ソーシャルゲームに生かすFlash Lite制作テク
ソーシャルゲームに生かすFlash Lite制作テク(1)

いまさらFlash Lite 1.1を使うための基礎知識


山崎 基央
2010/9/16

ガラケーでしかサポートされない「fscommand」

- PR -

 Flash Liteには、ガラケー専用の命令群「fscommand」があります。例えば、fscommandでは電波状況や電池などの固体情報、日付などの環境情報を取得できます。

 ただし、すべての命令がサポートされるわけでなく、キャリアごとに実装が異なるところについて注意が必要です。

 携帯電話では十字キーと決定キーをよく使われますが、Flash Lite 1.1がサポートしているのは、決定キーと数字キーのみです。

 上下キーはボタンのフォーカス遷移にしか使えません。また、左右キーはソフトバンクの一部端末以外はサポートされていません。

Device Centralの確認でハマりやすいポイント

 一連の流れでコンテンツを作ってボタンを配置し、いざDevice Centralでプレビューを確認してみると、以下のように「おやっ」と思うことがあるかと思います。

ボタンに黄色い枠線

 例えば、ボタンに黄色い枠線が付いてしまっていないでしょうか。これを解決するには、いわゆる“おまじない”として、1フレーム目に、以下のスクリプトを書いておきます。

_focusrect = false;

 こうすることで、ボタンにフォーカスが合ったときに黄色い黄色い枠線が出なくなります。

 これはDevice Centralだけの現象ではなく、実機でも同じように出てしまうので、覚えておくといいでしょう。

 また、「意図的に線を出したい、しかし黄色は嫌だ」というときは、スクリプトを書くことで色を変更できます。ただし、この機能はFlash Lite 2.0に限定され、Flash Lite 1.1ではサポートされません。

上下キー

 Device Centralでは、普通に上下キーでスクリプトが実行されてしまいます。スクリプトについては、詳細は後の連載で解説しますが、基本的に実機の上下キーではボタンのフォーカスしか制御できません。

 「このキーが押されたときに、こういう動作をする」というのは、決定キーおよび数字キーのみをサポートします。

決定キー

 また、決定キーについても、デバイスによって「on(press)」で動作するときと、「on(keyPress"<ENTER>")」と書かないときの2種類があります。これは一緒に書くことができます。

on(press, keyPress"<ENTER>")

 これら3つに注意しておけば、基本的に普及している端末には対応できると思います。しかし、さらに注意しておきたいことが、後1つだけあります。

最新端末では解像度が大きい

 そうです。Device Centralで出てくる「QVGA(320px×240px)」という解像度のガラケーは、すでにほとんど姿を消しているのが実情です。

 しかしFlash上では、240px×240pxでコンテンツを作成して構いません。解像度の大きなガラケーに対応できないのでは? という心配は、Flashの実行ソフトウェア側で吸収してくれます。例えば筆者のケータイ電話は、480px×854pxですが、自動的に480px×480pxに引き延ばしてくれます。

 設定していない余りの上下エリアについては、デバイスの初期設定の背景色になります。Flash上で余分に背景を設定すると、端末によっては、その背景が表示されることもあります。

 また裏技的ですが、ステージ外のイラストが表示される端末もあります。その場合、240px×240px以上の解像度を疑似的に再現できることがあるので、うまく再生される端末であれば有効な手段でしょう。

 ただし基本的に、横に余分なコンテンツがある分についてはサポートされないようです。

Flash Lite 1.1の制約は、まだまだこんなもんじゃない!

 本稿で、Flash Lite 1.1の特徴やPC用のFlashコンテンツとの違いが少し見えたと思います。次回は、実際に動くサンプルを作って動作を確かめていきます。現状スクリプトにあまり触れる機会のないFlashアニメーター向けに、テキストの文字送りのサンプルを作成します。実際に触ってみると世間でいわれている「100kbyte」「画面の狭さ」などよりももっと根本的な制約があることに気が付くと思います。

 それを踏まえたうえで、連載第3回ではFlash Lite 1.1でスクリプトを組む段階での細かいTipsについてお話しします。

@IT関連記事

クリエイターであるためにFlash待ち受けを出し続ける
D89クリップ(9) 
トイレメーカーのサラリーマンはいかにしてFlashアニメ作家になったのか? クリエイターになる1つの方法を聞くとともにFlash待ち受けの簡単な作り方を教えよう
常識破りの携帯Flashアニメーション術
一撃デザインの種明かし(4) 携帯Flash開発で、アウトラインの制限をなくし、より豊かなアニメーションにする方法や、空間を感じさせる演出、最適な再生速度を考える
ケータイ版AIRでFlash Liteの成功パターンを踏襲
D89クリップ(5) アドビによるイベント「Adobe MAX Japan 2009」が開催。着実に地歩を固めるFlashプラットフォームと新たにケータイ市場を切り開くAIRが話題の中心となった
ケータイFlashでさくさく動くIllustratorデータの作り方
一撃デザインの種明かし(2) ケータイ用のFlash Liteで動くゲーム。アイテム作りのルールを伝授。Illustratorデータを軽くするためにデザイナが気を配るべきポイントは?
Flash CS5のiPhoneアプリ変換機能は無駄にならない
D89クリップ(15) 
Flash CS5製とiPhone SDK製のアプリの違いや、Flash Lite 4.0などFlashプラットフォームのモバイル対応について、Flashのエバンジェリストに聞いた
いまからでも遅くない! ケータイデザインの基礎固め
一撃デザインの種明かし(6) 普段はPCサイトを作っているが、ケータイサイトにも興味がある人向けの、初めてケータイのデザインハウツーです。ケータイデザインの基礎

山崎 基央(やまざき のりお)
1982年和歌山県生まれ
RIA UIデベロッパ/デザイナ、ソーシャルアプリFlashエンジニア

RIAのBtoBの仕事に携わっているときに「もっと人と身近にふれあいたい!」と、コンシューマーに転向。フリーランス。企画・設計から、モックアップ作成やインターフェイスの設計・実装までを幅広く担当

3/3  

 INDEX
ソーシャルゲームに生かすFlash Lite制作テク(1) 
いまさらFlash Lite 1.1を使うための基礎知識
  Page1
Flash Lite 1.1のリファレンスやツールを紹介
Flash Lite 1.1のための公式リファレンス
Flash Lite 1.1のための制作ツール
  Page2
Flash Lite制作の手順とDevice Central
Flash Lite 1.1とPC向けFlashの主な違い
Page3
ガラケーでしかサポートされない「fscommand」
Device Centralの確認でハマりやすいポイント
Flash Lite 1.1の制約は、まだまだこんなもんじゃない!

[an error occurred while processing this directive]

 Smart&Social フォーラム トップページへ



Smart & Social フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Smart & Social 記事ランキング

本日 月間