ネイティブ拡張も備える「Flash Builder 4.6」の新機能
- - PR -
Flash/Flexアプリのための統合開発ツールである「Flash Builder」では、次期バージョンの4.6で、Flash Player 11/AIR 3、そしてFlex 4.6に対応する。Flash Builderのシニアプロダクトマネージャを務めるAdam Lehman氏によれば、Flash Builder 4.6の主なフォーカスは以下の4つのエリアだという。
- ランタイムの強化:AIR Native ExtensionsやCapative Runtimeのサポート
- SDKツールの拡張:Flex 4.6の新しいコンポーネントのサポート
- モバイルサポートの強化:FlexUnitやネットワークモニタのモバイル対応
- ファンデーションとの連携:Eclipse 3.7への対応
■ AIR Native Extensions(ANE)のサポート
ANEはAIR 3で追加された、プラットフォームのネイティブライブラリを呼び出せる拡張機能である。Flash Builder 4.6では、ANEを利用したAIRアプリが作成できるようになる。具体的には、4.6からはプロジェクトのFlexビルドパスの設定画面にANE用のネイティブライブラリの設定タブが追加される。
通常のFlexライブラリと同様に、この画面でネイティブライブラリを設定すれば、プロジェクト内でそのライブラリが利用できるようになる。エディタ上でのコードのハイライトや、デスクトップおよびデバイス上でのデバッグもサポートされるとのことだ。
ネイティブライブラリのパス設定 |
■ モバイル開発向けのツール拡張
「FlexUnit」はFlexアプリケーション開発において単体テストを実施するためのフレームワークである。Flash Builder 4よりFlash Builderに統合されていたが、4.6ではモバイルアプリケーションの開発時にもFlexUnitを利用できるようになる。
同様に、ネットワークモニタも4.6からモバイル対応を果たした機能だ。ネットワークモニタは、作成したアプリのネットワークトラフィックをモニタリングするためのツールであり、データサービスなどと連携するアプリのテストやデバッグに活用できる。
今後はモバイルアプリでも、ネットワークモニタを利用したネットワークの監視が可能になるため、データ通信を利用する際の問題の発見やパフォーマンスの向上に活用できるはずだ。
Flex/Flash Builderを取り巻く、その他の動向
■ 「Project Spoon」とは
FlexのシニアプロダクトマネージャであるDeepa Ubramaniam氏は、Flexを紹介するセッションの最後で、Flexに関連する2つのプロジェクトを紹介した。1つはFlexコミュニティとアドビのFlexチームが共同で進めている「Project Spoon」である。Project Spoonの目的は、Adobeのエンジニアと開発者コミュニティの連携をサポートし、協力してFlexの開発を行っていける環境を構築すること。
Core Values via kwout
Flexはオープンソースのプロジェクトであり、その開発にはアドビのエンジニア以外にもコミュニティから多くの協力者が参加している。しかしコミュニティからの要求や提案、パッチの提供に対して、アドビのFlexチームが避けるリソースが追いつかず、レスポンスが滞るケースが増えているという。Project Spoonは、開発者同士のコミュニケーションやコードの共有などをスムーズに行い、より迅速な開発に結び付けるためのプラットフォームを実現するために立ち上がったという。
詳細は公式サイトや、Project Spoonについて解説したMAX 2011のセッションビデオを参照のこと。
■ 新コンパイラ「Falcon」
「Falon」は、昨年発表されたアドビが開発中の次世代のFlex(ActionScript/MXML)コンパイラである。Falconの目標は、開発者がコードを入力したそばからコンパイルを実行し、即座にフィードバックを返すようなインタラクティブ性を実現することだという。その他の目標としては次のような項目が挙げられている。
- コードの間違いを発見/修正しやすいシンプルさの実現
- ツールを活用したネイティブ統合
- 大規模アプリケーション開発のサポート
- メモリ使用量の削減
- マルチコアの活用
Lehman氏は、「Falconによるコンパイル速度はJavaやC#のそれに匹敵するものになる」と指摘している。Flex 4のコンパイラと比べれば、ActionScriptのインクリメンタルコンパイルで10倍、MXMLのコンパイルで5倍、ActionScriptのフルコンパイルで2倍ほどの高速化が見込まれるとのことである。CPUコアやメモリを効率的に利用する仕組みも導入されるため、環境によっては、より高いパフォーマンスが得られるかもしれない。
■ 開発中の新機能
Subramaniam氏からは、Flex/Flashの並列処理のサポートに関する言及もあった。同氏によれば、ActionScriptの処理において一般的に負荷が高くなるのは次のような計算処理だという。
- 大容量データのパースとシリアライズ
- グラフィック操作
- 複雑な数値計算
また、レイテンシの高いタスクとしては次のようなものが挙げられた。
- 大きなファイルの読み込み/書き出し
- データベースへの同期アクセス
- レンダリング操作
これらの処理に関して効率的な並列化を実現することで、ActionScriptのパフォーマンスは、より向上できる。現在は並列処理のために、画像やXML/JSONファイルの非同期な読み込みや、「ActionScript Workers」(非同期ActionScript)の開発が進められているとのこと。ActionScript Workersは独立のスレッドで実行される処理を記述できる機能で、重い計算処理を切り分けることによって、UIが固まる現象を防止できるようになるという。
ただし、現在はプレアルファの段階でありリリーススケジュールは決まっていない。
リリースはもうすぐ? リバースデバッグ機能にも期待
Flash Builderについては、「Sneak Peeks」イベントにおいてデモンストレーションされた「リバースデバッグ」機能が興味深いものだった。これはFlash Builderのデバッグ画面において、ブレークポイントから実行ステップを逆にたどれるというもの。それに加えて、アプリケーションのログから、エラーの発生時にどのコードを実行したのかを表示するデモも行われた。
「Sneak Peeks」は正式発表前の開発途上の技術を発表する場であり、ここで発表された機能が正式に導入されるのか、導入されるとしてそれはいつなのかといったことは一切決まっていない。「リバースデバッグ」は問題のあるコードの発見や原因解明のためには、ぜひとも求められる機能だが、現時点では続報を期待するしかない。
Flex 4.6およびFlash Builder 4.6は、2011年の後半にリリースされる予定となっている。現在は、プライベートベータの段階であり、このページよりサインアップすることでテストに参加できる。
■ @IT関連記事
Flash Builder 4.5でAndroidアプリを作ってみた Flashアプリ開発ツールのスマホ向け新機能を試す 簡単なアプリを作りながら、リモートデバッグ機能やテンプレート、ローテーション対応などさまざまな機能を紹介します 「Smart & Social」フォーラム 2011/5/11 |
Flashでできる! Androidアプリ制作入門 Flash ProやFlash Builderに拡張機能を追加して、Androidで動く簡単なAdobe AIRのアプリを作る方法を紹介します 「Smart & Social」フォーラム |
Flashでできる! iOSアプリ制作入門 Adobe AIRを基にしたFlash ProやFlash BuilderなどのiOSアプリ開発機能を使って、iPhone/iPadで動く簡単なアプリを作る方法を紹介します 「Smart & Social」フォーラム |
FlashもHTML5/jQueryもスマホアプリに変えるCS5.5 アドビに聞く、ツールの使い分けポイント Flash Pro/Flash Builder、Dreamweaver、シミュレータ「Device Central」を使ったスマホアプリ開発のポイントを聞いた 「Smart & Social」フォーラム 2011/6/20 |
2/2 |
INDEX | ||
Adobe MAX 2011まとめレポート(2) Flex/Flash Builderはスマホアプリ開発の神ツールとなるか |
||
Page1 マルチプラットフォーム対応に向かうFlash モバイル対応を、さらに推進する「Flex 4.6」 |
||
Page2 ネイティブ拡張も備える「Flash Builder 4.6」の新機能 Flex/Flash Builderを取り巻く、その他の動向 リリースはもうすぐ? リバースデバッグ機能にも期待 |
Smart&Social フォーラム トップページへ |
- 夏休みの自由研究にマイコンボードで「電子サイコロ」を作ったり、音楽プログラミングをしたりしてみよう (2017/7/24)
子ども向け電子工作&プログラミング用マイコンボード「chibi:bit」の基本的な使い方を紹介する企画。夏休みの自由研究に「電子サイコロ」を作ったり、音楽プログラミングをしたりしてみよう - 子ども向け電子工作&プログラミング用マイコンボード「chibi:bit」の基本的な使い方 (2017/7/20)
子ども向け電子工作&プログラミング用マイコンボード「chibi:bit」の基本的な使い方を紹介する。夏休みの子どもの自由研究などに役立てつつ、プログラミングを始めるきっかけにしてみてはいかがだろうか - 3DゲームのAIをiOSのSceneKitとGameplayKitで作る基本 (2017/7/10)
3Dゲーム用のフレームワークSceneKitを使った簡単なアプリ制作を通して、3Dゲーム用の人工知能(AI)について学ぶ - UnityアプリをWebGL、UWP、Android、iOS用としてビルドしてみた (2017/6/27)
アプリをWebで実行できるように書き出す方法やWindows上でUWP、Android、iOS用などにビルドする方法について解説する【Windows 10、Unity 5.6に対応】
|
|