなら、こうした小規模なオフィスでも活用しやすいのではないだろうか。
アイ・オー・データ機器のET-NAS20G |
愛称はe@compo(イーアットマークコンポ)。大きさはA4サイズ×厚さ約7cmとコンパクト。 |
ここでは、2000年10月にアイ・オー・データ機器が出荷を開始した「e@compo ET-NAS20G(以下ET-NAS20G)」を例にとり、SOHO向けアプライアンス・サーバという視点で評価してみた。本機は、ファイル/プリンタ共有とインターネット接続共有という、現在のSOHOにおいてベーシックなサービスを単体でカバーする。SOHO向けアプライアンス・サーバの実体とはどんなものなのか、またPCに対して、機能や管理コストといった点でアプライアンス・サーバがどれだけ有利なのか、ET-NAS20Gを評価しながら探ってみよう。
ET-NAS20GによるSOHOネットワークの構築
SOHOなど小規模なネットワーク環境にET-NAS20Gを導入する場合の代表的な構成例は以下のようになる。
ET-NAS20Gを利用したSOHOネットワークの構築例 |
すでにLANが構築されており、かつプリンタやモデム/ISDN TAがPCに接続されて運用されている環境では、そこにET-NAS20Gを追加してセットアップするだけで、上記のようなファイル/プリンタ共有とインターネット接続共有を簡単に実現できる。
また、上図には記していないが、ET-NAS20GはLAN側に対するDHCPサーバ機能を内蔵しており、LAN上のPCにIPアドレスを自動配布できる。TCP/IPネットワークで管理上の問題となりやすいIPアドレスの割り当てについても、本機をネットワークに追加することで解決できるわけだ。
現在では、Windows 9x/MeやWindows 2000自身がファイル共有、プリンタ共有機能などを標準で備えており、図のようなSOHOネットワーク程度なら、これらのOSをインストールしたPCで対処することもできる。サポート・ツールなども同梱されているとはいえ、その場合には、LANの管理や万一のトラブル・シュートなどはすべて自身で行う必要がある。その点アプライアンス・サーバは、機能を限定している分、初期設定や運用が容易である。またET-NAS20Gの場合は、Windowsクライアントだけでなく、Macintoshとのファイル/プリンタ共有も可能になる(標準状態のWindows OSでこれを行うにはWindows 2000 Server以上が必要になる)。
関連リンク | |
ET-NAS20Gの製品情報 |
INDEX |
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[特集]SOHO専用サーバのお手軽度 | ||
1.ET-NAS20GのハードウェアはPC相当 | ||
2.ファイル共有機能 | ||
3.プリンタ共有機能とインターネット接続共有機能 | ||
4.多機能より管理の容易さを優先 | ||
「PC Insiderの特集」 |
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