第7回
富士通製UHF帯リーダ/ライタを知る
西村 泰洋
富士通株式会社
マーケティング本部
フィールドイノベーション
プロジェクト員
2008年6月6日
EdgeBaseを使ったリーダ/ライタのセットアップ
EdgeBaseをインストールする前にリーダ/ライタのセットアップを事前に済ませておく必要があります。リーダ/ライタを接続してEdgeBaseをインストールしたら、いよいよリーダ/ライタの設定を行います。
リーダ/ライタの設定はリーダ/ライタ名を決めて、USBかLANかの接続形態、IPアドレスなどを指定した後、リーダ/ライタの
- 送信電力レベル
- 処理タイムアウト値
- 処理枚数指定
などを設定します。
さらに、細かい制御や設定をしたいというユーザーのために、「R/Wチューニング設定」という画面が用意されています。ここでは、リーダ/ライタの設定状況を確認できるだけでなく、信電力レベル、伝送速度などの設定をすることも可能です。
次にRFIDタグの設定です。「タグフォーマット編集」画面で設定を行いますが、文字コードやロック制御、そしてデータ要素の定義などもこの画面で行うことができます。
なお、第3回および第4回で取り上げたオムロン製品では、RFIDタグのメモリブロックを「ページ」と呼んでいましたが、富士通ではバイト単位の「ブロック」と呼んでいます。例えば、「TypeBは読み込みブロック8バイト、書き込みブロック4バイト、TypeCのRFIDタグは読み込み/書き込みともに2バイト」のように説明されます。このあたりはメーカーごとに呼称の違いがあり興味深いところです。
パラメータを組み合わせてアクセス制御
富士通では、RFIDタグへのアクセス形態を
- 検知(タグのIDを読み取ること)
- 読み込み(ユーザー領域の情報を読み込むこと)
- 書き込み(ユーザー領域に情報を書き込むこと)
の3つと定義しています。
本連載でいうところのモードに対しては、アプリケーションからEdgeBaseに処理を指示し結果が返るまでアプリケーションには制御が戻らない「同期型」と、アプリケーションからEdgeBaseへ処理を指示し、処理を続けることやほかの処理を実行できる「非同期型」の2つがあります。
処理を命令したらRFIDタグの読み取りまたは書き込みをするのが「同期型」で、アクセス範囲にRFIDタグが入ったら自動的に読み取りまたは書き込みをするのが「非同期型」ということになります。従って、リアルタイムにRFIDタグの情報を扱う場合は「同期型」を、RFIDタグが常にアクセス範囲に入る場合には「非同期型」が推奨されています。このあたりも各社の考え方と表現に違いがあり、興味深いところです。
アクセスメソッドについては、タグアクセス関数とパラメータでアクセス制御をしており、さまざまな組み合わせが可能となっています。パラメータの考え方には以下のような項目があります。
- IDが分かっている場合、分かっていない場合
- アクセスするアンテナを指定する場合、指定しない場合
- RFIDタグの枚数指定
- タイムアウト(指定時間内にアクセスできないと打ち切る)
オムロンやモトローラの製品ではモードやアクセスメソッドにパターンが定義されています。しかし、富士通製品には上記のパラメータやタグアクセス関数を基にシステムエンジニアやプログラマが定義する形となっています。
APIとして、富士通独自のAPIとEPC Global規定のALE 1.0に準拠したインターフェイスで規定されているALE APIの2つが提供されています。また、.Netインターフェイス、SOAPインターフェイスにも対応しており、Visual Basic C#2005、Visual Basic C++2005、Visual Basic 2005 のためのDLLとSOAPにはWebサービスがそれぞれ提供されています。なお、「同期型」「非同期型」というモードの違いによってAPIが異なります。
ここまで解説してきたように、富士通の場合はコードではなくミドルウェアで、比較的簡単にリーダ/ライタの制御ができるようになっています。また、RFIDタグアクセスに関してさまざまな機能がミドルウェアで提供されていますが、理解のためにはそれなりの学習時間が必要と思われます。次回はプログラミング例を紹介します。
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Index | |
富士通製UHF帯リーダ/ライタを知る | |
Page1 日本のUHF帯リーダ/ライタのパイオニア、富士通 EdgeBaseという名のミドルウェア |
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Page2 EdgeBaseを使ったリーダ/ライタのセットアップ パラメータを組み合わせてアクセス制御 |
Profile |
西村 泰洋(にしむら やすひろ) 富士通株式会社 マーケティング本部 フィールドイノベーション プロジェクト員 物流システムコンサルタント、新ビジネス企画、マーケティングを経て2004年度よりRFIDビジネスに従事。 RFIDシステム導入のコンサルティングサービスを立ち上げ、自動車製造業、流通業、電力会社など数々のプロジェクトを担当する。 著書に「RFID+ICタグシステム導入構築標準講座(翔泳社)」がある。 |
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